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平成最後・元祖王子の眠り全幕 グラッシオバレエスクール第39回発表会『眠れる森の美女』『ボレロ』『アラジン』『キャンディーの国』4月21日(日)《兵庫県姫路市》

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4月21日(日)、姫路市立文化センターにてグラッシオバレエスクール第39回発表会を観て参りました。
3年連続の鑑賞で、この時期は毎回晴天に恵まれております。

http://www.grazio.jp/sp/news/

第1部は子供の生徒さんたちによる『キャンディーの国』。全曲『くるみ割り人形』の曲で構成され
独立して流れるのは珍しい行進曲のあとのクララによるソロからの展開や
グラン・パ・ド・ドゥのコーダ部分を子供たちのみで披露したりと
何度も耳にしている曲でありながら新鮮に響いた印象です。
衣装は全てチュチュで、お花模様が可愛らしくカラフル。
また序盤に1幕の行進曲を持ってくることでバレエに馴染みのない方にも
親しみを持ってすっと入り込みやすい点は2年前のジブリ音楽満載な『回転木馬』や
昨年の『ディズニーファンタジー』に続き、掴みが上手いと思わせました。

続いては『ボレロ』。様々な振付がありますがすっきりしたレオタード系のソリストペアと
スペインの伝統衣装の群舞が組み合わさった演出は初鑑賞。
交互に登場することもあれば女性は白、男性は黒のソリスト中心に
女性は赤、男性は黒でまとめた群舞が円を描きながら中央へと迫る箇所もあり
全体の動きを追うのが面白い15分が瞬く間の作品でした。
『ボレロ』といえば、最も多く観ているのはベジャール版ですが
曲を聴くと目に浮かぶのは1984年のサラエボ五輪アイスダンスで
立て膝のまま頭を上げてぐるり回しながら演技を開始し
当時の6.0点満点の採点方式において芸術点全て6.0を叩き出したトーヴィル&ディーン組でございます。

第3部は『アラジン』、原振付は『ボレロ』と同じく赤松優さん。
音楽はディズニーの他、宮廷での場面は『ラ・バヤデール』のジャンペやパ・ダクションを使用。
躍動感がある曲調ですし設定国は異なっても色鮮やかでエキゾチックな趣き
玉ねぎ型のお城の背景は似通っているため違和感無く話に嵌り具合も絶妙です。
衣装はハーレムパンツとチュチュ、半々で華やかで見栄えするデザイン。

主人公アラジンは宗近匠さんで、市場でいたずらして追いかけられながら
次々と跳躍を繰り返しながら駆け抜けて行くお調子者な性格を表現され
盗みはいけませんが街の人達が思わず見入ってしまうのも納得。
ディズニー版の衣装と似たベストや赤い小さな帽子もお似合いでした。
ジャスミンは2人交代で踊られ、前半は外の世界への憧れとアラジンに出会い戸惑い恥ずかしがるピュアなプリンセス。
後半はアラジンと相思相愛な関係になりながらもジェファーに追われ
危険を乗り越え遂にはアラジンと結ばれる意志の強さのあるプリンセスで入れ替わりもスムーズ。
両ジャスミンとも出会い、再会、結婚式、とパ・ド・ドゥがふんだんにあり
アラジンとの感情の通わせを明示した上で物語が展開するため分かりやすい筋運びでした。

ジャファーは岩本正治さんで、想像する限り実写版や劇団四季の役者よりも怪しさ不気味度は上を行くであろう
泣く子も黙る、でも笑いも堪えずにはいられない愛嬌をも備えた大臣でした。
そして忘れてはならない、ディズニーもびっくりな青色星人な色を纏って存在感を示していたのは
金兌潤さんのジーニ。アニメよりも水色に近くドラえもんを彷彿させたのはさておき
真っ白な出っ歯で終始ニヤリと笑いながら縦横無尽に跳び回り
小さな子供の観客の笑いをも誘う怪演でした。
子供の生徒さんも大勢出演の作品であっても無理やり出番を作った感はなく
宮廷で姫を支える人々として溶け込んだり、
ジーニに仕えるランプの精として後ろを一生懸命ついて行く場面は
ジーニが保育士さんに見えてしまって微笑ましくも適材適所な演出に思えた次第です。

ところで、千葉県浦安市の夢の国ではしゃいだ経験がほぼない私が
ディズニー版の映画を鑑賞したのは高校3年の冬、最後の英語の授業でしたが
AOや推薦入試で進路が決定していた大半の生徒とは反対にまだ一般入試が残っていたため楽しむ余裕なく終了。
改めて鑑賞しようと考えていたものの年月は過ぎ、そうこうするうちに
新国立劇場バレエ団にてビントレー版が初演され以降映画でもミュージカルでも
触れる機会はなく、『アラジン』といえば我が記憶媒体には抜粋含めれば20回は観ているであろう
そしてグラッシオさんのこの発表会当日に7月開催の新国立アラジン富山公演のチケットが発売開始となったビントレー版のみ。
今回グラッシオさんで鑑賞できたのは幸運でした。

締め括りは『眠れる森の美女』全幕。プロローグから緻密で艶やかな衣装に身を包んだ貴族や
全員色違いの妖精ソリストの登場にまずは安堵し(これ大事。某国立版を多数鑑賞している身としては痛切に感じております)
リラのお付きの精たちは薄紫。ソリストの妖精たちにはカバリエが1人1人に付く豪華版で
要所要所で披露される一斉リフトしてのポーズはどの場面でもぴたりと決まって
高揚感をもたらし、大きな拍手が送られました。

カラボスは金さんで(王子からキャラクターまで何でも屋なダンサーか?)
特別濃いメイクをしていないながら顔を白っぽく塗って冷徹さを帯びた表情が恐ろしくも美しくマイムも雄弁。
登場シーンにも工夫が凝らされ、後ろ向きに現れたカラボスがマントを広げると
くねっとした腕が千手観音の如く両側から何本も現れて手下たち出現し続いてカラボスが正面を向いてすぐさま場を支配する展開で
煙を上げる乗り物がなくても、派手な雷鳴照明がなくても
舞台奥を広々と使った登場演出は場の空気を瞬時に一変させ吸い寄せられる効果がありました。

1幕でいよいよオーロラ姫登場、薄いピンク色のチュチュで1幕オーロラのイメージそのままでまず一安心。
マラーホフ版など、よほユニークな演出でない限りローズ・アダージオのオーロラはピンク色であって欲しいのです。
(繰り返しになるが、某国立は、、、以下略)
大事に大事に育てられた16歳のあどけないお姫様な姿に頬が緩みそうになり、
おっとりとした気品ある踊りも魅力的で祝福感に満ちた誕生祝いでした。

さてお待ちかね、2幕で山本隆之さんのデジレ王子ご登場。貴族たち村人たちの踊りは全カットで
誰もいない薄暗い森に歩きながらの登場でしたが
一歩一歩ゆったりと歩き、物思いに耽つつふと顔を上げて周りを見渡す佇まいといい
何処を切り取っても胸をきゅっと締め付けられる絵に描いたような王子なお姿にああ感無量。
山本さんの眠り全幕デジレ王子を拝見するのは2007年8月の福岡以来12年ぶりで干支一回りでしたが
世の王侯貴族の手本となるような骨の髄まで気品が宿る貴公子は世界を渡り歩いてもなかなかお目にかかれないでしょう。
リラの精に導かれる場面では舟リラ号無しであっても幕前で行われるリラとのパ・ド・ドゥにおける
サポートの滑らかな美しさにもはっとさせられ、むしろ舟無しで良かったと思えたほど。
3幕でのアポテオーズでは姫も王子も長いマントを着けて再び登場し
いつまでも余韻に浸っていたい厳粛且つ眼福な結婚式でした。

グラッシオ版眠りは2年前の『ライモンダ』と同様短縮していても頑張ってカットしました感が無く
壮大な全幕を観ているようでありながら終わってみれば2時間半に上手くまとめられていてお見事。
その昔、東京バレエ団で眠りを観た際に感じた確かに短めに作られているものの
幻影場面で妖精たちがちょこっと左右に動いていたかと思ったら
姫お目覚めな展開には余りの短さに腰を抜かしそうになったと記憶。
しかしグラッシオ版では1幕花のワルツ前での糸紡ぎをする村人たちの騒動や
2幕冒頭の村人たちの踊りや貴族の戯れはカットするものの
残すべき箇所はきちんと披露し、作品が持つ絢爛さを損なわぬよう徹底して考え抜いての短縮であるため
物足りなさが皆無なのです。また衣装もセンス良く、王道路線。
幕が上がり、最初に登場する貴族たちは緻密な模様に目を留めたくなるデザインで

ここで好印象を抱かせるのは重要ポイント。(度々思う、貴族の衣装も大事だ!)
宝石たちはそれぞれきらきらと散りばめられた輝きが眩しく、
青い鳥は長袖で羽と細かな模様も付いた凝ったデザインで某国立の端午の節句を祝いに来たんかと
突っ込みたくなる鯉のぼりとは大違いで(当然でしょうが…)
豪華なクラシックバレエ全幕を堪能した、と心底思える眠りを鑑賞できました。

来年は40回の節目、バレエコンサートやヴァリエーションではなく
毎回幕物で楽しませてくださっているグラッシオさんの次回のプログラムが今から楽しみです。


※以下、旅写真及び平成最後の挨拶がございますが、もしお時間に余裕があればご覧ください。

 

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会場外観。いつ来てもガンダムに見える。

 

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終演後は大阪にてバレエスタジオ主宰なさっている方と
感想を語り合いながら徒歩で姫路駅へ。所要時間約25分です。

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3年連続で駅前の播州GOTTOへ。播州産の食材をふんだんに使った料理を味わい
究極の王子様や!マントはあかん、震えた!など感想を興奮しつつ感想を語り合いました。
東京のバレエ事情にもお詳しく、新国立を始め私の舞台鑑賞記にも度々耳を傾けてくださいます。

 

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遡って4月20日(土)の朝に姫路着。朝7時頃、既に空は快晴で姫路城が見えます。
駅近くの宿泊先ホテルに荷物を預け、電車の出発時間までまだ余裕があったため撮影。

 

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姫路駅構内のお店でおにぎりとお味噌汁。これで200円です。
身体に沁みる味で元気に竹田城方面へ出発。

 

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兵庫の車窓から。

 

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姫路駅から約1時間でアクセス良好、竹田駅に到着。

 

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竹田城に向かっていざ出発。マイクロバスには乗らず、トボトボ歩いて料金所を目指しました。入場料として500円の支払いが必要です。
斜面は想像以上に急で、初心者向け登山道とは書かれてはいたがそうでもない笑。
しかも登り始めから約30分は人に会わず、1人黙々登山。

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雲一つない青空に映える城塞。

 

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斜め上から、ラピュタは本当にあったんだ!(愛媛の別子銅山のときと同様に言ってみた)

 

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盆地、絶景。

 

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竹田城にかかる階段。桜も少し残っています。

 

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堅固な石垣。次は雲海が見える時期に参ります。

 

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高台から。新国立のライモンダにも、ランブールの絵だったか
山に聳える城壁が繊細なタッチで背景に描かれ、ロマンを誘います。

 

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竹田駅近くにて、城下町が続く通りの竹田町屋カフェ寺子屋にて休憩。
炭酸は苦手だが、下山後のサイダーは甘さが心地よく美味しい。
高倉健さんも映画のロケで竹田城と合わせて訪れたお店だそうです。ナウシカの漫画が置かれていました。
※しばしば疑われますが、いくら好みが渋いとはいえ高倉健さんや菅原文太さん、石原裕次郎さんの虜になったことはありません。
当ブログでも例えとして時々登場しているため、疑惑を持たれても致し方ないか笑。

 

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姫路駅ビルにて明石焼き。姫路オリジナルなのか、タレもつけていただきます。

 

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夕食はこちらの姫路おでんのお店へ。

 

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酒粕と生姜入りの白おでんと生姜醤油のロールキャベツに地酒。一口含んだだけでも酔いが回りそうな白のタレも気に入りました。

 

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翌朝はまもとコーヒーへ。

 

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念願のアーモンドトースト、香ばしく美味しい。
保存料使用を避けたいためはまもとさんのアーモンドバターは市販されていませんので、次回姫路に来た際にも訪れたいと決意。

 

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早朝の姫路城とはまもとコーヒーへは宿泊先ホテルにて借りた自転車を利用。名前は勝手にチャリ子、名付けセンスはリラの精を見習いたい笑。
ホテルの大浴場でも簡単にはほぐれず、前日の竹田城登山で
脚が筋肉痛だったため、自転車は大助かりでした。
姫路駅周辺は自転車用道路が広く整備されています。

 

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しろまるひめ

 

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恐らくは藤と城。この角度から毎回撮影しております。藤の花はライラックにも似ている気がしており、この日は午後から眠り全幕!

 

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3年連続で食べに来ております、姫路城を眺めながらのお店にて蒸し牡蠣。日本酒奥播磨といただきます。



さて、平成も本日で終わり。テレビ局の多くで特集番組が流れ、
世間では平成最後の云々と商戦や企画が繰り広げられています。
偶然ではありますが、私がバレエに興味を持ち鑑賞を始めたのは平成元年
つまりは平成と共に今日までバレエ鑑賞人生を歩んで参りました。
今年8月に鑑賞歴30年を迎えるため総括は別途行おうと検討中でおりますが
その間クラシックからコンテンポラリーまで多数鑑賞。様々な作品に触れるようになって以降は
お姫様王子様妖精が登場する作品だけがバレエではないとバレエに対する世間の偏った印象をどうにかできないか
考える日々が続きましたし、私の中の好きなバレエ作品上位13本には三大バレエは入っておりません。
ところが我が身を振り返ると、「元祖」と「新鋭」2人の王子が平成時代最後を彩る主演演目は
4月21日(日)姫路市での『眠れる森の美女』と東京の新国立劇場における4月27日(土)アシュトン版『シンデレラ』。
演目こそ違えども心奪われた女性を王子自ら助けに探しに行動を起こす究極のおとぎ話であり、これまた偶然が重なって
どちらの演出も大きなマントを翻しながら結婚式に臨む
格調高さと蕩けるようなときめきが凝縮した場面が盛り込まれています。
結局はこの手の姫と王子の物語に対する憧憬が人一倍強いのか
酒場にて1人で過ごすことを何ら苦に思わぬ乙女度皆無な自身を思うと不思議ではありますが
思いを巡らす平成最終日でございます。
新元号を綴ってみるものの混乱防止のため書類記入時は可能な限り西暦派である管理人ですが、
令和時代も皆様どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

平成31年4月30日 アンデオールバレエ日和管理人

 


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