10月7日(土)、江東区文化センターホールにてON THE STAGE主催Dance Festival Vol.9を観て参りました。
目当ては知人2名の出演演目で1本は『白鳥の湖』より湖畔のアダージオ。
静寂に包まれ派手な技巧もない、魅せるのが非常に難しい場面で背景美術もコール・ド・バレエもなし。
制限ある条件ながらほっそりとした身体の線が白いチュチュと映えて
1つ1つポーズを丹念に淀みなく作り出し、薄幸であっても綺麗な印象を残すオデットでした。
2本目は『くるみ割り人形』よりクララと王子の出会いのパ・ド・ドゥで
金平糖と王子のグラン・パ・ド・ドゥに比較すると抜粋上演は珍しく
王子に対するクララの恋心が膨らみを見せていく、感情を高揚させる場面で嬉しく鑑賞。
ヨーロッパの上流階級育ちのクララにぴたりと嵌る容姿で薄いピンク色を帯びたシフォンのワンピースがよく似合い
悲しみに暮れていたところに王子が現れ、戸惑いながらも心を開き恋に落ちていく過程も伝わる心のこもり様でした。
くるみの演出振付は数え切れぬほど存在し、特にクララと王子の出会いの振付は注目する場面の1つでありますが
これまで観た中では中央に横向きに倒れ込んだ状態で現れ、両手で顔を覆ったまま上体を起こし立て膝になり
ゆっくりと手を下ろして顔を表しクララを見つめる流れが印象深いグリゴローヴィヂ版がいたくロマンティック。
(但し、余程魅力ある王子でないと絵にならないのだが)
今回オンザステージさん主催の舞台は初鑑賞。パ・ド・ドゥ、ヴァリエーションなど
踊りたい夢を叶えるをモットーに開催しているとのこと。
明石家さんまさんと中村玉緒さんが司会を務める番組で似た名称の企画がある記憶がありますが
日頃の成果を舞台で披露したい方々が集結し実現させているようです。
知人のお2人は安心して鑑賞できましたが、気にかかったのは男性と組むには時期尚早な方が目立っていた点。
パ・ド・ドゥの場合はパートナーの命が懸かっているのですから、相当な訓練を積み
引き上げやポワントでしっかり立てるなど身体を十二分に作ってからでないと非常に危険です。
勿論バレエを習っているからには衣装を着けて舞台に立ちたい、そのお気持ちは理解できますし
日頃から真面目にレッスンに通いレベル向上を目標に取り組んでいらっしゃると想像いたします。
しかし男性とのパ・ド・ドゥは本来安易には踊れない、踊ってはならないもの。
万一重大事故に至ってからでは遅く、プロ同士であっても
パ・ド・ドゥにおける男性ダンサーの身体への負担は計り知れないのですから
趣味で踊っている方の挑戦は一層の慎重さが求められるでしょう。
踊れぬ素人がつらつらと意見を綴る資格なんぞないのは承知しておりますが
どうしても踊りたいのであれば、数は限られますがサポートが殆んど無い作品に絞っての選択を。
趣味として継続しつつ積極的に舞台出演に挑戦なさる方もいれば
私のように幼少期から鑑賞や書籍の閲覧に目覚めて今も変わらずの者もおり
日本でのバレエの楽しみ方は様々であると再度感じた舞台でした。
帰りは会場で会った、顔見知りの方々と乾杯。
まずはベルギービールから、お通しの辛い枝豆や生ハム盛り合わせに合います。
2杯目以降はスパークリングワイン。6人中3人が愛酒家、ボトル2本空けました。
ハムをのせたカマンベールをいただきつつ、ワインが進みます。
初対面の方もいらっしゃいましたが、健康に良いからとバレエのバの字もよく分からず始めたら
古典作品の違う演出の見比べに夢中になったとのこと。更にはコールド観察には2階席が良いと嬉しい発見をして
益々鑑賞が面白くなったと仰る方もいて話が弾みました。
皆さんレッスンに定期的に通っていらっしゃる方ばかりで、勉強になることが山程あり
鑑賞街道まっしぐらな私を皆さん受け入れてくださってすぐ打ち解けることができたのも嬉しく安堵。
12月のようなテーブル、ロティサリーチキンを豪快に切っていただきます。
思えば今年も残り2ヶ月半、瞬く間に過ぎる1年です。