8月18日(土)、めぐろパーシモンホールにて佐藤勇次さん主宰のスタジオに通う方々と男性ゲストが集結した
YUJI SATO BALLET FESTA7を観て参りました。2014年から数えて今回で5回目の鑑賞です。
バレエフェスのガラに比較すれば1時間半短いとはいえ4時間に及ぶ多種多彩なプログラムでしたので
特に印象深かった演目について、上演順にいくつか取り上げていきます。
まず『ゼンツァーノの花祭り』で新国立劇場バレエ団アーティストの渡部義紀さんが恐らくは初登場で
細かい脚捌きがとても綺麗で軽やか。新国立での本公演ではなかなかソロの役で鑑賞する機会がなく
今回女性と組むパ・ド・ドゥを踊る姿にお目にかかれて嬉しい演目でした。
『ロミオとジュリエット』では芳賀望さんが意外にもと言ったら失礼だが
ジュリエットから視線を離さず一途に真っ直ぐ突き進む姿から
バレエフェスで観た2人のダンサーよりも恋するロミオに見えたのは驚き。
白眉は第2部最後、貝川鐵夫さんの新作『静かなる熱情』を踊られた山本隆之さん。
押し留められた感情がしなやかな上体から一気に沸き立って力強くも物哀しい空気で満たされました。
先駆けて披露された今月上旬の徳島県鳴門市での舞台以上に後光が差して目黒区八雲に神降臨。
派手な跳躍がない振付によるソロでありながら舞台面積を感じさせず
山本さんの存在感の美しさ、心得た見せ方踊り方にこの度も平伏したい思いです。
背景に山本さんの影が大きく映し出される演出もあり何処か歪みのあるような神秘的な世界に引き込まれました。
曲はラフマニノフ『鐘』のピアノソロです。
テクニック盤石で勢いを見せたのは『ライモンダ』グラン・パ・ド・ドゥでの浅田良和さん。
騎士には見えんかったが(今年3月のバレエ協会全幕に続いて失礼)
教室主宰の立場になっても衰え皆無でレベルを維持、今もあちこちの舞台に引っ張りだこであるのは頷けます。
11月11日にメルパルク東京で上演の篠原聖一さん振付演出「AN'AΓKH」宿命 ~ノートルダム・ド・パリ~では
3年前の初演時(大阪の佐々木美智子バレエ団公演)に福岡雄大さんが熱演されたグランゴワール役でご出演。
福岡さんが物語のキーパーソンとして目を見張る活躍でしたので浅田さんがどう練ってくるか楽しみです。
ちなみに芳賀さんはクロパン役でご出演。美味しそうな名前ですがエスメラルダ出生に関わる重要な役どころです。
大トリを飾ったのは斎藤由佳さんと福岡さんによる『タリスマン』。
長い手脚、細身な肢体から光が零れる斎藤さんは役を問わず場を圧倒する輝きを放ち
記憶が正しければこの演目においては2011年大阪でのKチェンバーカンパニー公演以来の鑑賞である福岡さんは
パワフルな魅力に品や滑らかさが加わり、当時とは一味違った爽快感がありました。
演目の中には、今年2月のドイツ北部のバレエ団による全幕公演で目にした振付や
英国の巨匠が帝政ロシア滅亡期の皇帝一家の史実を題材に振り付けた作品における
革命軍突入寸前の舞踏会で皇帝の愛人が踊る場面、黒海に隣接した地域生まれの振付家が
宝石を題名にして作ったものなど実に様々。勇気ある披露と思うと同時に
交響曲ポーランドを2度も聴けたのは喜ぶべきことと前向きに捉えた次第でございます。
カーテンコールの最後には中央の幕から佐藤先生がご登場。
佐藤先生らしく控えめな登場でしたが、ここ最近入院通院を繰り返していらっしゃると聞いており
にこやかな笑みを客席に向けて挨拶なさるお姿に少し安心いたしました。来年も楽しみな舞台です。
帰りは会場近くのカレー屋さんに当ブログのレギュラーことカウンセラー友人と立ち寄り
赤ワインとチーズ入り茄子のせマッシュポテトで乾杯。友人はソフトドリンクでございます。
マッシュポテトの見た目は量少なめに思えますが、チーズとポテトがぎっしり詰まっていて十分な量でした。