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Channel: アンデオール バレエ日和
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中野の森に舞い降りた妖精たち 沖田美延バレエスタジオ第11回発表会『真夏の夜の夢』『くるみ割り人形 』『バレエコンサート』9月16日(日) 《東京都中野区》

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9月16日(日)、なかのZEROホールにて沖田美延バレエスタジオ第11回発表会を観て参りました。
http://mie-ballet.jp/

バレエコンサートと『くるみ割り人形』よりお菓子の国、『真夏の夜の夢』からなるプログラムで
踊る喜びが目一杯伝わる楽しい舞台でした。

バレエコンサートでは『ライモンダ』より結婚式の場でのライモンダ役の生徒さんが堂々たる強い貫禄。
じっくりと魅せてくださいました。
大人の生徒さんの見せ場として第1幕序盤のワルツも含まれ、ピチカートのライモンダの部分はジュニアの生徒さん。
抜粋であっても違和感がなく、この世で最も好きなワルツを録音であっても劇場で聴けたのは嬉しいばかりでした。
新国立劇場でも早う再演して欲しいと願います。(ジャンのお饅頭風絵画とアブさんの盗賊衣装は要改善)

『ドン・キホーテ』グラン・パ・ド・ドゥに挑戦された大人の方もいらっしゃり
日頃仕事以外は気楽に過ごしたいと思っている怠け者な私からすると、
仕事や家事と両立しながら趣味においても日々レベル向上を図っての努力は敬うべき姿勢です。

『くるみ割り人形』は子供中心の作品であっても侮るなかれ、
幕が開き、ピンク色にお城が描かれたメルヘンな美術を背景に金平糖の精から各国の踊り、花のワルツまで
一斉に並ぶ華やかな光景が目に飛び込んだ瞬間からお菓子の国の世界に引き込まれ
歓声が上がって拍手が沸き起こったのも納得。くるみで味わいたいのはまさにこの高揚感で
某バレエ団が昨秋新制作した版に取り入れて欲しいものです。(今年も12月、通い詰めますけれども)

王子役には初登場奥村康祐さん。ピンク色の甘い色彩の美術が好みは別として(失礼)似合い過ぎ、
見るからに少女漫画やおとぎ話から出てきた王子様。実はこの美術、
昨年板橋区で鑑賞した『くるみ割り人形』と同じで板橋の王子は渋過ぎたのか笑
やや違和感を覚え、美術との調和に関しては奥村さんに軍配です。
加えて椅子に腰掛けたクララへの愛情溢れる目線や手の差し出しっぷりも笑ってしまうほど恥ずかしさ皆無で
クララも王子の底抜けの明るさ、優しさにいつまでも夢見心地となっていたに違いありません。

金平糖役の生徒さんはすらりとした長身から繰り出す長い手脚にも気品が宿り
特にパ・ド・ドゥで王子の腕に手を置くといったさりげない所作においても気を抜かず滑らかで優雅。
クララは闊達で可愛らしく、マーチに登場した幼い生徒さんたちをそっとサポートする場面でも優しさが際立ち
普段から慕われているお姉さんであろうと想像させました。

振付で面白かったのは花のワルツの後半をフィナーレに仕立てていた流れで
クララは花たちとたくさん踊り、やがて金平糖と王子、各国の踊りも加わってそれはそれは華々しいフィナーレに。
クララの目覚めをどうしても省略せざるを得ない場合最後をどう締めるか、工夫が求められますが
全員が花のワルツに加わって幕が下りる演出は華やかな余韻が残って胸に沁み入ると感じさせました。

『真夏の夜の夢』では沖田さんの色艶ある美しいタイターニアが眼福。
体重を感じさせぬ軽やかさで舞い、少し気が強くオベロンと衝突してしまう姿は
毅然としていても可愛らしさもあって様々な表情で楽しませてくださいました。
所々に紫が入った繊細な彩りの衣装がまた絵になります。
新国立の初期メンバーとしてあらゆる作品のバレエ団初演を経験されながら
今も尚体型及び技術レベルともに微塵も衰えがないのは改めて驚きを覚えます。

オベロンは山本隆之さん。威厳と神々しい存在感で森を完全支配する妖精の王で全編通して拝見でき幸せな限り。
緑色の葉っぱに覆われた衣装もいたくお似合いで異次元の美しさを目にした思いです。
手をさっと掲げただけでも余裕ある身のこなし、更には音楽と見事なまでに溶け合って会場中が魔法にかかり
別世界へと連れていかれたような心持ちになったほどです。
最後タイターニアとオベロンの和解のパ・ド・ドゥはしっとり優美で
沖田さん山本さんから醸される色気と品がふわっと交わり、いつまでも観ていたい思いに駆られました。

奥村さんの職人ボトムがまたお茶目で、可愛らしいロバさんに変身し小さなお子さんも大喜び。
ロバの顔を被っていても踊りは達者で顔は見えずでも全身の表情がとても豊かで
客席のあちこちから笑い声が聞こえてきました。頬の赤らんだメイクもほっこり系で
職人役の生徒さんたちとの馬跳び遊びを始めやりとりも楽しく、観ているだけでも心弾む光景でした。

パックは女性の生徒さんが熱演。細身の身体を一杯使って跳び回り、しかし伸びやかさもあって目を惹く妖精。
オベロンに怒られてしまうところもどこか憎めず、
物語の要所要所で登場しては展開の鍵を握るに相応しい、はっとさせられる踊りで舞台を引っ張っていました。
ハーミアとライサンダー、ヘレナとデミトリアスのカップルも体当たりなお芝居に何度も笑わせられ
パックによる密の掛け間違いによる騒動もどちらがどう愛してしまっているか状況が分かりやすく伝わるよう
間の取り方や逃げ惑うタイミングも絶妙。
タイターニアを慕う妖精たちのコール・ド、そして背景のエメラルドグリーンとの調和が何とも目に快く
幕開けからアテネの森の夢世界へ入り込み、堪能できました。
8月末に新国立劇場でのジャポンダンスプロジェクトにて原作が同じ舞台を観たばかりですがまるで違う作品。
魅力はそれぞれありますが、元祖と言ったら語弊があるものの
メンデルスゾーンの曲のみを用いた振付演出の心地良さに再度虜になりました。

主宰の沖田さん、亀田琢也さんの愛情の込められた、そして工夫し出演者と観客
両方が楽しめる舞台作ってくださるお2方と出演者の団結力には胸が熱くなり、来年の発表会も今から楽しみです。



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会場に飾られたパネル、真夏の世界が出現です。小さなお子さんたちも
保護者の方とあらすじを一緒に読んだり記念撮影したり、注目の的でした。オベロンが山本さんにそっくり。

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帰りは中野駅前のレンガ坂へ。昨年の第10回発表会『シンデレラ』終演後もこの坂沿いのお店に立ち寄ったため
予約も何もしていなかったがまずは行ってみた次第。
電球の明かりと緑の木々が『真夏の夜の夢』の背景を思い起こさせます。

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何軒かに絞り、結果ふらりとこちらのお店へ。同伴は当ブログのレギュラー、カウンセラー友人。
まずはスパークリングワインで乾杯。友人はオレンジジュースです。
鎌倉野菜のバーニャカウダがみずみずしくて美味しく、前菜の盛り合わせも目にも楽しい品が勢揃い。

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2杯目は南仏の白ワイン。牡蠣の旨味たっぷりなアヒージョと合います。
友人はお代わりもオレンジジュース、毎度呑みに付き合ってくださいます。

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3杯目はシチリアの赤ワイン。運ばれてきた途端、樽を含んだ強い香りが漂いました。
ソフトドリンクしか口にしていない友人も良い匂いであると表現し、
ワインも男性ダンサーも極端な渋好みであることを再度理解してくださったようです(多分)。
今回の発表会のみならず、札幌と愛媛の話にも耳を傾けていただき深謝。





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