近年日本を訪れる外国人観光客が急増し、街中で道を尋ねられた経験のある方も
多くいらっしゃることと思います。
私も何度かあり、先日も新宿駅の地下を歩いておりましたら男女のカップル(ご夫婦?)に声をかけられました。
目的地のホテルまでの距離は近くても新宿駅の造りは複雑で初心者にはかなりの難関。
加えて何度か書いておりますが私は英語が大の苦手で説明もまず不可能です。
また私もワシントンD.C.やモスクワ訪問時、困っていたときに助けてくださったのは親切な現地の方々で
モスクワにおいては地下鉄乗車時における切符購入で受付窓口を目の前で閉められ途方に暮れていたときには
ロシア軍のお世話にもなりました。
初めての東京でしかも人でごった返す新宿駅には観光客もさぞかし驚き不安に駆られるはず。
目的地までの道は把握しているため、案内しながら一緒に向かうことになりました。
お2人はスペインからいらしたとのことで、4年後の夏季オリンピック開催国の
おもてなし精神が伝わったか否かはさておきグラシアス!と挨拶。
英語も殆んど話せず、更には突然母国語でお礼を呟いてくるという
何を言い出すかよう分からぬ変わった日本人に終始優しく接してくださる素敵なお2人でした。
新宿駅は大きいなどと話しながら歩いていますと女性の方から
東京で一番大きな劇場はどこかとの質問。
あら、素晴らしいご質問!と感激してすぐさまニューナショナルシアター!!(新国立劇場)と答えました。
どうやら舞台芸術に興味をお持ちのようで、バレエもお好きなご様子。
オペラとバレエの大体のチケット価格が気になっているようでした。惜しい、新国バレエは今公演がない…。
ひとまずコール・ドが実に美しい、レパートリーが豊富などと新国立の営業部に負けじと宣伝したのであります。
それからスペインといえばスターダンサーを多く輩出している国。タマラ・ロホについて聞くと勿論知っている、
今イングリッシュ・ナショナルの監督をしているわよね、と誇らしげに答えてくださいました。
またアンヘル・コレーラもご存知。英国ロイヤル・バレエのゼナイダ・ヤノフスキーもスペイン人だったはずと
あれやこれやと話が弾みました。
心残りはジョゼ・マルティネスとナチョ・ドゥアトを思い出せなかったこと。
マルティネスはパリ・オペラ座バレエ団エトワールを経て現在はスペイン国立ダンスカンパニーの監督ですし
ドゥアトは作品指導のために先に話題になっていた新国立劇場バレエ団にいらしたこともある振付家です。
昨年のトリプル・ビルでは『ドゥエンデ』を上演したばかりで
2008年のワシントンD.C.公演でも好評を博している作品であります。
この2人について聞けず、『ジゼル』2幕冒頭のアルブレヒト並みにああ後悔。
それはともかく、梅雨どきの天候不安定な季節にも関わらず来日してくださったのは嬉しいこと。
良き日本滞在になるよう祈ります。
ところで、最近新国立劇場バレエ団公演でも観光客らしき外国人が増えていると見受けます。
日本に来てまでわざわざヨーロッパ発祥の芸術を堪能したいと思う方はごく少数ではないかと思っていたものの
本当にいらっしゃることが今回はっきりと分かりました。
そういえば、今年3月のDance to the Future公演でも2階のある一角では
外国人の方々がグループで鑑賞されていたと記憶。『アラジン』でも何名か見かけました。
しかしスタッフ自らが客席でマナーを呼びかける際は基本日本語のみでマイクは特に使用しないため
私でも聞き取りにくいときが多々あります。
地元で舞台鑑賞に慣れていても写真撮影の可否を始め日本と諸外国では劇場マナーが何かと異なり、
『アラジン』でも外国人の方々が日本語による注意の呼びかけに対し懸命に耳を傾けていましたが
互いに顔を見合わせて首を傾げ、理解には至っていない印象でした。
歌舞伎や大相撲といった伝統芸能、スポーツのみならず、
バレエ界ダンス界においても訪日観光客向けのサービス強化を図る必要性を痛感した次第です。
※アラジン感想は、そろそろ書いていきます。