5月20日(金)の夜、世田谷区等々力の玉川区民会館にてダンサーズサポート主催・
バレエ評論家の守山実花先生によるバレエレクチャー・シリーズ1を受講して参りました。
http://dancerssupport.com/hot-topics/news/1029/
テーマは伝説のダンサーたち。ヌレエフ、バリシニコフ、ダウエルを中心とした内容で
どんな魅力があるのか、なぜ今も尚人気を誇っているのか、細かい箇所に至るまで解説してくださり大変勉強になりました。
特に興味を惹かれたのはヌレエフ。バリニシニフやダウエルの全幕映像は何度か観ておりますが
ヌレエフの場合歴史に残るスーパースターとは分かっているものの濃すぎるメイクや
美しさの限界を超えてまでも回転数や高さのある跳躍に挑戦しようとしている姿勢に
なかなか好感が持てず、さほど関心を抱けずにおりました。
しかし今回、亡命後いかにして人気を博したかの経緯やヨーロッパ文化に育まれる中で身に付けた優雅さなど
思わず聞き入ってしまうエピソードが多数。
中でも『白鳥の湖』湖畔のアダージオにおけるマーゴ・フォンティンとのパートナーシップでは
手にそっと触れる仕草があちこちで見られ、単なるサポートに終わっていません。
僅かな物音ですら許されないほどの静かなパ・ド・ドゥであっても互いの間に湧き起こり高ぶる感情を丁寧に紡ぎ、
極上のパートナーシップに繋がっているのであろうと感じさせました。
自身が目立ちたい欲求が爆発したのも影響していると思いますが
近年様々な媒体に綴られている『白鳥の湖』といえば主役はオデットであると同時に
王子の成長物語でもあるとの解釈はヌレエフが起点であったといえるとの話にも納得できました。
思い出しましたがヌレエフが生まれたのは長距離列車の中。
そしてきちんとしたバレエ教育を受け始めた年齢が遅かったがために
当初は周囲から笑い者扱いを受けていたと何かの書籍で読んだ記憶があります。
また亡命についても挙げないわけにはいきません。すり抜けるようにして成し遂げたと聞き、まさに命がけ。
バリシニコフやマカロワもですが国に監視されている最中、相当な覚悟がなければ踏み切れない行為です。
会場は会館の中の会議室で非常に和やかな雰囲気。
守山先生は壁を作らず受講者の疑問質問に丁寧に楽しく答えてくださいました。
初対面同士であっても隣近所の方々と自然と会話が生まれたのもこの講座ならではです。
主催され、守山先生の補佐も担当されていたダンサーズサポートの方が醸す気さくで優しいお人柄にも感激。
思わずダンサーもあれこれ話したくなってしまい、また話し手から言葉を引き出すことに長けていらっしゃるのでしょう。
ウェブサイトに掲載されているダンサーへのインタビュー内容が実に濃いのも頷けます。
http://dancerssupport.com/interview/
講座は勿論、終了後の楽しいひとときにも感謝。是非今後も続けていただきたい企画です。
※ダンサーズサポートトップページ。いつ見ても写真が綺麗、舞台衣装ではないダンサーの姿がまた素敵です。
http://dancerssupport.com/