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紗幕のあとはリフトリフトまたリフト 賛否両論の新制作 新国立劇場バレエ団ウェイン・イーグリング版『くるみ割り人形』 10月28日(土)〜11月5日(日)

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10月28日(土)から11月5日(日)まで新国立劇場バレエ団開場20周年記念公演
新制作ウェイン・イーグリング版『くるみ割り人形』東京公演を全5回観て参りました。
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/nutcracker/


舞台写真
http://www.nntt.jac.go.jp/enjoy/record/detail/37_011353.html

エンタステージのレポート
http://enterstage.jp/news/2017/11/008278.html

※お立ち寄りいただきまことにありがとうございます。以下、舞台演出についても多々触れております。
19日(日)開催のびわ湖公演で初めてご覧になる方は、
感想本文をお読みになるのは控えていただいたほうが良いかもしれません。

※新制作で配役多数且つ突っ込みどころ満載であるが故、申したいことが山々。まとまり感欠如な長文でございます。
ただ罰として深夜にネズミ王とその軍団の奇襲を受けぬよう今年6月の新国立『ジゼル』ほど長くなっていないはず。

※12日には上田公演を観て参りました。舞台機構の事情とはいえ信州特別版は大変面白く
むしろ本拠地公演より好ましい演出もあり。上田城近くでのくるみ蕎麦や地酒、
帰京中の新幹線での晩酌地ビールも美味しく、上田鑑賞及び滞在の感想についても後日書いて参ります。
びわ湖公演に間に合うか。


小野さんのクララは新制作初日独特の途轍もない緊張感が走る中、小刻みに怯える感情を込めながら登場。
子役と入れ替わっての決して華々しくはない登場であっても一気に引き寄せられ、観客の目が集中です。
それまでの子供たち中心の和やかなパーティーから一変、瞬時に場が引き締まりました。
18歳のレディーにしては中身が少々成熟し過ぎている印象もありましたが、表現が濃く豊かだからこそでしょう。
グラン・パ・ド・ドゥでの煌めき、これぞクラシックなる様式美は圧巻。

米沢さんは以前のジュリエットやオーロラ姫に比べ、感情の昂ぶりが一層鮮やかに。
深夜の静かな場面ながら子役との入れ替わりは小野さんと同様
しっかり者の女性と必死についていく男性といったバランスであった井澤さんとも
スムーズなパ・ド・ドゥで心の通わせが伝わり優しさに満ちたパートナーシップでした。

木村さんは設定年齢に一番近い年齢もあってか力んで作り込んだ様子がなく自然なクララ。
とはいっても親しみ易さよりも気高さや気品、視線を集めるオーラもあり。

1人3役を務めた男性主役陣もそれぞれ好演。
福岡さんは1幕では貫禄十二分な青年で帽子を被って登場されたときには
新制作初日の衝撃のためかナポレオンにしか見えず。
(後ほどまた述べますが、学業全般が苦手であったものの古代史を除く世界史だけは好きであった管理人、
中途半端な知識が鑑賞に妙な影響を与えることが時々あり)
威容な立ち姿とエスコートの優しさのギャップにもクララは惹かれたのであろうかと想像させます。

井澤さんは1幕においても少女漫画に出てきそうな麗しい王子様ぶり。
クララが頬を赤らめながら見惚れてしまうのは頷ける容姿です。

最初から最後までキラキラ感を噴水の如く放出していたのはムンタさん。
士官学校卒業にしては顔立ちが随分柔和で、勝手な妄想で申し訳ないが
恐らくは前線任務ではなく軍の事務員として就職するのでしょう。
癒しの存在として給与明細発行や備品の受注をきっちり行っている姿が目に浮かびます。
王子になってからも更に煌きは増し、好みは別として(失礼)おとぎ話の主人公そのものでございました。

甥っ子とくるみ割り人形の軍服が最もさまになっていたのは渡邊さん。
『ジゼル』、『しらゆき姫』ではサラリーマンヘアーから脱却して安堵した髪型問題が今回は的中し
ぴっちり斜め分けが気にはかかりましたがきっと細かな風紀検査も毎回一発でクリアするなど
士官学校を首席で卒業し、すぐさま前線任務に就くのであろう将来有望な公務員と考えれば無理矢理感はあるが納得。

ネズミの大軍との戦争場面や2幕冒頭のネズミの王様との再対決においても
くるみ割り人形役ではかなり踊る箇所が多く、通気性良好とは言い難い
人形のお面を着けながら踊るのは体力消耗も相当だったはず。
(お面については装着時間の長さに不満もあり、詳細は後ほど)
途中息切れしてもおかしくはない振付凝縮で、顔が見えないため身体で全ての表現を要求され
踊り切っただけでも賞賛に値。中でも襲われかけたクララを救出するべく現れた福岡さんの力強さ、
渡邊さんの斬り込むような勇ましい登場は爽快でした。

不思議な白塗りであったドロッセルマイヤーは怪しく操り物語を動かしながら舞台に厚みを加えていた菅野さん、
どこか飄々としながらも手品のこなしもスマートな貝川さん
お2人とも出しゃばりはせずとも気づけば目がいってしまう謎めいた存在です。

注目が集まった役の1つが他の版にはないクララの姉ルイーズ。
淑やかな細田さん、おっとり柔らかな奥田さん、愛くるしい池田さんとそれぞれ好印象でした。
2幕では葦笛の音楽に乗せて蝶々として登場し(クララとの絡みもなく関連性が伝わってはこないのだが)
複数で踊るのがお約束といえる曲でだだっ広いオペラパレスの舞台で1人で魅せねばならぬ難所にも関わらず
細かく難しいバランスや跳躍をいとも簡単そうに披露してふわっと舞いお見事。

主役級のダンサーが務めると発表になったネズミの王様も見せ場が多いらしい、
ただせっかく主役並の活躍であるとしても顔が見えないが
ひょっとして千葉県浦安市の夢の国のような耳でも付けて終始顔見せサービスでもあるか、など
開幕前から知人間でも話題となった役柄。この役といえば独裁国家の絶対君主の如くおっかないイメージが強く、
子ども騙しではない、とにかく怖い王をと言いながらも
コミカルな振付をするイーグリングさんの考えを理解し難く感じておりました。
しかし初日の途中あたりから奥村さんの突き抜けた弾けっぷりや随所に行き渡る細かい芸を眺めていくうちに
お茶目なネズミ王もありか、と納得。
井澤さんは最初本人が演じているとは信じられぬほど伸び伸びとハッスルした振る舞いに驚かされ、
渡邊さんは王らしい威厳や豪胆さで舞台を支配。カーテンコールでも各々個性が光り
ひたすらクララをからかっている王もいれば改心したのかちょっぴり恥ずかしそうに大人しくしていたり
あたかも会場受付係のように姿勢を正して周囲を立てる王もいて、三者三様。最後まで目が離せませんでした。

1幕のパーティーで通常人形が踊る場面はルイーズ、詩人、青年、老人が登場。
全員仮面を付け、3人が優雅に踊っていたかと思えば
スコットランドのキルトを履いた老人はおどろおどろしい雰囲気をまとって子供たちを脅かす役として活躍です。
(日本でいう秋田県なまはげのよう)
老人とはいえ若者たちと争ってルイーズを取り合う、身も心もすこぶる元気であります。介護とは無縁でしょう。

各国の踊りは一部の振付衣装は別として、ダンサーは高精度な踊りを披露。
スペインは赤に戻り、背景と同化した前回の地味衣装とはようやくおさらばです。
寺田さんの艶やかさ、色っぽさにこの度も陥落。男性はいかにも闘牛士なデザインで
スペインをすぐさま闘牛士と結び付けるのは如何なものかと思うが
前回の身体が太く見える罰ゲームなデザインよりはずっと宜しい。

アラビアは、女性1人男性4人。青系でまとめられ、金の装飾が揺れ擦れるジャラジャラとした音もまた
お香の匂いが立ち込めていそうな空間を作り出していました。
柔軟な肢体をここぞとばかりに生かした木村さん、妖しく神秘的で女王然とした本島さん、
にこやかな中にツンと澄ました表情が覗き長い手脚が映える寺井さんの美女3人が日替わりで登場。
男性4人は全日程同じで清水さん、小柴さん、中島さん、趙さんで
逞しい上体の持ち主が選抜されたのは明らかな筋骨隆々隊です。(よく揃えたものだ)
男性たちが手を掲げて女性を運ぶ空飛ぶ絨毯風な持ち上げや
上体を真っ直ぐにしたままでの飛び込みを受け止めるリフトを多用。

振付で最も驚いたのは中国。後にも述べますがイーグリングさんがお好きな連続リフトの極致でしょう。
青と黄色でまとめ顔は白く目元は真っ赤、京劇を意識したであろうデザインにも仰天でしたが
せっかく女性は五月女さんと奥田さんというテクニック達者な2人が日替わりで務めていながら
最後の回転フェッテ以外はリフトで終了。もっと細かなパが観たかったと思えてなりませんでした。

ロシアは男性1人女性4人の珍しい構成。コサック兵のような男性が超絶技巧をこれでもかと披露し
福田圭吾さんの安定感と爆発力のバランス、小野寺さんの豪快な迫力どちらも気持ち良し。
女性は赤系の民族衣装。大きなカチューシャを被り、ベテランと新人を半々に配していた点も嬉しい。
1幕では全日程入魂のお祖母さんを演じた菊地さんも入り、
一気に可愛らしく若返っているのには思わず笑ってしまいました。
場面を象徴としてクララの両親も民族衣装を着て、大きなロシア人形の如く
両腕を広げながらスタタタと小走りしながら舞台を旋回。
男性の衣装を着た貝川さん、中家さんの姿が切れ長の細い目元をしたお顔が衣装映えして
お2人ともに清の第6代皇帝の乾隆帝に見えてしまい、またもや他の観客とはずれた視点で笑いが込み上げてしまった。

花のワルツはまず女性の衣装に驚愕。初日には温州みかんにしか見えず
踊りに集中できないほど斬新な色合いは大衝撃でしたが3回目あたりから目も慣れ、
新国立らしい呼吸の合った心地良いコール・ドを堪能。
細田さん、寺田さんがツートップを務めたときの嫋やかさには惚れ惚れし
ベテランらしい味わい深さも備えていて主要な役でもっと観たいダンサーです。
振付は慌しさはあるものの他の役に比較すればなかなか良く、(つまりリフトが多過ぎない)
特にコーダにおける男性のみが対角線状に並んだ箇所から次々と数名ずつ移動して
フォーメーションを変えながら四角形になる流れは上階から観ていると非常にユニークな形で面白く、
周囲の観客も思わず声を上げていたほど。

さて、ここまでも不満をいくつか述べて参りましたがイーグリングさんの新制作なだけあって
『眠れる森の美女』と同様演出、衣装、そして今回は振付も突っ込みどころ満載。以下、一気に参ります。

まず、今回最も多く聞かれた用語であろう「紗幕」。1幕のパーティーはずっと下ろしたままなのです。
実は3階席で観た初日、2階席後方で観た2日目はよく分からず
皆さん何を紗幕紗幕と騒いでいるのか気づけずにおりました。
ただ思えば両日とも、双眼鏡の汚れや劣化を感じていつも以上にこまめにレンズを拭いていたのは確か。
また視力の低下によってぼんやり見えているとしか考えていなかったのです。
ところが1階席での鑑賞でようやく真相を把握でき、紗幕が下りていると分かった次第。
夢の世界と現実世界を隔てるための演出のようですが、せっかく莫大な費用をかけて一新した衣装や装置も
何よりもダンサーの姿がよく見えないのは残念極まりない。
仮に上げていたとしても、場面そのものでどちらの世界であるかは伝わるでしょう。
詳細は後日書いて参りますが、上田公演では紗幕なしでも全く違和感皆無。
むしろ視界良好で次回からは本拠地でも取り入れて欲しいと切に願います。

そしてストーリーに一貫性を持たせようとしているものの観客に伝わってこない点も惜しい。
例えば執念深いネズミの王様が逐次魔法をかけるため
クララとの恋に落ちるロマンティックな出会いのパ・ド・ドゥ以降も王子は頻繁にくるみ割り人形の姿へ変貌
つまり人形のお面をつけているわけですが装着時間が長過ぎる印象が勝って、イーグリングさんが意図したであろう
常にネズミたちの脅威と隣り合わせなクララたちという設定が鑑賞中は感じられず。
加えて通気性も良好とは言い難く、雪の王国や2幕冒頭もずっと装着のまま。
いい加減顔をもっと見たいとの願いもキャスト問わず募るばかりでした。
何かのアクシデントで外れないかと祈ったのは1度や2度ではありません。

またクララの両親はロシア人形として、姉のルイーズは蝶々として2幕に登場とちらりと小耳に挟みましたが
クララとの絡みがないため、たまたま同じダンサーが配されたと思っても致し方なし。
他のスペインや花のワルツともクララたちとはフィナーレまで接点がなく
別次元での物語進行、或いは切り貼りの印象が拭えませんでした。
出迎えもないためオペラパレスの舞台が無駄に広くスカスカに見え、まるで魔法の国のモデルルーム状態です。

バレエ『くるみ割り人形』自体本来はさほどドラマティックな作品ではなく、
また骨格が出来上がっているため、発表会でスタンダードな演出で行っても
よほど変に手を加えない限り無難に楽しく鑑賞できる作品であります。
そのため改訂で独自の魅力を伝えるのが非常に難しいのでしょう。
しかしグリゴローヴィヂ版のようにお人形たちがクララと王子を出会いから結婚式までずっと見守り続けたり
大阪の野間バレエ団で2015年に上演された山本隆之さん版ではクララの両親や兄が雪の国に登場する演出で
雪の王族らしい白いクラシカルな衣装姿で3人がクララを迎える展開があって
スタンダードな中にも家族の繋がりがしっかりと見え雪国であってもあたたかさを感じる素敵な演出も存在。
他版の良さをしみじみ考えさせられました。

戦闘後もクララたちを追うネズミたちの執念深さの表現も疑問が沸き、
雪の国にまで登場させるのはどうもしっくりこない。
白と銀で彩られたクラシックチュチュを着たダンサーたちが魅せる
研ぎ澄まされた美しさの連鎖が崩れてしまったのはいたく残念。
雪は雪でひたすら純白の幻想的な世界を示し、ネズミたちは2幕から再び派手に登場させ
暗雲立ち込める空気を作って王子との勇壮な対決シーンに突入すれば十分ですし
場面ごとのメリハリも効いてくるでしょう。

そして何と言ってもリフトがとにかく多い点が特徴。
リハーサル動画を見たときも出会いの場面からして随分と目立つが
ときめきや浮き立つ心を表すためかと感じておりましたが2幕でもアラビアや中国で同様に多用。
また出会いの場面は本番を観ると、出会ってすぐにリフトの連続のため
2人が見つめ合ったり惹かれ合う心情をもっと音楽をたっぷり使って丁寧に表現する振付であれば嬉しいと切望。
音楽は泣かせる曲調ながらどうも振付の忙しなさが目立ってしまっていた印象です。
そんな振付であっても、音楽の抑揚と感情の昂りが連動し観ていてじわっと胸に響いたのは木村さんと渡邊さん。
軽やかに舞いながら迸る思いをぶつける木村さんと優しく受け止め包み込む渡邊さんが疾走感たっぷりに踊る姿は
今夏の『ジゼル』に続き目と心に深く刻まれました。

振付の忙しさも目に付き、主役男性はグラン・パ・ド・ドゥまでの体力維持が大変な作品。
何しろ1幕最初から出て後半は通気性不良なお面を被って汗まみれで駆け抜け、
クララと出会ってからはリフトリフトまたリフト。
更にはインタビューを読むと、与えられた振付をこなせるようになると新たに次々と足されてしまうらしい。
思えば益々高度な要求をしてくるのはデヴィッド・ビントレーさんも共通していましたが
ビントレーさんの場合はどれだけ振りが詰められたとしても
音楽、場面、キャラクターの感情にぴたりと嵌っているためか観客を愉しい気分にさせ
例えるならば隙間なく整頓して詰め込まれたスーツケースです。
ところがイーグリングさんの詰め込みは無理に押し込んだかのようで
スーパーで時々見かける野菜や果物の袋詰め放題サービス状態。
茄子などが半分はみ出たとしても無理矢理テープで留めて
店員さんから減らしの助言を食らう寸前といったところでしょう。
グラン・パ・ド・ドゥでは体力の限界と戦う苦しそうな表情せざるを得なかったダンサーもいましたが
この振付であれば無事カーテンコールを迎えられただけでも賞賛ものです。
さらっとこなしているように見受けられたムンタさんは実は別格だったのだろうかと今更ながら天晴れ。

そして子役の起用についても思うことが多々あり。
私個人の考えで申し訳ないのですが、発表会ではなく公演ですから
団員でできる役は極力団員が務めて欲しいと感じます。(或いはせめて研修生)
私が物心ついて最初に観たくるみがボリショイ・バレエとキエフ・バレエの映像で
どちらもクララと金平糖は同じダンサーが務め子役なし。
数年後にとある日本のバレエ団のくるみに足を運んだ際に子役が大勢登場する演出にたいそう驚き
なぜ公演にも関わらず子供がたくさん出てくるのかと母に質問したと記憶。
勿論、今回の子役の方々も皆さん綺麗で上手で頑張っていたのは紛れもない事実です。
ただ1幕で子役たちの踊りがしばらく続くと心境は複雑に。
貞松浜田バレエ団のようにパーティーの微笑ましさを出すため子役は出演していても脇役に徹し、
主に踊るのは団員演じる子供である公演らしさを損なわない優れた演出もあるだけにこれまた考えさせられました。

12歳のクララがドロッセルマイヤーの甥に憧れる構図も見た目がやや不自然で
(甥っ子が老けているというわけではありません)
舞台数を踏むことにも繋がりますからクララ役には童顔のコール・ドのダンサーや研修生からの起用が
望ましかったのではと思えます。
救いは新国立ダンサー演じる客人の父母ぶりが好演だったこと。
特に小柴さんと小村さん演じる夫婦の子供に対する接し方が愛情深く、心洗われるひと幕でした。

衣装デザインは『ホフマン物語』で好評だった前田文子さん。
期待を高く持ち過ぎてしまったせいか、好印象な衣装とそうでないものとの落差がかなりあり。
良かったのは1幕の客人のエレガント且つシックな装い、雪の結晶模様が大胆に散りばめられた雪の精、
そしてシャンパンゴールドのグラン・パ・ド・ドゥ。ダンサー、場面両方によく合っていました。
首を傾げてしまったのはまずネズミたち。王様は甲冑をイメージしたと事前に記事を読み、
西洋の甲冑に関心があり『ライモンダ』では毎回デザインの時代考証に対し
姑並みに口煩い者としては期待に胸を膨らませていたのでしたが骸骨と甲冑の融合は難しく、
ビラビラした装飾が鬱陶しくなってしまった模様。
小ネズミたちに関しては遠目ではスカートとハイソックスにも見え
アルファベット3文字または坂の名前に数字が付くアイドルグループを彷彿。
極めつけは花のワルツで、初日は大衝撃。まさかオレンジ色の花畑になるとは誰も想像がつかなかったでしょう。
『みかんの花咲く丘』が脳内で流れましたが、どうしてもピンクや淡い色のイメージが出来上がっている場面のため
受け入れに時間を要しました。
女性陣はモダンであるのに対し男性陣はジャケット付きのクラシカルな装いでアンバランスな点も気がかりであります。

このままでは不満が延々と続きそうなため書き足りない点は全国公演の感想でまた綴って参ります。
日本では発表会も含めれば一番鑑賞の機会が多いであろう作品であるがために馴染み深い演出もあってか
つい粗ばかりを書き連ねてしまいましたが、都庁と携帯電話から脱却し
新制作のくるみが上演されたのはまず喜ばしきこと。再演を重ねるうちに更に磨き込まれ、
また観客の目も慣れてクリスマスの定番となっていくでしょう。
イーグリングさんの『眠れる森の美女』は初演の3年前と今年の再演では印象が180度変わりましたので
(衣装の慣れが10%、底力を感じさせたバレエの饗宴の影響が10%、そして80%は心境の変化だが)
次回の公演ではどういった印象を持つか、今から希望を抱いておきたいと決意。

びわ湖公演にいらっしゃる方は是非お楽しみに。ダンサーは皆さん高水準な舞台を届けてくださいます。


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新登場か、オレンジプレート。爽やかでお洒落です。花のワルツ女性の衣装はまさにこのオレンジ。

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2日目は友人とオペラシティへ。『ジゼル』や今夏の板橋と同様、カウンセラーの如く
ネズミ王の話を延々聞いてくださり深謝。



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この日は8年ぶりに購入したシーズンセット券での鑑賞第一弾。
未だにマイセレクトの名称が馴染まないが、開演前から記念にシャンパンで祝杯。


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ムンタさんがお好きな人生の素敵な先輩と初台駅から南下した場所に位置するドイツ料理店アチチュードへ。

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前菜盛り合わせを赤ワインで乾杯。

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ムンタさんのお話よりもこちらの話にずっと耳を傾けてくださり寛容なお人柄に頭が下がります。
ソーセージを分けながら、苦手な脂身がたくさん詰まっていながら7月に食べたトゥールーズ風ソーセージは
すぐに平らげてしまったと話すと大笑いされたのであります。(7/26の記事参照)

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シュニッツェル。かなりボリュームがありましたが、さくさくの食感とチーズソースがくせになる味。
王冠印のカールスバーグが進みます。

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締めはチーズケーキ。この『くるみ割り人形』でも1幕後半でチーズ大砲が活躍です。

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今回初めて原作本で予習。カバーデザインは宮崎駿さんでくるみの物語に魅せられたお1人です。
原作と同様くるみ割り人形とネズミの王様、どちらも主役と捉えて多くの関連イラストも描いていらっしゃり
三鷹の森ジブリ美術館では特別展も開催されました。
私も行きましたがバレエとジブリ両方好きな者にはたまらぬ企画です。
くるみの話であっても、トトロやねこバスも描きたくなってしまうのはご愛嬌。





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