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Channel: アンデオール バレエ日和
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鳴門の海から羽ばたく記念公演 清水洋子バレエスクール第20回記念公演『白鳥の湖』全幕 8月5日(日)《徳島県鳴門市》

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徳島県鳴門市にて、清水洋子バレエスクール第20回記念公演『白鳥の湖』全幕を観て参りました。
http://yokoshimizuballetschool.web.fc2.com/news.html#20180805

新国立劇場の山本隆之さん、小野絢子さん、福岡雄大さん、福田圭吾さん、福田紘也さん、
板東ゆう子ジュニアバレエの新垣拓さんをゲストに迎えた大変豪華な記念公演でした。
清水バレエさんの初鑑賞が酒井はなさんと山本さんがゲスト主演された
第10回記念の全幕白鳥でしたので、時の流れの早さを感じます。

昼の部ではバレエ・コンサートとコンテンポラリーを上演。
小さな子供の生徒さんから中高生、大人の生徒さんまでが揃い、様々な作品を満喫できました。
大人クラスの方々による『コンツェルト』はオレンジ色のグラデーションで整えられた
やや長めのチュチュがいたく爽やか。何処ぞのバレエ団の昨年新制作くるみにおける
花のワルツのような蜜柑状態にならず(年末通い詰めますが)
全員が呼吸を合わせながら、しかも体力を落とさずに最後まで綺麗に舞う姿が清々しく映りました。

グラン・パ・ド・ドゥも2本あり。『海賊』では生徒さんの大人びた雰囲気と
繰り出される目の覚めるような安定感のあるポーズにはっとさせられ
紘也さんの奴隷にしては上品で優しそうなアリとのバランスも良し。
『エスメラルダ』はボリショイバレエ学校留学中の生徒さんが踊られ、
堂々たる表現に強さと柔らかさ両方を備えた踊り方も目を惹きました。
圭吾さんは物語性薄目の作品であって相手を安心させてあげるように
心のこもったサポートで場を明るくしてくださり、
バレエ・コンサートの締めに相応しい舞台を届けてくださいました。

第3部ではコンテンポラリーダンスを2本上演。まずは貝川鐵夫さんが山本隆之さんに振り付けた「静かなる熱情」。
今月18日(土)にめぐろパーシモンホールで開催される
YUJI SATO BALETT FESTAでも披露予定のため詳細は伏せておきますが、
しなやかで力強い踊り1つ1つから内に秘めた熱い魂が少しずつ外へと弾け出ていくかのようで震えが止まらず。
会場を揺るがすお姿はまさに神降臨、この度も手を合わせた次第です。めぐろでご覧になる方はどうぞお楽しみに。

最後を飾るのは矢上恵子さん振付『Jeunesse』。17人で踊る構成で
小学校低学年ぐらいの生徒さんも交じっていましたが、皆ガンガン踊れて恐ろしくハードな振付でありながら
前半は軽やかなバロック音楽に乗せて若さと喜び、可愛らしさが会場一杯に溢れかえる光景に元気付けられます。
後半は一転して重たい空気を漂わせた緊迫感のある雰囲気に変わり、
張り詰めた中で絶え間なく連なっていく鋭さ、全員の身体能力の高さに鳥肌が立たずにいられませんでした。

『白鳥の湖』今回の主演ゲストは小野絢子さん、福岡雄大さん。
小野さんは揺るぎない意志を持つ強さのあるオデットで、端正な中にも
ロットバルトの魔法にかかった悲しみ、王子と出会って徐々に心に光が射し込んでいくオデットの心の変化が
全身から見て取れました。オディールはニカッとした嘲笑が怖し。
ロットバルトから耳打ちされた際も不敵な笑みを浮かべるとことん悪女路線です。
福岡さんは結婚が我が事として受け入れられないもどかしさや思い悩む様子を
1回1回確かめるようにして丹念に物語り、すっと感情移入。王子とともに歩んでいく気持ちにさせられました。

鉄壁のパートナーシップに裏打ちされた伸びやかさにおいては新国立劇場での公演よりも自由度の高い表現が一層光り
中でも3幕での王子とオディールのパ・ド・ドゥコーダでオディールが勝利を確信していく箇所では
王子がオディールを捕まえようと両腕を差し出すもすり抜けていってしまい
王子がオデットと信じて疑わず抑えられない感情の昂りと王子の心をとらえて離さない
オディールの謎めいた危うさ双方が一気に加速。お2人が描き出す目を見張る濃密な世界に引き寄せられました。

そして実質主役であったのは山本さんのロットバルト。
妖しく美しい今にも吸い込まれそうな強い魔力を持ち、目元の濃い青ラインが妖しさを際立たせます。
登場されただけで舞台が黒色で染め上げられ、オデットや王子でなくても操られてしまうのは間違いありません。
2014年の大阪ケイバレエスタジオ発表会ではモンゴルの帝王或いは三国志の映画に登場しそうな
アジア色の濃い衣装でしたが今回は黒で統一され、頭飾りも縦に長い豪華なもの。
映画『カストラート』を彷彿とさせ、もはやロットさんにばかり自然と目がいってしまう場を圧倒する存在感でした。
死に際の苦しみ悶える姿は叫び声が聞こえてきそうなほど哀れこの上なく、ドラマチックな幕引きを演出。
ロットバルト劇場、もっと鑑賞していたかったと心底感じたのでした。

最たる意外な配役であったのは紘也さんの道化。登場の瞬間は妙に大きい印象でしたが
紘也さん独特のおっとりした味わい深さが嵌り、愛されるキャラクターとして大活躍でした。
トロワは圭吾さんと生徒さんたちによる構成で、恐らくはこれまでに観たトロワの衣装で一番豪華。
シャンパンゴールドに彩られ、勿論踊る側も衣装負けせず優雅なひとときを与えてくださいました。
懸命に物事を教えつつも度々おろおろしてしまったりとマイペース系家庭教師な新垣さん、
そして王子だけでなく宮殿に集まった人全員に愛情深く接し
ショックで倒れるところにおいても麗しい王妃様も印象に残るキャラクターです。

花嫁候補が民族舞踊を引っ張る演出も面白く、ただの切り貼りにならず
プライド高き姫君たちが舞踊団の先頭に立って自国の舞踊で凌ぎを削り合う流れは
各々に声援を送りたくなる振付です。衣装も細かな装飾がなされたそれぞれ凝ったデザインで、観察もまた楽し。

隊形を何度も変化させながら作品を盛り立てるコール・ドはよく揃い
酷暑が続く中どれだけの練習を積んでこられたのだろうと考えるだけでも胸が熱くなります。
10回記念公演の頃よりは確かに人数は減っているもののそう感じさせぬよう工夫された振付、
何よりも1人1人が賭ける気持ちの強さもまた20回目の記念公演成功へと繋がったのでしょう。
嘗て所属されていた方々が大勢集結し公演を支える裏方として走り回っている光景から
生徒さんたちにたっぷりと愛情を注いで育ててこられた清水先生の慕われるお人柄が伝わり
スクールの結束力が眩しく映りました。これからの舞台も楽しみにしております。



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来年は8月25日(日)の開催です。どうぞお越しください。

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鳴門海峡夏景色に思いを馳せながら新宿発の夜行バスで早朝に徳島駅到着。
それよりも、強行やら阻止やらと国会の法案議決問題かと錯覚するような文字が報道で並ぶ
阿波踊りの総踊り問題の行方が気になります。
他所者が意見する資格なんぞございませんがせっかくのお祭り。市長と振興協会に生じた亀裂の修復を願います。

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いざ、朝風呂へ。宿泊客でない場合は7時から利用可能です。
早めに着いてしまった場合には、広い窓から景色が見渡せる開放感のあるロビーで待機できます。涼しいのも嬉しい。

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窓から見えた、第九バス。今年鳴門のアジア初演から100年とのこと。

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温暖化抑制策を訴える看板。車の利用を控えるようにと呼びかけているが、
電車もバスもやや不便な地域でしかも観光どころではないこの暑さ。
朝も日中も駅前は人がまばらで、車利用に頼ってしまうのは致し方ないのでしょう。
バレエ鑑賞と旅には何度でも来たいが、自動車運転免許証を持っていないため在住は難しそうです。

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昼は駅近くのお気に入りのうどん屋さんにて、コシの強いうどんにすだちの輪切りが爽やか。徳島らしい一品です。
鳴門わかめのかき揚げもいただきます。半熟卵はちょうど良いタイミングで揚げ立てが登場。

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終演後は徳島駅に戻り、クレメント内にて今月開店したばかりの阿波料理店で乾杯。まずはビールから。

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和田島の釜揚げシラス、すだちドリンクもあります。
久々に集まった個性が強過ぎる!?女性計4名で会話も弾みます。

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海鮮サラダにはお刺身もたっぷり、阿波牛のステーキもいただきます。日本酒は阿波天水。
阿波料理、お酒ともにどれも美味しく満足。

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鳴門市での20回記念公演の成功を祝して3杯目は鳴門鯛で乾杯。おめでとうございます。





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