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Channel: アンデオール バレエ日和
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バレエ関連テレビ放送雑感 フェドセーエフ指揮『くるみ割り人形』全曲 /映画『チェコ・スワン』/英国ロイヤル・バレエ団『白鳥の湖』/藤原歌劇団『椿姫』

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ここ最近バレエ関連のテレビ放送が立て続けにありましたため、雑感程度ですが綴って参ります。
かなり簡素な点は悪しからず。テレビ放送の感想なんぞ読む気にはならぬという方は恐れ入ります、
次回更新予定のボリショイシネマ『ラ・シルフィード』或いはNBAバレエ団『白鳥の湖』までお待ちください。

※写真は椿姫テレビ放送視聴用に購入した闘牛を想起させるラベルのスペインワイン。



◆フェドセーエフ指揮『くるみ割り人形』全曲演奏

バレエ無しで全曲演奏を聴いた際に受ける印象はどんなものか、興味津々に見始めました。
『白鳥の湖』は2年前に全曲をオーケストラの定期演奏会にて演奏を鑑賞しておりますがくるみは初でございます。
結果、公演発表会含めてバレエ作品の中では恐らくは最たる鑑賞回数であるが故
どうしても踊るテンポが刷り込まれてしまっているため時折ゆったりとした演奏には驚きを覚えたものの
パートごとに用いられている楽器をじっくり観察できたのは収穫。
そして映し出された客席をよく見ると、指揮者すぐそばにてご鑑賞の方も含め
つい気持ち良くなってしまったのかドロッセルマイヤーの魔法にかけられたのか
スヤスヤとした表情の方もちらほらいらっしゃり、心地良い演奏であったのだろうと想像できます。
因みに、オーケストラ後方側の席も何度かカメラが向き
鮮明まではいかずとも観客の表情はほんのり分かる程度には映されていました。
思い出したが、昨年の3月下旬季節外れの大雪の中にて足を運んだ
トゥールーズキャピトル管弦楽団の演奏会は同じ会場のサントリーホールで開催され
後方側の席にて鑑賞いたしましたが、もし放送されていたと考えると冷や汗もの。
ストラヴィンスキー『火の鳥』演奏中は妄想に耽り、1人ニンマリしていた
我が見苦しい顔が日曜日夜のお茶の間に発信されていた可能性もあり得たのですから
鑑賞中の顔は要注意であると痛感です。

話をくるみに戻します。バレエシーンが無い分はっきりと分かるのは、数あるくるみの中でもどの版が好みであるか。
当然ながら過去に観たバレエが思い浮かぶのですが、とにかくくるみは多くの演出振付を鑑賞しているものの
咄嗟に浮かぶプロダクションこそ自身が特に気に入り心を奪われた舞台であると再確認できるのです。
浮かんだのは通い詰めている新国立ではなくボリショイのグリゴローヴィヂ版、
しかもアルヒーポワとムハメドフ主演の1989年の映像でございます。
子供騙しではなく、人形たちや花のワルツの人々がマリーと王子の結婚を盛り立て舞台転換も見事。
そしてフィナーレの結婚式ではマントした王子の腕の中にマリーが飛び込みお姫様抱っこで高揚も最高潮へと達し
収録から30年が経とうとした現在もなお、色褪せない舞台であると感じております。

◆チェコ・スワン
http://czechswan.jp/

清泉女子大学での講座ラファエラ・アカデミアで知り合った方が映画館にてご覧になったと教えていただき放送視聴。
私の中では、映画通の素敵な先輩と呼んでおります。
チェコの中年以上の女性たちが白鳥の湖に挑戦する話で、素朴であたたかな交流が気持ちよく響く映画でした。
バレエダンサーの女性の人柄も落ち着きがあり、例えばこの手のダンス映画にありそうな、
ダンサーのプライドが高い余りに年配の女性たちに対して苛立ったりする場面が無かった点も好印象。
終始丁寧で穏やかな語り口で教え、女性たちの純粋な喜びに触れるうちに
失いかけていた自信を取り戻していく過程も見え、ほっと和む作品でした。
練習中に、水ではなくビールが飲みたいとアルコールを欲していた点には思わず少し親近感を抱いた次第。
そういえば、チェコは世界きってのビール消費国です。
(レッスン回数は少ないものの、再開後は終了後必ずと言って良いほど
スタジオ近くの海鮮居酒屋へ日中から飲みに行く管理人でございます)

◆英国ロイヤル・バレエ団『白鳥の湖』

シネマでも上映された新作のリアム・スカーレット版。調布にて昨年鑑賞いたしました。
英国系の白鳥では共通なのか、チャイコフスキーの時代に設定してリアリティを追求する余り
1幕の祝祭感が表現、衣装、美術含めてかなり抑え目であった印象です。
(確かスカーレット版も時代は1800年代後半あたりの設定であったと記憶)
ただ目も眩むような3幕の壮麗重厚な美術衣装は思わずじっと見入り、いつの日か生で観たいと再度思わせました。
NBS御中、来日公演で持ってきてくださるよう願います。

◆藤原歌劇団『椿姫』

1月下旬に東京文化会館にて上演されたオペラ。2回観に行き、待ち侘びていたテレビ放送です。
親しみやすいヴェルディの音楽に衣装美術が上品で華やか、オペラ入門者でも十二分に堪能できる舞台でした。
さて最たる注目は2幕のバレエシーンのカメラワーク。オペラ通の方によれば
オペラの場合バレエシーンであっても歌手ばかりが映されてしまう舞台もあり、不安が過っていらしたとのこと。
緊張しながら録画を確認したところ、そこはNHK。ダンサーもたっぷりアップで撮ってくださっていてああ安堵。
実は収録日であった初日は1階R側でカメラ席のすぐ近くであったため
ダンサーもしっかり撮るようにと念力を送り、通じたか通じていないかはさておき
次々とテレビ画面に現れるギラリとした闘牛士に歓喜して笑いが込み上げ瞬く間の出番でした。

それからテレビ放送視聴もう1つの目的は、バレエシーンの歌詞。
他の場面は歌手と字幕交互に観ていたため概ね歌の内容は頭に入っていましたが
バレエシーンとなれば闘牛士ばかりに目が行き、字幕なんぞ観る間もない。
放送にてようやく歌詞の内容を把握できました。まず闘牛士はビスカヤ出身のピキージョという名前らしい。
意外にも細かな設定がなされている点に驚きながら読み進めていくといたく官能的な内容で、娘に恋した闘牛士に対し
1日に5頭の牛を倒してみせるよう内気な娘はお題を出し、勝利したら身も心も捧げる意思がある様子。(会場近くを神田川が流れているとはいえ、輝夜姫か笑)
闘牛士は分かったと答えて出かけて行き(甘い言葉を残していくわけでもなく実に簡潔。高倉健さんのようだ)
対角線上に前進しながら牛に扮した男性たちを勢い良く上から手で突き刺すようにしていったのち、
見事達成した有言実行の闘牛士が美しい娘の元へと駆け寄っていった振付の意図がようやく把握できたのでした。
自らの腕前で愛を示す勇ましさ、これが闘牛士が恋人を手に入れる方法であると周囲は讃え
興奮も最高潮へと達したところで終了です。

ダンサー出番は本当にここのみで、もう暫く立ち役として舞台にいて欲しかったとも思えましたが
たった数分であっても強烈な印象を残し、事実会場も大きな拍手が沸き起こりましたから
振付の伊藤さんのセンスに竹内さん渡邊さんの技量表現双方がぴたりと噛み合い、歌詞の意味に似つかわしいお2人で
舞台を何倍にも艶やかな華やかさで満たしてくださった見事なバレエシーンでした。
カーテンコールは名前も合わせて、渡邊さんの邊の字がはっきり見えるほどにアップで映され満足な収録内容です。

さて明日明後日も新国立にて『ラ・バヤデール』鑑賞ですが、明日昼公演は管理人の母も参ります。
先入観なく観て欲しいため詳細は話さずにおりますが
コール・ドの美しさや衣装美術の豪華さ、父そっくりの貝川さんラジャーに感激するのは目に見えており、
更にはソロルの印象も何かしら残ればと願う前夜でございます。




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