12月14日(土)〜12月22日(日)、新国立劇場バレエ団ウエイン・イーグリング版『くるみ割り人形』を
計4回観て参りました。今月鑑賞したバレエは全てくるみ割り人形で、
ボリショイシネマを含めれば5団体(スタダン、東バ、NBA、新国立)計8回。
これまでに例を見ないくるみ強化月間で、新国立における千秋楽は2019年の見納め公演となりました。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/nutcracker/
【12/14(土)18:00】
クララ:小野絢子
ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子:福岡雄大
ドロッセルマイヤー:中家正博
ねずみの王様:奥村康祐
ルイーズ:奥田花純
雪の結晶:飯野萌子、広瀬 碧
花のワルツ:寺田亜沙子、細田千晶、速水渉悟、浜崎恵二朗
【12/15(日)18:00】
クララ:米沢 唯
ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子:井澤 駿
ドロッセルマイヤー:貝川鐵夫
ねずみの王様:渡邊峻郁
ルイーズ:池田理沙子
雪の結晶:渡辺与布、広瀬 碧、
花のワルツ:細田千晶、飯野萌子、木下嘉人、原 健太
【12/21(土)18:00】
クララ:木村優里
ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子:渡邊峻郁
ドロッセルマイヤー:貝川鐵夫
ねずみの王様:井澤 駿
ルイーズ:池田理沙子
雪の結晶:渡辺与布、広瀬 碧
花のワルツ:柴山紗帆、飯野萌子、木下嘉人、原 健太
【12/22(日)18:00】
クララ:木村優里
ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子:渡邊峻郁
ドロッセルマイヤー:貝川鐵夫
ねずみの王様:井澤 駿
ルイーズ:池田理沙子
雪の結晶:渡辺与布、広瀬 碧
花のワルツ:柴山紗帆、飯野萌子、木下嘉人、原 健太
※毎年師走は年内駆け込み状態のため通常以上に大雑把にも程がある内容で恐縮。ご了承ください。
そして今気づいたが、鑑賞したのは全て夜公演。新国立にてこういった鑑賞日程も初。
小野さんのクララは不穏な深夜の怯えからパ・ド・ドゥでの曇り1つない光り輝く女王然とした変わり様に恐れ入った次第。
福岡さんは一見近寄り難い風格も備えた甥っ子ですが、クララの手を取ると途端に優しい笑みを浮かべる青年。
クララが幼い設定ながら見た目の年齢差の不安もなく、むしろクララにとっては甥っ子がどんな人物であるのか
興味津々であったと想像いたします。
小野さん福岡さんのパートナーシップは表現技術共微塵も隙が無く
スーパーで例えるならば野菜の詰め放題で袋からはみ出て店員から制止がかかりそうなほど
リフトもステップもてんこ盛りな振付にも拘らず年々益々幸福で会場を満たし
再演を多く重ねていてもクララと王子の間に生じる反応も練習通りな様子もなく、毎回が鮮烈であるのは天晴れ。
米沢さんと井澤さんも良きペアであると以前よりも感じさせ、所謂三大バレエの中でもお子様も大勢来場が見込める
これといってドラマティックな表現が濃くは出にくいクラシックの演目ながら特に出会いの場が目を見張る出来。
米沢さんが何かで滑ってしまったのか躓きでもあったのかひやっとした箇所がありましたが
井澤さんの咄嗟のサポートが功を奏し、クララとしても米沢さんとしても安心しきったのか
王子はクララの窮地を救って安堵し、井澤さんとしても吹っ切れたのか
いつにも増してリフトも高さがあり互いが醸す喜びを露わにして夢見心地な浮遊感が漂っていたのでした。
木村さんは可愛らしいクララから艶のある姫へと変貌。
手脚がしなるように、されど品良く造形するポーズの連鎖にも感激し
1幕中盤のくるみ割り人形たちとねずみ軍の戦闘ではどこか楽しそうに眺める姿は
不思議な力で見透かし、くるみ割り人形が必ずや勝利を手にすると確信していた故かもしれません。
久々の髪型考察、渡邊さんはきっちり且つ丸みある前髪(これ大事)も自然な
手本たる士官学校生で少女クララが憧れる優しいお兄さん。
2幕クララ救出奮闘はお面装着が恨めしく凛々しいお顔拝見熱望。
パートナーだけでなくご自身も一層美しく見せているパ・ド・ドゥの練り上げにも感嘆です。
一昔前の時代の舞踊家を彷彿する内面から放出する情感と現代の感覚に即した洗練さが融合した王子で
だからこそ、特別ドラマ性の要素が多くはない演目であっても心を突き動かされると結論。
2019年全鑑賞における至福な締め括りとなりました。
主役級の活躍を見せるねずみ王も存在感が強く、奥村さんは賑やかに子分たちを率いて
カーテンコールでは指揮の真似をしながらバクランさんを全身で讃えつつ迎えてサービス精神旺盛。
福岡さん王子と和解のため手を繋いで欲しいと寄ってみるが王子は頑なに拒否笑。全やりとりから目が離せませんでした。
渡邊さんは自身振付⁉脚を左右交互に蹴り出す謎の股関節踊りに笑い止まらずはっちゃけ度高し。
当たり障りなく踊っているかと思いきや突如発光し、掴みどころのない魅力を示していたのは井澤さんで
今年も出ました、志村けんさんの変なおじさんの踊り。少女漫画な貴公子たる容貌で
魂込めて披露してくださっていると考えるだけでも笑いが込み上げてきます。
王様のみならず子分ネズミも絶好調。気球に乗って旅立つ王子たちから
袋を投げつけられた仲間を、両手を掲げて嘆き見舞うキャピュレット夫人と化したネズミもいて演技も細やかでした。
札幌公演に続き、1幕ではくるみ割り人形を巡るハプニング発生。
今回は頭が取れなかったのではなく、タイミングがずれたのか
フリッツが頭を取ってしまう前にクララが早くに抱き止めてしまったもよう。
しかし進行はそのまま円滑で、更には悔しがるフリッツの瞬時に閃いた反応がごく自然で
初めからこの振付であったとしても何ら違和感なし。
とりわけ印象深かったキャラクターは福田圭吾さんのお爺さんで、大酒飲みな悩ましいお年寄り笑。
酒を持ってくるようにクララ父に声をかけるも、セルフサービスと言わんばかりに断られて不貞腐れたり
フリッツにもシャンパン勧めてしまったりと身勝手過ぎるお爺ちゃん。
この手の役では最年少であろう渡辺与布さんのお祖母さんは
にっこり笑顔とおとぼけぶりで仲睦まじい夫婦を髙橋さんと好演。
演出に関しては、紗幕や度重なるお面着け外しの煩わしさ、
各国の人々とクララたちが出会わず接点が無いままスペインが登場する流れを始め申したい内容は多々あれど
5団体を見比べたこれまでに例を見ないくるみ強化月間において感じたのは
新国立ほど複雑で高難易度なコール・ド場面は無いこと。
花のワルツでの序盤から一斉に女性たちがくるっと片方の脚を回しながら転換していく箇所や
終盤の輪になってリフトしての一斉開花など、サポートに至るまで難しい振り付けが圧縮状態で
しかも全男女ペア構成のため、1人でもサポートで失敗すれば調和が台無しになるリスク大。
男女揃ってコール・ドの層の厚さ、レベルの高さを再度実感です。
フィナーレで男性のみ勢揃いし、対角線から跳躍を繰り返して徐々に形を変えながら
流れを作っていく箇所も力強く、他団での花のワルツで男性だけで
ここまでのしっかりとした見せ場を持っているのはボリショイぐらいかと記憶。
ダイヤモンドダストがちりばめられたかのような雪の精緻な仕上がりも唸らせ、
札幌の街角では度々目にした看板の1つ雪印乳業も仰天であろう
全員で雪の結晶を描き出すフォーメーションには何度心躍ったことか。
頭飾りの大ぶりな銀色のティアラから光が反射する方向までが揃い、
上階席で観る幸せを胸に抱きながら見入っておりました。
子役の使い方配し方にも不満はあるが、こうなったら華麗なる保護者会及び授業参観であると勝手に設定し
我が子を送り出したり、子が貰ってきたプレゼントを目にしたときの反応など観察。
繰り返しになるが私が子供だったら滑車に乗った羊さんを希望、気球の釣竿は対処に困るかもしれません笑。
要望書が書けそうなほどに再考項目はいくらかございますが、
演者と観客互いに慣れてきて、初演時はただ忙しないだけまたは不自然な振付に思えていた箇所も
身体への染み込みや一工夫が盛り込まれて面白くも見えたりと、再演ならではの楽しさも増えた印象。
だからと言って決して好みな振付演出ではないが、新国立ダンサーのレベルの高さや
様々なアプローチで観客を楽しませて見せようと努める心意気に感謝申し上げたい
2019年を締め括るイーグリング版『くるみ割り人形』でした。
当ブログで知り合った長年の常連読者の方とマエストロへ。
思えば私が初めてマエストロで食事したときもご一緒で心強く幸せなひとときを演出してくださいました。
来年からマエストロの先輩と呼ぼうか。入口ではくるみ割り人形やバレリーナが飾られたツリーがお出迎えです。
まずはシャンパンで乾杯して前菜を。鰤や海老といった好物が並んで
食いしん坊な管理人、興奮気味でございます。
白身魚を合わせたペンネのプッタネスカ。少々ピリッとスパイスも効いています。
デザートは苺のセミフレッド胡桃のプラリネ添え。真紅が美しいキールロワイヤルも華やいだ気分にさせてくれます。
レジ近くには生誕劇ゴーランドなる置物。クルクル回転しています。
公演限定カクテルはダブルオレンジとカルバドス。甘いがさっぱり。
公演限定デザート二発。右は当ブログレギュラーなる新国立常連さんが購入された、金平糖が載ったブリュレ。
左は私が購入したくるみのチョコレートタルト。しっかり濃厚なチョコレートにくるみの香ばしさがぴたりと合います。
千秋楽、初台の夜景を眺めながらスパークリングワイン。
例年年末は大阪へ出向いて元祖王子の鑑賞がありましたが今年は6年ぶりに東京にて鑑賞納め。
初めて新鋭王子の出演舞台で年間を締め括りです。
握手会の最後。以前は見物専門或いは早々に帰宅でしたが近年は「日によっては」参加しております。
我が撮影技術ではこれが限界、ぶれております点はご容赦ください。
(私の中でのダンサー撮影タイムにおける最高傑作は今年岡谷市でのこども白鳥)
実際のお2人は写真の何百倍、何千倍も美しい容姿をなさっています。
渡邊さんのご出身地福島県の新聞、福島民報12月7日(土)付に渡邊さんのプリンシパル昇格が大きく掲載されました。
コンクール入賞や入団ではなく、プロになってからのキャリアの構築にも注目し報じてくださり嬉しい記事です。
取り寄せる際、福島民報販売局の方が大変丁寧に対応してくださいました。
愛飲中である金水晶さんのお酒をいただきながら乾杯。日本酒についてのコラムや
勿論福島県の時事や文化、地域ニュースもたっぷり掲載されていて勉強になります。