1月15日(日)、谷桃子バレエ団『ドン・キホーテ』を観て参りました。
https://www.tanimomoko-ballet.or.jp/index.html
キトリ/ドルシネア:雨宮準
バジル:三木雄馬
ドン・キホーテ:桝竹眞也
サンチョ・パンサ:岩上純
大道の踊り子:林麻衣子
エスパーダ:安村圭太
ガマーシュ:脇塚力
ロレンツォ:井上浩二
ピッキリア:加藤未希
ジャネッタ:齊藤燿
メルセデス:樋口みのり
ジプシー:日原永美子
森の女王:下元菜瑠美
愛の妖精:浅野華子
公爵:内藤博
公爵夫人:尾本安代
ボレロ:種井祥子 菅沼寿一
第1ヴァリエーション:前原愛里佳
第2ヴァリエーション:永井裕美
ロシナンテ(馬):ジャイロスコープ
ニワトリ:コッコちゃん?
キトリの雨宮さんは初主役。可愛らしく品あるお嬢さんといった雰囲気で
優しく見守りたくなるのも頷けるヒロインでした。
序盤は緊張で硬い印象もありましたが三木さんのサポートによってみるみると明るさが広がりお茶目な魅力を発揮。
三木さんのバジルの評判は以前から耳にしておりましたが期待以上。
踊りはダイナミックでリフトは盤石な上に、緊張気味な雨宮さんを終始優しくサポート。
登場しただけで場の空気がガラッと変化し、頭一つ抜けた存在感を示していました。
1幕中盤の見せ場であるリフト場面では片手でキトリを持ち上げたまま
もう片方の腕で観客に拍手をもっと起こすよう呼びかける余裕もあり。お見事でした。
ただ1点気になったのは髪型。近年男性の間で流行しているらしい耳の上部分辺りを刈り込んだヘアであったのですが、
頭の上がもふもふとしたパーマがかかり誰かに似ている。
そうだ、ちびまる子ちゃんに登場するみどりちゃんにそっくり。途中から笑いが止まりませんでした。
最近気づきましたが、私はクラシック作品の主役における男性ダンサーの髪型には小姑のようにうるさいらしく
これまでにサラリーマン、高度経済成長期の外資系企業戦士、ジェームズ・ディーンもどき、
引退した野球部など勝手な名付けは数知れず。
話を戻します。ピッキリアとジャネッタは軽快で楽しく、
特に齋藤さんのきらっと光るオーラは上階席にまで届き、目を奪われました。
ジプシーの野営地カットしていますが代わりに居酒屋にジプシーが乗り込み激しく踊り狂う演出で
なかなかコンパクトにまとまっていて流れも違和感なし。日原さんの情念が伝わる熱演に会場が沸き立ちました。
闘牛士たちの床剣刺しは1本も倒れず、奇跡。倒れる確率のほうが高くどこのバレエ団でも毎回苦戦し
大概1、2本倒れるのが当然とされている中で最後までバランスを保っていたのは拍手レベルです。
刺し方が上手いことに加え、ダンサーと同様剣たちも軸がしっかりしていたのでしょう。
本物の馬も登場し、ホルンの爆音にも舞台上のキャラクターの中ではサンチョを除いて唯一動じず。
1幕の終盤では騒ぎに紛れてサンチョが抱きかかえていたのはニワトリさん。
(プログラムに名前はなかったが恐らくはコッコちゃんか?)
新春公演を祝う2017年を象徴するキャラクターの登場に観客も驚きを隠せませんでした。
ドンキといえば新国立やボリショイ、ABTの公演で観慣れているせいか
売り子や街の人々、男性人数の少なさに当初はやや寂しさも感じたものの、
スピード感に走らず現在は含まれていない演出が殆んどであるドン・キホーテ対バジルの対決を残しているなど
全幕日本初演を成し遂げたバレエ団らしい誇らしさのある舞台でした。
尾本安代さんのような大ベテランや樋口さん、日原さんといった経験豊かな実力者が脇を固めて締まり厚みも十分。
谷バレエのドンキは初鑑賞。しかし1989年にABTのシェリル・イェーガーとフリオ・ボッカを招いた
日本バレエ協会公演で採用された際のテレビ放送や当時のバレエ雑誌では見ておりましたので懐かしさも募りました。
小渕恵三さんが額縁を掲げた映像を始め最近何かとニュースで話題の元号が平成に変わった年の公演で
時の流れは早いものです。