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【速報】新国立劇場バレエ団2017/2018シーズン『白鳥の湖』初日

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新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』初日を観て参りました。
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/swanlake/

バレエ団ホームページに、本日の様子を掲載しています。
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/news/detail/26_012383.html

リハーサル動画。各主演ペアやコール・ド・バレエの姿も追った映像です。



まだ開幕したばかりですので簡単に。まとめての詳しい感想は全日終了後に書いて参ります。
現在上演中の牧阿佐美さん版は2006年に初演。終幕のあっさり感は否めませんが
米沢さんのオデット/オディールの切り替えの上手さやオディールの悪女オーラ倍増な恐怖感、
身体の線が一層綺麗になったジークフリート王子の井澤さん、そして変わらず美しく整ったコール・ド・バレエ、
寺田さん細田さんの美女2人を揃え安定して爽快な奥村さんによるパ・ド・トロワに
本島さんの魅力炸裂のスペインに麗しい花嫁候補たちなど、バレエ団の質の高さを存分に味わえました。

ところでキャスト表を読む限り本日は落ち着いて隈なく鑑賞できる日であろうと
寛ぎつつ鑑賞していたはずが3幕冒頭で一変。
ルースカヤに付き添って登場した男性、きりっとした古風なお顔立ちに
毛皮の帽子とやや東方寄りの渋い民族衣装姿がクレムリンの絵画や販売店のポストカード以上に絵になるお姿、
プログラムにも掲示のキャスト表にも名前がないが、他日に主役を張るダンサーに間違いない。
2010年までは「ルースカヤの付き人」という役柄がついていたようですが以降はなく
(調査にご協力いただき、ありがとうございます!)ならば観客が勝手に名付けて良いのか、いや違うか。
ただ今回は付き人ではなくロシア周辺地域の小国の貴公子だ。瞬時に目も心も持っていかれたのであります。
勿論気を取り直して花嫁候補たちや各国の民族舞踊、オディールと王子のパ・ド・ドゥも堪能いたしましたが
カヴァリエ、ロシアの王子、ゴールドで鑑賞エネルギーを使い果たし
ムンタギロフさんの記憶が殆んど残らなかった昨年の『眠れる森の美女』初日と2日目の二の舞いになる寸前でした。

それはさておき、バレエの代名詞と呼ばれる作品を主役からコール・ドに至るまで
総力を挙げて上質な舞台を届けてくださっています。
例年に類を見ない『白鳥の湖』多き年ですが新国立の白鳥はお見逃しなく。
ゴールデンウィーク東京近郊にいらっしゃる方は是非初台へ足をお運びください。


※朝日新聞に、全幕白鳥初挑戦の木村優里さん、柴山紗帆さんのインタビュー記事。
全て読むには会員登録が必要になりますが、とても読み応えある内容です。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13453969.html

※木村優里さん、渡邊峻郁さんへのインタビュー。大きな写真入りです。
画像はやや粗めですが懐かしい、2年前のこどものためのバレエ『白鳥の湖』写真もあり。
(残念ながら管理人は観ておりません涙)
お2人とも作品、役柄について事細かに深く考えて臨まれていることが窺えるインタビュー内容です。
https://spice.eplus.jp/articles/185590

※4月24日(火)読売新聞夕刊にも木村さん渡邊さんのインタビュー記事が掲載されています。ネット版は見つからず。
写真は小さ目ですが、にこやかな木村さんと落ち着いた佇まいの渡邊さんがカラーで写された素敵な写真です。
知ったのは掲載の翌朝だったため、仕事帰りに自転車を走らせて販売店へ行き購入。
購入後我慢できず自転車に乗る前に紙面を開いて写真も視界に入り、うう幸福。

しかし3件ともバレエ団のホームページやフェイスブック、ツイッターにも紹介が見当たらず。
全日程完売ならともかく、今回は初日と貸切日(一般販売無し)を除いてはまだ残席がある状況です。
お1人でも多くの方に読んでいただき、そして集客を図るためにも
メディア掲載情報はしっかりと紹介してくださるよう切に願います。


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演目限定デザート、2羽のスワン。分解が勿体無い、繊細な作りです。

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まさかのルースカヤの付き人貴公子の余韻に浸ってウォッカで乾杯。(初日からこんな状態で良いのだろうか…)




上野の森バレエホリディ2018

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ゴールデンウィーク前半、今年も上野の森バレエホリディに行って参りました。
https://balletholiday.com/

昨年と同じく抜けるような青空と微風が気持ち良い行楽日和。
美術館や動物園へ向かう観光客も気軽に立ち寄っていたようで、大盛況のイベントでした。



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屋外ステージでのダンス&クリエイションは5本立ての構成。まずは木村和夫さんによる司会進行解説で
東京バレエ団のレパートリーにもあるバランシン振付『テーマとヴァリエーション』の曲に乗せて
研究生たちがクラスレッスンを披露。集まった大勢の観客がバレエの基礎レッスン風景にじっと見入っていました。
木村さん振付『ハミング・バード』では小林純夕さん、米澤一葉さんが初々しい可愛いらしさを表現し
岡崎準也さん振付のWarm Upでは男性5人が限界に挑むように力を尽くしながら躍動して
次は何が起こるのだろうかとわくわくさせられ楽しさ一杯。

2月のスタジオパフォーマンスにおいて笑いで溢れ返ったブラウリオ・アルバレスさん振付『ドアが閉まります』は
出演者が大幅に変わっていながらも酔っ払いや頑固なご老人、弾ける女子高生など
満員電車における人間模様をユーモアを交えながら踊り
変化の浮き沈みが激しい風変わりな曲調の『巴里のアメリカ人』の音楽がよく合っています。
今回は場所柄近いせいかアキバ系オタクの青年が妙にリアリティがあり
大量に着けられたリュックの缶バッチの模様が気になるところ。
メンデルスゾーンの『結婚行進曲』を今風に編曲したものにアルバレスさんが振り付けた
『Will you Marry me』では男女がペアになって複数のカップル誕生の喜びを表し、祝福感が広がりました。

実は本番2日前だったか、日中両国よりバレエで言うならオーロラ並みの盛大な祝福を受けて誕生した
白と黒両色を備えた姫を一目見ようと母が上野を訪れた帰りに
西洋美術館前でプラド美術館展のポスターを眺めていたところ
ちょうどリハーサルが始まっていたようで見物していたそうです。
女性2人と電車のバレエと話しておりましたので『ハミング・バード』と『ドアが閉まります』だったのでしょう。
立ち止まってつい見入ってしまうほど楽しかったとのこと。

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プティパ生誕200年を記念し、バレエ史の偉人たちがずらり。

文化会館の中では、今年は出店面積を拡張し小劇場前では大人マルシェを開催。2年前のバレエ鑑賞講座で知り合った
カラーコンサルタントのはぎのもりゆきこさんが出店され、立ち寄って参りました。
ダンサーの好みが同じであると講座終了後に判明し、一気に距離が縮まったのです。
鑑賞とレッスンどちらもお好きでバレエにお詳しく、会話を交わす度に勉強させていただいております。

はぎのもりさんのブログ、色彩豊かなデザインで可愛らしさに溢れています。(当ブログとは大違いでございます)
https://ameblo.jp/bellefleurcolor/

ブースの雰囲気が伝わる写真も掲載してくださっています。
https://ameblo.jp/bellefleurcolor/entry-12372983447.html


会場のブースでは、細かなアンケート項目に記入してパーソナルカラー診断をしていただき
四季ごとに分類して自身に合う色を選んでくださいました。診断結果は「夏」。
色見本を元に私に合うウェアの色を教えていただき、サンプルも豊富に用意されていて目にも鮮やか。
レッスンは随分ご無沙汰状態にありますが大変ためになるウェアのカラー診断、今後に生かして参ります。

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合うデザインとして紹介してくださったコーディネート例の1つ、スモーキーな水色のウェア。

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別のお店にて、絵付けした使い終えたポワント。動物の毛並みも細やかに描画。記念に絵葉書を購入いたしました。

もう1つ、大人マルシェで楽しみであったのがバレエBAR。
ワイン・ライター葉山孝太郎さん監修によるバレエの役柄にちなんだワインが多種登場です。

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1杯200円から700円程度。それぞれの味の特徴、役柄のイメージを重ねた理由を綴った
解説は声に出して思わず読みたくなる美しい文体です。
アルコールといえば、当ブログでも終演後の1杯写真として頻繁に登場していますが
例えば『カルメン』ならスペインワイン、『ジゼル』ならば理想はドイツワイン、と
舞台設定国と産地だけで結び付ける非常に安易な選択が主流。
しかし葉山さんはすぐさま産地国には結び付けず、葡萄の種類や味の特徴をも重視されこれまた勉強になりました。

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バーカウンターにて、メニュー一覧。

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最初の1杯。夏のような気候でしたのでスパークリングワインから飲もうとひとまずメドーラから。
女性らしさと躍動感、辛口であっても香りは甘やか、と複雑に絡み合う味が役のイメージに結び付くそうです。
思えば2006年のマリインスキーバレエ来日公演で初めて全幕『海賊』を鑑賞した際、
それまではひたすら崇高な印象があったメドーラがパシャを笑わせたり、
ビルバントの裏切りを目撃したと勇気を振り絞ってコンラッドに証言したりと
様々な要素を備えた役柄であると知り驚いた覚えがあります。メドーラ役はロパートキナでした。

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別のブースではバレエみくじを販売。初詣の習慣がなく、旅先で神社に立ち寄っても散策のみのため
約20年ぶりのおみくじです。表れた文字はまさかの「ジゼル」。
待てよ、冷静に考えよう。団体、キャスト、場所は異なれど一昨年と昨年ともに年間で最も印象深く残った作品であり
ここ最近ワイン摂取が習慣化しているため引き当てたのでしょう。ヒロインのイメージが備わっているわけがない。
記されている内容も面白く、バレエならではの助言が並んでいました。
・待人 花を抱きて来たる (人生終了後に献花に来てくださっても遅いんだが誰も来ないよりは良いか笑)
・病気 心臓をいたわれ (肝臓のほうが心配なのだが)
・商法 葡萄酒を醸すと吉 (毎日ワイン、間違ってはいないのだ)


時間の都合上全てを回ることはできませんでしたが、ファミリー公演の『真夏の夜の夢』も連日大賑わいだったようで
上野へ観光にいらした方もふらっと立ち寄りやすい雰囲気があり講座も充実。
ゴールデンウィークの定番行事として定着して欲しいと思うイベントでした。来年の開催も心待ちにしております。




半日間で世界周遊 4月の姫路旅行記

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最寄りのバス停付近の歩道から姫路版白鳥城を眺める。地名は白鳥台3丁目。



ゴールデンウィークもまもなく終わり。ご旅行や帰省中の方も大勢いらっしゃるかと思いますが
私は東京から出ず『白鳥の湖』三昧、初台通いが続いております。

さて、先月姫路へ行った際にグラッシオバレエスクール『白鳥の湖』全幕鑑賞に合わせて
また小学生の頃自由研究にノイシュヴァンシュタイン城を取り上げた経緯もあり太陽公園へ行って参りました。
https://www.taiyo-park.com/

建設経緯。清掃業務やお店のレジ業務など、障害をお持ちの方が大勢担当なさっていましたが
とても丁寧な接客で清々しい気持ちで散策ができました。
https://www.taiyo-park.com/biography/

小学生時代、バレエ以外に関心を持っていた分野の1つがヨーロッパのお城で
誕生日プレゼントに古城写真集を買ってもらった、変わり者な子供でありました。
(ドラクエ、ファイナルファンタジーといった名の知れたものでも遊ぼうとも思わず
ゲームには無関心だったらしい。ただ今月のスタダンのドラクエ上演は楽しみ)
太陽公園ではノイシュヴァンシュタイン城を始めエジプトのピラミッドや兵馬俑、
万里の長城など世界各地の遺産や名所を縮小して再現。
姫路へお出かけの際には姫路城のみならず是非足をお運びいただきたい公園です。
雲1つない晴天の土曜日ながら数えた限り観光客は10人程度でバレエ好きには嬉しい要素も多々あり、
ほぼ貸切状態で散策できました。姫路の食事など立ち寄ったお店の話も盛り込んでおります。
遠方に出向けないが世界旅行気分を味わってみたい方、
海外旅行へは興味があるが私と同様パスポートが期限切れで出かけられない方、
「80日間世界一周」ならぬ半日で世界周遊気分を満喫してみたい方はどうぞご覧ください。
連休最終日に呑気な旅行記なんぞ読んでいられぬとお思いの方は恐れ入ります、
次回更新予定の新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』6回分の感想或いは順番前後して
ウィーン国立バレエまたはスターダンサーズバレエ団まで今しばらくお待ちください。




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朝食は姫路駅前のナゴミカフェで姫路名物アーモンドトースト。
厚切りのパンに塗られたアーモンドバターは甘く香ばしく、このセットで480円はお手頃。
姫路の喫茶店、カフェには大概用意されています。
観光客だけでなく地元のご家族連れ、ご夫婦も美味しそうに召し上がっていて地域密着な雰囲気もまた良し。

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姫路駅前のバス停にて、ここから出発。

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バスの車窓から。お城が見えてきた。バス内、乗客は私以外地元のご年配の女性お1人。

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城エリアの最寄りのバス停から徒歩で約7分、歩行者は地元在住のお2人ぐらいか。
野球のグラウンドが見えてきたらまもなく到着。動物と城。
公園の客よりも野球少年の方が遥かに多そうであると思ったら、甲子園常連校東洋大姫路のグラウンドであった。

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城エリアの土産物を中心に揃えた白鳥の館にて、大きなくるみ割り人形。早速バレエ物発見。

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かぼちゃの馬車、ではなくモノレールに乗ってお城へ。乗客6人ぐらい。
ノイシュヴァンシュタイン城ならばルートヴィヒ2世が惚れ込んだワーグナーの音楽が流れているかと思いきや
軽めの音楽。まあ朝からワーグナーは重たいか。

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入口に到着。

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階段を上がる、静かな空間で貸切状態。少しだけシンデレラの気分だが王子様のお出迎えはございません。
(現実を見ろとの突っ込みはここでは流します)

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ドアから王子が登場?とあり得ぬ期待を抱いたが当然ながら登場せず。
翌日の姫路市文化センターで待つのみであります。

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立派なバルコニー。バレエでバルコニーといえば『ロミオとジュリエット』のパ・ド・ドゥが思い浮かびますが
ロミオは不法侵入罪に問われなかったか心配でもある。
今ならジュリエット並みの家であればセ◯ムのセンサーが作動して瞬時に御用だ。

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どこへ行っても、空を背景に聳える塔が目に入ると幽閉された姫と助けに行く男性の話が脳内で自然再生。
本の読み過ぎだ。『天空の城ラピュタ』でもシータが閉じ込められていたのはムスカの要塞の塔部分でした。

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城の内部。受付にくるみ割り人形と白鳥。くるみと白鳥の組み合わせといえば
6年前三重県四日市市でチャイコフスキー二大バレエハイライト公演での『白鳥の湖』において
王子を山本さん、ロットバルトをKバレエカンパニーの宮尾俊太郎さんが務められ
バレエ団の枠を越えたまことに面白く貴重な共演を拝見。

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ステンドガラスで作られたノイシュヴァンシュタイン城。
このお城、テレビなどでも時々「中世のロマン」と紹介されている文字を目にしますが
建築が始まったのは日本でいえば明治維新以降。しかも世のため人のためではなく
ワーグナー・ランドなるものを作ろうとしたルートヴィヒ2世の趣味のお城、でありました。
当時は既に背広着て仕事へ向かう人々が増えている時代でアパートやオフィスもあちこちに点在。
城の建築経験を持つ技師もおらず、おとぎ話の絵本を読みながら参考にしたとか。

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王座。座って写真も撮れます。

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騎士の甲冑。中世の中でも近世に近いデザインと思われます。十字軍の時代ではない。

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様々な職業を模したくるみ割り人形。警察官もいます。

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くるみ割り人形ができるまで。今年も新国立はイーグリング版、何回かは観に行きます。
良い点を見つけることが目標であります。

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ドイツ民族衣装。今年は9月に西日本でジゼル全幕鑑賞予定です。世界随一のアルブレヒトに再会できますように。

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外側から撮影。見事なまでに精緻な再現。外観写真を家族に送ったところ
本家バイエルンへ行ったかと妹は思ったらしいがそれほどまでに本物に近い造りです。
妹は学生時代卒業旅行でアウグスブルクに住む留学中の友人を訪ねるまで
1人ミュンヘンを旅したそうですが、ノイシュヴァンシュタイン城といった観光名所には行っていないらしい。
街中を散策しながらスーパーで買い物し、あたかも地元市民のように滞在していたとか。それも面白そうです。

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城エリアを出て、グラウンド前を通過して石のエリアへ。凱旋門です。おーシャンゼリゼ〜。

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凱旋門を抜けると、そこはイースター島だった。
(バレエに造詣が深くバレエを題材にした小説も何本か残している川端康成を真似てみた)

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兵馬俑、なかなか壮観。

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入口にて人形たちに迎えられイーグリング版ではないクララの気分。1人客でも寂しくない、お出迎えは大事だ!

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天安門。裏ではコスプレした方々が撮影していた。ふしぎ遊戯?らしい。
それにしても日陰がなく、まだ4月ながら夏のような暑さ。水分はしっかりご用意ください。

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ピラミッド。階段も備えていて上れます。Kバレエカンパニーが今年早速『クレオパトラ』再演予定。

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こんにちは、ファラオ!梓みちよさん風に挨拶。

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ピラミッドからのクレオパトラ目線。自信のある方はカール・ニールセンの曲に乗って踊ってみてください。

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姫路城近くの宿にチェックインする前に、銭湯へ。極楽極楽。
お風呂上がりにはロビーにてテレビで阪神対巨人戦を観戦。

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宿泊先、姫路城から歩いてすぐのゲストハウスガハハ。1泊2700円、ドミトリーでも十分居心地良し。
フリースペースではスタッフと宿泊客同士多国籍なギター演奏会が行われていたりとほどほどに賑やか。
ただ多少の音が聞こえても眠りにつけるため気にならず。
入りたければ輪にすぐ入れてくれそうですし、休みたければ挨拶だけして
(寝室への通り道にあるためどちらにしても必ず通る)ベッドへ向かえば良し。
外出の際、帰ってきた際には誰かしらイッテラッシャーイ、
オカエリナサーイと声をかけてくれるのも結構嬉しいものです。

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夕食は姫路駅近くにて姫路おでん。生姜たっぷりです。燻製ポテトサラダもにごり酒官兵衛によく合います。

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翌朝は昨年に引き続き姫路城へ。雲が見えるもののこの日も晴天。

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今回は城の内部へ。板張りが立派な造り。

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瓦屋根の道。人多し。天守閣に着く少し前の10:45分頃には
入場制限をかける無線連絡をするスタッフの声が聞こえました。朝早い時間がおすすめです。

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朝?昼?食は昨年感激した蒸し牡蠣と冷酒で姫路城を眺めながら乾杯。
朝からアルコール、お許しを。当ブログ、数あるバレエブログの中でも
青少年の健全な人格形成に最も向いていないのは重々承知しているが高校生の熱心な読者様の存在を忘れぬように。

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帰りの新幹線にて。白尽くしであった姫路滞在でございました。


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追加・お土産には太陽公園内の工房で製造の瓦煎餅がおすすめです。
品ある甘さ、パリッとした瓦生地で各名所がプリントされています。
箱に巻いてあった包みを用いて、美術は五段階評価で白鳥印を貰った我が渾身作ペンギンの湖。
ペンギンは昨年だったか海遊館で妹が買ってきてくれました。
芸術センス抜群な妹からは、作り手の心は伝わったとの評価止まり(つまりは駄作)でございます。

以上、長い旅日記をお読みいただきまことにありがとうございました。次回更新まで今しばらくお待ちください。



衣装観たさに初ウィーン ウィーン国立バレエ団「ヌレエフ・ガラ」 5月9日(水)

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順番前後いたしますが5月9日(水)、渋谷のオーチャードホールにて
ウィーン国立バレエ団「ヌレエフ・ガラ」を観て参りました。初鑑賞のバレエ団です。
(新国立白鳥はもうしばらくお待ちください)
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/18_wiener/program.html#nurejew

昨年のルグリ・ガラは未見で実のところウィーン国立のダンサーは
橋本清香さんや木本全優さんといった日本人ダンサーしか知らず。今回は上演作品が目当てで
エイフマン振付『赤のジゼル』、そして一度はこの目で観たいと願っていた
ヌレエフ版『ライモンダ』の衣装を一番の目当てに行った次第です。
言い訳がましいのは重々承知しておりますが、ゴールデンウィーク明けの週半ば。
今になって新国立白鳥6回鑑賞の疲労が押し寄せ、コンテンポラリー中心であった点も影響したのか
ガラ前半はリラの精の魔法にかけられましたため後半中心且つ非常に簡素な内容ではありますが悪しからず。

ユニークな振付と衣装で目を惹いたのはダニエル・プロイット振付『ル・シーニュ 白鳥』。
今世紀版『瀕死の白鳥』と呼べる作品だそうで、頭の羽飾りはなく
羽付きの純白のチュチュを身に纏ってゆったりと舞う振付でした。
衣装のインパクトが強く、大きめのチュチュの左右に白鳥の翼がまるごと乗っかったような重たいデザイン。
日本のバレエ創成期を支えた貝谷八百子さんが着用していた衣装を彷彿とさせました。

エイフマン振付『赤のジゼル』は新国立劇場バレエ団にもレパートリー入りしている
同じくエイフマン版『アンナ・カレーニナ』でも使用されたチャイコフスキーのマンフレッド交響曲に乗せた
アクロバティックで胸が張り裂けるようなパ・ド・ドゥ。
成功後やがて精神の病に苦しんだロシアのバレリーナ、スペシフツェワの人生を描いた作品で
詳細な設定は分からずとも柔軟な身体を最大限に歪ませ不安定な心理を抉り出した壮絶さは圧巻でした。
恐らくはエイフマン・バレエが最後に来日した1998年の上演演目にも含まれ
「赤」の意図やロマンティック・バレエ『ジゼル』との違いについて当時から気になっておりましたが
全幕で観たいと思わせ、他場面の選曲にも興味津々。
そして新国立劇場バレエ団で『アンナ・カレーニナ』再演を一層切望させました。

ノイマイヤー振付『シルヴィア』には前半に続いてルグリ監督がイリーナ・ツィンバルを伴って登場。
このパ・ド・ドゥは本家ハンブルク・バレエ団の鉄板ペアであるアッツォーニとリアブコによる
あたたかみとユーモアに満ちた名演が刷り込まれ高い壁が立ちはだかっているものの
ツィンバルとルグリの間に生じる静かでしっとりとした感情もまた良し。

ヌレエフ版作品を抜粋で届ける「ヌレエフ・セレブレーション」では『くるみ割り人形』よりパ・ド・ドゥでの
橋本さんの高貴な美貌、芯の通った踊りに惚れ惚れ。
下手すれば後方部分が欠落したシャンプーハットにも見えかねない巨大な頭飾りもしっくりと似合い
金色で整えられた衣装も映え、ヌレエフ特有の複雑な振付をも優雅にこなす格調高い姿に魅せられました。

さて、いよいよ一番の目当てである『ライモンダ』。第3幕における女性陣の赤系で統一された
宝石を埋め込んだかの如くゴージャスな衣装と頭飾りを念願叶って目にでき、ああ感激。
3幕より女性パ・ド・トロワにおいて音響トラブルが発生し、誤ってアブデラーマンの曲が鳴りかけてしまいましたが
動じずにこやかな笑みでポーズを取り続け、芝本梨花子さんのきらっとした可憐なオーラが際立っていました。
特別パリ・オペラ座バレエ団好きではない私でもヌレエフ版『ライモンダ』ドキュメンタリーDVDだけは購入して
衣装と美術装置をひたすら観察。エリザベット・プラテルの威厳やファニー・ガイダの優美さに見入り
山本隆之さんには及ばぬがアブデラム(確かこの表記だった)のローラン・イレールの色気にたまげ、
またバレエ鑑賞を始めた80年代後半当時のパリ・オペラ座は
ギエム、プラテル、ルディエール、ゲラン、モーランといったこれぞエトワールと唸らせるダンサーたちが
燦然と輝いていた時代。(ギエムはすぐさまロイヤルに移籍してしまったが)
豪華絢爛なヌレエフ作品を踊る写真を幾度も書籍で眺めていたためか長年の願いがようやく実現した思いでおります。
3幕の男性パ・ド・カトル、4人の騎士たちの技術レベルは14年前の新国立劇場バレエ団
牧阿佐美さん版『ライモンダ』初演を思い起こさせ、ルグリ監督による底上げを期待したいところ。
サラセン陣営の踊りも披露され、アブデラーマンのヴァリエーションはかなりあっさり淡白な印象で
もっと濃厚な方が好みではありますが世相を考慮すると現代の感覚には良いのかもしれません。
サラセン男女は弾けっぷりが気持ち良く爽快。

オディールと王子のコーダやスペインの踊りが披露された『白鳥の湖』を経て
最後は3作品それぞれの出演者が『ライモンダ』3幕フィナーレの曲に乗って
手と手を取り合いながら振付そのままに全員登場。サラセン男女は今度は正式招待されたのか
アブさんは生き返り大団円でヌレエフ・セレブレーションならではの演出には思わず笑ってしまいましたが
通常公演ではお目にかかれないヌレエフ作品の縮図なる特別版に喜びが込み上げたのでした。

全体を通して良かったのは作品、振付者、作曲者、出演者名を入れた次のプログラムを紹介する映像を
幕に映し出していた点。昨年のルグリ・ガラにおけるあたかもプロ野球のバッターボックスに入る選手紹介風に
顔写真を仰々しい太鼓音で写す大胆な手法ではなく、静かなパーカッションの音と共にリハーサル映像を流し
どの作品にも違和感なく入っていける紹介方法でした。

往年のルグリファンの方からはお叱りを受けそうな非常に偏りのある印象を抱いてしまいましたが
初鑑賞のバレエ団ながら長年の願いが叶い、感激を胸に劇場を後にしたのであります。
『海賊』をご覧になる皆様、どうぞお楽しみください。



湖に浸るどころか溺れ続けた6回公演 新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』4月30日(月祝)〜5月6日(日)

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新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』を貸切日を除いた計6回観て参りました。
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/swanlake/

※短くなるよう努めて参りましたが途中で挫折、『眠れる森の美女』期間中に罰として
カラボスの襲来に遭わぬよう気をつけます。キャストは後日追記いたします。

米沢さんのオデットは表現の起伏はとことん深く、背中で白鳥たちをそして王子をも率いる力強さもあるヒロイン。
オディールのフェッテは4回転も含まれ圧巻。ガラならともかく全幕の場合
大概はあまりにテクニック偏重な舞台には不満を覚えるところ
米沢さんは場合は無理なくするすると回転し、しかも役を生きたままこなすため不思議と快感に浸ってしまうのです。
今回もいよいよ王子陥落を確実視したオディールの自信が全身から振り撒かれ
3日(昼)には観客も圧倒され見入り過ぎたのか中盤からの拍手すら起こらず回り終えてから一気に轟いたほどでした。

小野さんは凛然とした強さを持つ女王らしいオデット。踊り込むほどに貫禄が増し
オデットデビューした頃のあどけなさが残っていた2010年公演が懐かしく感じます。
王子と出会ったときの震え、裏切りの悲しみに暮れながらも許しを受け入れる寛大さが一層観る者の心を打ちました。
誘惑が愉しくて仕方ないのであろう蠱惑な表情を見せながらのオディールも忘れられません。

驚いたのは柴山さん。オデットはひたすら心を閉ざしている設定にしたと見受けられ
一見哀れみばかりが際立ちそうでしたが、腕の羽ばたきの滑らさに驚愕。
最後まで肩が上がらず、息苦しさも皆無でした。無理に感情を露わにせずとも型を厳守し美しく魅せながら
心情はしっかりと届き、持ち味であるクラシックのお手本のような踊りを生かしたオデットデビューです。
悪女路線ではない理知的な中にちらりと悪の魅力を覗かせながらもあくまでエレガントなオディールも
伸び伸びと心地良し。昨年の『シンデレラ』、こどものための『しらゆき姫』でも好演されたものの
両作品とも相手が同じダンサー且つ「まことに頼もしい王子」だった点も大きいと
またもや捻くれ者の勝手な想像を少なからず募らせておりましたが
白鳥の主役に配されたとの発表時にはいたく心配していた自身が今となっては恥ずかしい限りです。

木村さんは白鳥の長ではなく侍女たちに支えられている感もありましたが
再演を重ねて行けば変化を遂げていくに違いありませんし年齢も若し。
今の木村さんだからこそ出せる初々しさとこなしてきた主役の経験回数が上手く合わさり
同性であっても守りたくなるオーラを備えたオデットでした。
役柄の振付の事情を加味すると致し方ないかもしれませんが
一時は抑えられていた印象があった腕のくねりが今回はやや目立ってしまっていた印象もあり。
ただ着実に成長を遂げているのは目に見えており、この先経験を積む中でより洗練されていくと確信しております。
出会ってすぐに心を開かず、徐々に徐々にアダージョになってようやく微かな笑みを見せる
オデットの心の移り変わりを丹念に紡いでいたのは好印象。
オディールはスカッとする悪女。ニヒっとした笑みには王子ならずとも惚れ込んでしまいそうでした。

意外にもジークフリート王子初役(前回はトロワやスペインに入っていた?)の井澤さんは
『ジゼル』に続き、米沢さん務めるヒロインとの感情の通わせが伝わりにくいとの声も聞きましたが
貫禄あるオデットの威厳に気圧され、恋には落ちたがどうして良いか分からず戸惑っていると考えると
大事に育てられた王子にとって初恋の可能性も十分あり得るのですから井澤さんの王子にも納得いきます。
誰も彼もが表現が強くあれとの決まり事はなく、好みは別として(毎度失礼)
生来の少女漫画系麗しい容姿は努力しても入手不可能な要素であり王子としての見映えは完備。
勿論何も伝わってこないのでは問題ですが決してそうでなく
オデットに愛おしく触れながら恋心を抱いていく過程は丁寧に表現していましたから
無理矢理感情を押し出そうとする必要はなく、さらっと美しい王子は魅力的に映りました。
ホフマンでの年代毎の表現が前回より格段に深まって大変良かったとの声も聞こえていただけに
2月は公演が被りやすい時期とはいえ鑑賞できなかったのはやはり残念。

福岡さんは成人祝いから孤独感が漂う王子。祝福場面ではあっても周囲とは温度差があり
夢いっぱい花いっぱいではない複雑な心境を窺わせ、次期国王としての自覚を持つよう
王妃から度々促されていたのではと思わせます。
オデットには出会った時から一直線。我が物にしたいと欲求が前面に表れ、オデットも呼応するように
王子にみるみると惹かれていき新国立の鉄板ペアであると再確認。

永遠の少年な印象を抱きがちであった奥村さんは前回の快活なお坊ちゃんとは打って変わって物静かな王子。
これまでなら良い意味で素直で能天気な明るさが優っていましたが今回は突如翌日に花嫁を選ぶよう
王妃からの命令に将来を憂える心をより細やかに表現していた印象でした。
なかなか心を開いてくれないオデットをただただ献身的にサポートし、
叶わぬ純愛物語を見たかのような切なさにもしみじみ。最後互いの力を合わせて愛で打ち勝つ姿には
時間をかけてようやく2人が結ばれた終幕に胸を撫で下ろしたのでした。

(以下長くなりますが悪しからず。休憩を挟みながらどうぞ)
一昨年のバレエ団デビューにあたるこどものための白鳥を見逃してしまった渡邊さんは
ヴァレンタイン・バレエでの黒鳥パ・ド・ドゥ、1・2幕の王子とスペインを踊られた東府中での発表会、
そして手が届くどころか触れてしまいそうな伝説級の至近距離で観た東京タワー隣接スタジオでの湖畔のアダージョ、
と断片的に観続けていただけに全幕で早く鑑賞したいとずっと待ち望んでおりました。
またこども白鳥の映像は他日分は資料室に入っていると知り、昨夏8年ぶりに利用。
駄目元で行ったが案の定渡邊さん主演日はなく、8年の歳月経過に伴う機械事情の進化にも驚きながら
(ブラウン管ではなく薄型タッチパネル画面になっていてシーズンチケット申込みに続く浦島太郎状態)
他出演者の映像を鑑賞しつつ渡邊さんに置き換え、オデットではなく妄想の翼をはためかせて鑑賞していたものです。

登場シーンにおいては前日のパ・ド・トロワのような親しみやすさは封印し見るからに高身分であるのは明らか。
上に立つ者らしい十二分な風格と育ちの良さ、歩き方の美しさや爽やかな清潔感も備え瞬時に吸い寄せられました。
さて当ブログお馴染み髪型考察、新たなヘアスタイル誕生を目にできたのはめでたいと言うべきか
オールまでは至らずともハーフバックな整え方で新鮮味がございました。
もう少し前髪があるほうが好みですが、威風堂々たる雰囲気を後押しする効果もありましたので良いのでしょう。
新国立入団後はほぼ全作品髪型が異なると思われ、今回も読売新聞の記事とスパイスイープラスのネット記事では
印象が随分と違い、全公演及び取材時における写真付きヘア目録ができそうな予感がいたします。

鮮烈な驚きを覚えたのは緻密に練り上げた出会いの場面と湖畔のアダージョ。
出会いではオデットへの愛が強過ぎるがためか時折目をかっと見開きながらの表情でつかまえようとする行為に
オデット怯えてしまうのではと危惧もいたしましたが、アダージョではガラス細工に触れるかのように
大切にそして愛おしみながらのサポートに観ているこちらの全身までもがすっと清流が伝うかの如く心洗われました。
特に湖畔のアダージョは音楽は静寂でヴァリエーションも無し。
超絶技巧の進化著しい現代において、数あるバレエの中でも魅せるのが非常に難しい場面の1つといえます。
昨秋東京タワー隣接スタジオで鑑賞した際には背景装置もなく観客が至近距離から眺める、
僅かなミスも見抜かれ誤魔化しが一切効かない状況にも関わらず何処を探しても隙や粗が見当たらないどころか
感情の込められた包み込むようなサポートに心を解かされ吸い寄せられ
無事の帰宅が不安になるほど放心状態になったわけですが、コール・ドも付いた全幕で鑑賞するとやはり格別。
静けさの中でサポート中心に進行するこの場面において一挙手一投足瞬きも惜しいほどに魅せられ
オデットへの感情の深さといい包容力を備えてサポートする姿までもが美しいと唸らせたのは山本隆之さん以来です。
4幕で力強く湖畔へ跳び込んでくる姿もただ大跳躍している状態ではなく
全身から自身の過ちに対する後悔が滲み出ていて見惚れた姿の1つ。
王子がオデットを担いで立ち向かっているにしか見えぬ振付である
終盤の不可解な最終兵器オデットマン突撃によるロットバルト滅亡も、木村さんのオデットと渡邊さんの王子なら
ラピュタのムスカも仰天であろうバルス以上の愛の威力があったと思え腑に落ちたのであります。

道化は宮殿を知り尽くしているであろうベテラン福田さんの魂のこもった踊りが気持ち良く王子の支え人として活躍。
小野寺さんは愛嬌のある可愛らしさもあり、井澤さんは爆発系。

パ・ド・トロワはの寺田さん、細田さん、奥村さんはファーストキャストの誇りを感じさせ
見た目も宜しく安定感も秀逸。ほのぼの上手い職人と思わせたのは奥田さん、飯野さん、渡邊さん組。
柴山さん、池田さん、木下さんは晴れ晴れとした笑顔と端正な踊りでした。
3日夜と5日に関してはその日の公演ではトロワが一番印象深く残った公演でしたが
同様に感じた白鳥全幕は人生初のバレエ鑑賞であった1989年のABT来日公演以来29年ぶり。
主演のシンシア・グレゴリーとセルジュ・ラボワよりも、カーテンコールに登場したミハイル・バリシニコフよりも
トロワが気に入ったと周囲に話していたことは今もはっきり記憶しております。
今回人生初、「日によっては」トロワの男性をずっと目で追い続けてみると意外にも王子との絡みが多いと判明。
また1幕終盤の乾杯の踊りの合間だったか、下手側のテーブルに置かれた容器に入った
ワインらしきお酒を注ぐ行為があるのを初めて知った次第。端に立っているときも気を抜かず、
食堂のお冷や継ぎ足し状態にならずに宮廷での祝杯らしく所作に品が宿っていることよ。発見の連続でした。

小さな四羽は足並み揃った部隊がシングルキャストで活躍。今回は高いジャンプをしながらの前進に釘付けです。
大きな四羽は細田さんのさざ波を想起させる繊細な羽ばたきに目を奪われ、
4幕の2羽の白鳥ソロを踊る姿からオデット役も観たいと願います。

民族舞踊はどのダンサーも張りのある踊りを披露していた印象でしたが中でもスペインは前回よりも上出来。
初日は本島さんの魅力大炸裂でしたが渡辺与布さんも独特の良い味を出していてカラボスは楽しみです。
益田さん川口さんも大人の色っぽさがより出てきて、男性陣は皆濃ゆい存在感。
ナポリは軽やかで平和な空気にほっこり。お日様きらきらを思わせる
手をひらひらさせる振付がどのダンサーも合っていました。
ハンガリーは男勝りな飯野さんとドヤ顔の福田さん、優雅な細田さんとエンジン全開な宇賀さんで
両ペアそれぞれの魅力を堪能。マズルカは盤石の布陣。
ルースカヤは3人の美女競演。木村さんは華麗なる柔らかさで魅せ、入団前の抜擢であった前回に比べ
抑制も効いて優雅な印象。寺田さんはたおやかで優美。
細田さんは威厳と高貴な輝きを放ち、神経が行き届いた手先が何とも美しく惚れ惚れいたしました。

そして今回最大の事件、掲示のキャスト表にも未掲載の扱いであるルースカヤの付き人。
毛皮の帽子に茶色の衣装とブーツで整え、職業を超えた情景が見えてくるほどに個性が面白く
2006年の牧阿佐美さん版初演以来初めて注目です。
初日我が心臓を射抜いた渡邊さんは厳格な護衛官。初日は貴公子かと思いましたが3日昼、6日にも登場され
よくよく見ると9年前に訪れた、警備体制が実に厳戒であったモスクワのクレムリンにおいて
観光客が見学ルートを少しでも外れそうになると鋭い顔つきでけたたましく警笛を吹いていた
警察或いはロシア軍関係者をすぐさま思い起こさせるほど姿が重なりました。
チャイコフスキーが『白鳥の湖』の構想を練ったノヴォテヴィチ修道院の最寄駅前で目撃した騎兵にも似ていた気が。
それにしても管理人、『眠れる森の美女』ロシアの王子と同様お顔立ちがに余りに嵌るのか
東方寄りの渋い衣装を纏った渡邊さんには滅法弱いのであります。
付き人は他に3名。木下さんは大女優に仕える気弱なマネージャー、小野寺さんはおとなしいお小姓、
中島駿野さんは温厚でにこやかな執事といったところ。個性が面白過ぎた、
そして当日しかもまさに本番中に判明するキャストで連日楽しみな場面の1つでした。

麗しさと個々の多彩な表現で作品を盛り立てたのは花嫁候補たち。
務めるダンサーが一新した頃には以前の常連であった
本島さん、真忠さん、厚木さんといった主役級の先輩たちに比較すると華やかさに欠けた感があったものの
今や先輩たちを超えそうな煌めき。中には立候補し続けて5年以上経過しているであろう姫君もいて
今年こそは王子様に選ばれて欲しいと願ってしまいます。
白で統一しながらも各々のお国柄を表す衣装は目に快く、幕開け1人を除いては民族舞踊団を率いながら登場。
また各国の舞踊が披露されるたびに私の国の者たちであると候補者たちが雄弁なマイムで示すため
単に踊りの見せ場を増やそうと切り貼りした印象がありません。
王子が誰も選ばずオディールに首ったけな様子にはライバルから一転、全員恋に破れた仲間同士。
以降はお互いの国の舞踊を尊重しながら舞踏会を見つめ、王子のヴァリエーションでは
扇子を胸に当て、目に星が出来ている姫君もいて思わず笑ってしまいました。
王子単体ならば、ときめくのは不変なのでしょう。

そして新国立の宝、コール・ド・バレエ。揃っている上に息遣い、温度をも感じさせ
連日切らさぬ集中力には平伏すばかり。元はオデットと同じく人間で、
ロットバルトの魔法によって白鳥の姿に変えられた悲しき過去が1人1人から自然と見えた気がいたします。
4幕冒頭でのスモークが焚かれた舞台から次々と姿を現す情景は何とも幻想的。
上階から眺めると濃霧から飛び立つ白鳥たちが連なる崇高な美に感激せずにいられませんでした。
だからこそ特別ドラマティックな演出でなくても毎回鳥肌が立つ舞台を届けてくださったのでしょう。

拍手を送りたいのは白鳥たちだけでなく、幕開けから王子の成人式を威勢良く晴れやかに彩るワルツの皆さんも同じ。
男女合わせて40人ものダンサーが勢揃いしながら祝祭感を出しておめでたい気分で元気が湧き、
王子の成人とバレエ団の総力結集場面に居合わせ早くも一緒に乾杯したくなってしまいます。

ところで、前回2015年の新国立『白鳥の湖』公演鑑賞回数はたったの2回、対する今回は6回。
この1年半で鑑賞体制が大幅に変わったことに加え、新国立『白鳥の湖』の鑑賞の仕方もがらりと変わった点も新鮮。
大概例えば5回公演ならば1回にどっぷりエネルギーを注ぎ、
他4回は周囲をのんびり寛ぎながら眺める鑑賞法を取って参りましたが今回は一変。
当初は6回中1回は全編通して特定の演者を観て2回は1幕には集中力をつぎ込み
3回は全体を隈なく見渡そうと計画しておりましたが初日に勃発した付き人事件で計画は中止に。
まさかの6回全てにおいて食い入るように鑑賞するとは予想外でした。
牧阿佐美さん版の初演は2006年。以降2008年の大阪公演も含め50回ほど観ておりますが、
これまで注目していなかった役柄を目で追う新発見の連続であった今期の白鳥でした。
湖面をすうっと泳ぐ白鳥の如く観ていた前回とは変わり、浸るどころか溺れ続けた6公演。
終演から1週間が過ぎても当分抜け出せそうになく、未だ陸に辿り着けずにおります。

次回は『眠れる森の美女』。昨年5月に続く再演で、白鳥以上に配役が豊富な演目です。
前回の教訓を生かし、2幕3幕前でぐったりせぬよう鑑賞エネルギー配分に気をつけながら
千秋楽を迎えたいと思っております。




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演目限定カクテル、今回はメロン。

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5月4日、駆け付けの1杯。昨年8年ぶりに購入したシーズンチケット最後の1枚です。
(次回の眠りは申込当時主演キャスト未定だったため単発で購入)

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初日にウォッカ写真を載せましたが、いなだのお刺身もいただきました。厚切りで身が締まってああ幸せ。

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5日は当ブログで知り合った方とスワンレイクカフェへ。白鳥の置物が窓辺に飾られています。
思えば初めて一緒に食事へ行ったのはちょうど1年前のこどもの日『眠れる森の美女』終演後。良い節目です。

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まずはスワンレイクビールホワイトヴァイツェンで乾杯。白鳥グラスで気分も上々。
昨秋東京タワー隣での発表会後に1人で訪れ、次回の新国立白鳥全幕期間中に必ず再訪しようと考えておりました。

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牛すじのビール煮込み。脂身が殆どなく、ほろりと柔らか。

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ムール貝の白ワイン蒸し。食べ終えた後にはリゾットでいただきました。2杯目は黒ビールとエールです。

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ビール中心に揃えたお店ですが、ワインもたっぷり注いでくださいます。シャルドネとカベルネソーヴィニヨン。
ワイングラスを置くと、コースターの白鳥模様が透かしで見えます。

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レジの壁に描かれた絵。白鳥さんたちもおめかしして乾杯。

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この日は毎度のカウンセラー友人と。延々続く話に頷きながらこの度もずっと耳を傾けてくださいました。
昨年2月のヴァレンタインバレエ後、こっそり!?秘めやかに黒鳥パ・ド・ドゥの余韻に浸っていたときと同じ
ブラック&タンで乾杯。今や堂々と喋り通しているが友にとってはどちらが良かったのか時々心配になる今日この頃。
4日は当ブログお馴染みのムンタ先輩とカウンセラー友人が会場にて初対面。お2方に対する感謝は尽きません。

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千秋楽、赤ワインで総括。昨年の『眠れる森の美女』、『シンデレラ』にしても
カヴァリエであれ御者であれ何処かしらに名前が載っていれば心の準備が整うのだが
今回はそうもいかず未掲載キャストはドッキリ度強し。

そういえば、最終日は完売であったため朝Z席を今度は機械操作に成功して無事入手。
しかしZの中でも観づらく舞台半分が見切れる席で困った、しかし初日とは異なりせっかく入手できたのだから
加えて既に5回観ているのだから取れただけでも良しとして喜んで観ようといざ開演。
舞台を眺めていると、花嫁候補たちと付き人を観るには
4階の中では舞台近くであるため最良席ではないかと考えが前向きに。
しかし付き人はどなたが務めるかは3幕開演まで分からず。現時点で2度お目見えしていますからさすがにもうないかと
あれやこれや脳内を巡らしているうちに幕が開き、現れたのは、、、初日と3日昼と同じ付き人さん!
4階とは思えぬほど近くから鑑賞でき、Z席のベテランではあるがこんなに嬉しき席と思えたのは初めてだ。

いつまで経っても陸に上がれぬ状況が続きますのでこの辺りでお開きに。
ともあれ毎公演何かしら大注目要素があったのは白鳥では初。
何度も観ているクラシック・バレエの代名詞と言えども、今回は初めて尽くしでした。
まだまだ知らぬ魅力が潜んでいそうです。




ゲーム音痴でも鑑賞クリア スターダンサーズバレエ団『ドラゴンクエスト』 5月12日(土) 《神奈川県川崎市》

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5月12日(土)、新百合ケ丘のテアトロ・ジーリオ・ショウワにて
スターダンサーズバレエ団『ドラゴンクエスト』を観て参りました。初鑑賞作品です。
https://www.sdballet.com/company/c_archive/p2018/1805_dragonquest/

白の勇者:林田翔平

黒の勇者:池田武志

王女:渡辺恭子

魔王:福原大介

賢者:東秀昭

女戦士:西原友衣菜

武器商人:鴻巣明史

伝説の勇者:大野大輔

聖母:角屋みづき

▶プロローグ・第 1 幕
国王:関口 武

王妃:岸川まや

臣下:比嘉 正

貴族たち:
石山沙央理 岩崎祥子 岩崎醇花 大森美香 金子紗也 樺澤真悠子 谷川実奈美 松本実湖
石川聖人 加地暢文 川島治 友杉洋之 仲田直樹 宮司知英 横内国弘 渡辺大地

王女の友人たち:塩谷綾菜 鈴木優 前田望友紀 森田理紗

兵士たち:愛澤佑樹 関口啓 八幡恵介 佐藤鴻

モンスター:柏知里 佐藤万里絵 鈴木就子 田中絵美 仲田直樹

酒場の女将:喜入依里

酒場の店員:関口武 比嘉正

酒場の女たち:秋山和沙 金子紗也 酒井優 塩谷綾菜 谷川実奈美 フルフォード佳林 松本実湖 南亜紗子

酒場の男たち:加地暢文 川島治 友杉洋之 宮司知英 八幡恵介 横内国弘

剣士たち:石川聖人 関口啓 渡辺大地

▶第 2 幕
魔王の兵士たち:石川聖人 加地暢文 川島治 関口啓 仲田直樹 宮司知英 八幡恵介 渡辺大地

導きの妖精:鈴木優 鈴木就子

天空の妖精:
秋山和沙 井後麻友美 石山沙央理 岩崎醇花 大森美香 柏知里 喜入依里 酒井優 塩谷綾菜
田中絵美 橋本まゆり フルフォード佳林 前田望友紀 南亜紗子 森田理紗 中井杏香

白の勇者(幼年時代):堀 貴文


林田さんは新国立での主役デビューであった2014年のこどもバレエ『しらゆき姫』を観ていなかったため
中央で踊る姿を観るのは初。主役らしい華と黒の勇者やその陣営に立ち向かう
まさに白が似合う正義のヒーローらしいキャラクターが合わさって
ゲーム初心者どころか音痴な観客をも共に冒険の旅へと出発する気分に。
淡々と生きてきたであろう良い意味で真っ白なキャンバス状態な勇者が
アーサー王伝説のエクスカリバーを彷彿とさせる、自身にだけは剣を抜けたときの喜びや自信のついた姿から
これからどんな試練に立ち向かい乗り越えて色に染まっていくかが楽しみになる展開を引っ張っていました。
新国立時代は気づかなかったがよく見ると白の美少年なキャラクターに嵌り、渡辺さんの王女ともお似合いです。

池田さんは威容な存在感で登場の瞬間から舞台を完全支配。
毒々しく不気味さを醸しながら手下たちを率いて現れ、場面は瞬時に黒一色の世界へと変貌です。
白の勇者と剣を交えた対決は林田さん、それぞれから高く強い跳躍が繰り出されて迫力満点ですが
池田さんの股関節の柔らかさやバネの強さといった持ち前の身体能力と黒の勇者が募らせる支配欲が噛み合い
誰も太刀打ち不可能であろう勇ましさに圧倒されるばかりでした。
王女と関わる中で徐々に改心し変化を遂げていく過程も力強く表現。

そういえば、新国立『眠れる森の美女』イーグリング版初演の2014年の3幕ゴールドに抜擢された際にも
最初の開脚ジャンプに客席がどよめき、ダンスマガジンでのリハーサル写真にも掲載されるなど
要注目ダンサーとして紹介されていた頃が懐かしい。ドラクエそして『くるみ割り人形』や
昨夏のサマーミックスプログラムそして今晩放送のNHKバレエの饗宴でのビントレー作品、と
スタダン移籍後立て続けに主役を任されている姿が頼もしく感じます。

渡辺さんは白い衣装が絵になる清楚で心優しい王女。しかし一見お淑やか一直線な姫君かと思いきや凛として強い。
渡辺さんの風貌や白と黒両勇者に挟まれる位置づけから深窓の令嬢なヒロインを想像しておりましたが
味方であるはずの白の勇者が黒の勇者に襲い掛かろうとする行動を止めさせたり、
横暴そうな黒の勇者にも怯まず体当たりで腰を掴んで奇襲を制止させて優しさを呼び起こしたりと
人を善と悪にすぐさま分けずどちらも受け入れる心の広さ、気高さが胸にじんと響きました。
平和を愛するか弱いだけでない姫、同性から見ても魅力ある女性です。

主役級の拍手を攫っていたのは西原さんの戦士。賑わう酒場に登場して鞭を手に縦横無尽と駆け回り
何本もの武器が入った大きなケースを担いで颯爽と踊る姿に小柄な体型からは想像つかぬ鋼のような強さに驚きです。
強さを貫いていながらも終盤でほんのり女性らしさを垣間見せる仕草があったと記憶。可愛らしさも持つ戦士です。

酒場を取り仕切っていたのは女将の喜入さん。肝っ玉な雰囲気に色気も放出し
男女問わず集う酒場であるのは十分に頷ける頼り甲斐ある女将さんです。
鴻巣さんの武器商人はゲームのキャラクターそのままに登場。青と白の縦縞模様の衣装に小さな帽子で
後から調べたら瓜二つでゲームファンは嬉しさもひとしおだったでしょう。
モンスターのコスチュームに身を包んだダンサーも器用に踊り、びっくり。
目が飛び出て見かけは強烈ですがユーモアたっぷりに舞台を盛り立てていたのでした。

ところで恥ずかしい話私はカラオケ以上にゲーム大音痴。テレビゲームで遊んだのはこれまでの人生で5回ぐらいで
携帯電話のゲームに触れたこともなく、ゲームの知識の無さ及び勘違い選手権でもあれば
都大会優勝の自信がございます。
例えば、ドラクエに姫が登場するのは把握しておりましたが名前がピーチ姫であると信じて疑わず
しかしそればスーパーマリオであると今年の新国立『ホフマン物語』の期間中に
スタダンのドラクエが話題になった際に知ったほど。
スライムがドラクエキャラクターであると知ったのも今年に入ってからです。
また子どもの頃は『ドラゴンボール』と『ドラゴンクエスト』は続き物であり
ドラクエに悟空やクリリンが出てくると勘違い。辛うじてドラゴンボールの知識が多少なりともあったのは
夏休みに映画『スラムダンク』を観に行ったところ同時上映されていたため失礼ながら序でに鑑賞した程度です。

更には『ファイナルファンタジー』と『ストリートファイター』の違いが分からず。
最初「エフエフ」と称しているのが何を指しているか理解できず、やがて『ファイナルファンタジー』と分かり
篠原涼子さんが歌う主題歌が一世を風靡したゲームかと級友に尋ねると、
それは『ストリートファイター』であるとバッサリ。ゲームの親しむ人々からすればもはや致命傷でございました。
バレエに置き換えるならばチャイコフスキー三大バレエが言えず、言えたとしても
『白鳥の湖』に登場する悪役の名前がカラボスと思い込んでいるレベルです。

そんなゲーム大音痴な私でもバレエ版ドラクエは幕開けからフィナーレまで心底楽しめました。
まず話の展開が分かりやすい。攫われた王女を助けようと白の勇者が冒険へと旅立ち
試練を経て成長して最後は姫も助けて大団円という流れが明快でゲーム知識なしでも十分に伝わったのでした。
予想以上にバレエのお決まり要素が含まれていた点も大きく、
パ・ド・ドゥもあれば天空の妖精たちが白の勇者を導くコール・ド・バレエもあり
バレエをきっかけにゲームに触れる観客であってもすんなり入り込めるのです。
剣士たちや魔王の兵士たちなど男性の見せ場も多し。
加えて人物描写、心理描写の上手さも好印象。王女を守られるだけのお姫様ではなく
時には強気で立ち向かう勇敢な一面をも持った女性として描き、
黒の勇者は王女との出会いによって自身に眠る優しさに気づき変化していく複雑な表現力が求められます。
単にキャラクターたちがわんさか登場するのではなくそれぞれに奥行きがあり、面白味を一層感じさせたのでした。

そして忘れてはなりません、すぎやまこういちさんの音楽が秀逸。
特別ゲーム好きではなくても、冒険心をくすぐる壮大なメインテーマ曲を生演奏で聴けたのは大きな喜びでした。
話の要所要所にはファンファーレのようなトランペットの音色が高らかに響く曲もあり、高揚感を持たせる効果大。
所々『太陽にほえろ』だったか刑事ドラマを思わせる旋律もあり
その他対決場面の緊迫感ある曲調を始めどれも耳に残る曲ばかりで
公演ホームページ掲載の、すぎやまさんが仰る<視覚と聴覚を通じて人の心を動かすバレエ音楽とゲーム音楽は、
通じるものがあると思います>との言葉に心から納得いたしました。
小山監督のプレトークは今回も鑑賞の手助けになり、制作経緯や作品の見所を語る丁寧に解説は必聴です。

客席にはゲームをきっかけにバレエを初めて観にいらした客も多かった様子。
きっかけはどうあれ、バレエの公演に足を運んで楽しんでくださったならば喜ばしきことです。
そういえば、昨春牧阿佐美バレエ団『三銃士』会場でもバレエ鑑賞初心者の学生らしき男性が
ゲームのようで面白い、音楽もゲームそっくりだ!と興奮気味に話している声が聞こえましたが
男子が主人公の冒険系の話は男性客、特に初心者の心を掴みやすいのかもしれません。

会場最寄り駅の新百合ケ丘改札前には、案内の立て看板を持つスタッフさんのお姿も。
久々に向かう会場でしたので方角を間違えず、助かりました。
欲を言えば、当日券の販売状況や終演予定時間も明記していただけると尚良かったように思います。
改札を出る際にも、後方から男性の方々がバレエでドラクエとはどんなものだろうと興味津々な声を耳にし
会場で会った方々も、駅前で同様の声を聞いたとのこと。
もし時間が許せば当日ふらっと観にいらした方も増えた可能性が考えられ、次回以降ご検討願えれば幸いです。

何はともあれ、ゲーム大音痴でも難なく楽しく鑑賞クリアできた初ドラクエ公演でした。
夏休み公演そして9月には富山県でも公演が予定日されています。
ゲーム好きな方もそうでない方も是非足をお運びください。


※本日放送のNHKクラシック音楽館にてスターダンサーズバレエ団も出演した
4月開催のNHKバレエの饗宴2018が放送されます。トップバッターは新国立です。どうぞご覧ください。
現在バーミンガムロイヤルバレエ団が来日中、ビントレー監督やゲスト出演したディングマン、
新国立に所縁のある厚地さん、佐久間さん、饗宴のスタダンにゲスト出演したディングマン始め
バーミンガムのダンサーたちもひょっとしたら今晩視聴なさるのかもしれません。
http://www4.nhk.or.jp/ongakukan/

※番組ホームページより抜粋
5月20日(日)放送   午後9:00~11:30
<バレエの饗宴>

年に1度、バレエ界の豪華キャストがNHKホールに集結する「バレエの饗宴」。
今年も華やかなステージが繰り広げられました。
いまをときめくダンサーたちの舞台をご堪能下さい。

1.「くるみ割り人形」第2幕から
出 演 : 新国立劇場バレエ団
振 付 : ウエイン・イーグリング
音 楽 : チャイコフスキー

2. Chimaira/キマイラ
出 演 : 平山素子 小㞍健太 鈴木竜 堀田千晶
振 付 : 平山素子
音 楽 : デュティユー

3. Flowers of the Forest  
出 演 : 吉田 都 マティアス・ディングマン(バーミンガム・ロイヤル・バレエ団 プリンシパル)
スターダンサーズ・バレエ団
振 付 : デヴィッド・ビントレー
音 楽 : アーノルド/ブリテン

4.「ラ・バヤデール」から「影の王国」
出 演 : 東京バレエ団
振 付 : ナタリア・マカロワ(M.プティパ版による)
音 楽 : ミンクス

(1~4 すべて)
管弦楽 : 東京フィルハーモニー交響楽団
指 揮 : 井田勝大



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帰りは新百合ケ丘駅前で友と乾杯。新百合ケ丘に来たのは3年前のスターダンサーズバレエ団公演
オール・チューダー・プログラム以来。益々開発が進んでいる印象があります。
高校が都内の小田急線沿線だったためこの辺りは芸術鑑賞教室で何度か来ており懐かしさもあり。
さて、暑い日でしたので終演後はまずシャンティガフから。

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2杯目は赤ワイン。まだ新国立白鳥の湖を引き摺っている状態にありましたが
ドラクエ、白鳥交互に繰り出す止まらぬ話にこの度も耳を傾けてくださいました。
ゲームがバレエ化できるならアニメも可能ではないかと話を強引に持っていき、
かれこれ8年倉庫で眠ったままになっている牧阿佐美さん版『椿姫』2幕序盤に現れる大きなブランコ。
マルグリットが数秒乗っておしまいでせっかく作ったのに勿体ない、
そこでバレエ版アルプスの少女ハイジを作ったら面白いのでは、と前々から巡らせていた妄想を熱弁。
冒頭は勿論伊集加代子さんのあのヨーデルな主題歌付きでアルプスの山々を背景にブランコに乗ったハイジが登場です。
そんな無謀な話も辛抱強く聞いてくださり深謝。(もののけ姫はミュージカル化しているらしい)





金色の紙吹雪が讃えた凱旋公演 英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団『眠れる森の美女』 5月19日(土)

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5月19日(土)、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団『眠れる森の美女』を観て参りました。
https://www.nbs.or.jp/stages/2018/brb/sleeping.html

※NBSホームページより抜粋
------------------------------------------------------------------------------------------------------
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ、ピーター・ライト
演出:ピーター・ライト
衣裳・装置:フィリップ・プラウズ
照明:ピーター・テイゲン (オリジナル照明:マーク・ジョナサン)


◆主な配役◆

国王フロレスタン二十四世:ウォルフガング・シュトルヴィッツァー
王妃:ローラ・パーキス
オーロラ姫:佐久間奈緒
フロリムンド王子:厚地康雄
カタラビュット(式典長):ジョナサン・ペイン
カラボス:ダリア・スタンチウリスク
リラの精:アランチャ・バセルガ


-- プロローグ --

美しさの精:ブルック・レイ
お付きの騎士:エディバルド・スーザ・ダ・シルバ

誇らしさの精:ジェイド・ヒューセン
お付きの騎士:ファン・ハオリャン

謙虚さの精:アリス・シー
お付きの騎士:ヴァレンティン・オロヴィヤニコフ

歌の精:ローラ・デイ
お付きの騎士:アイトール・ガレンデ

激しさの精:ベアトリス・パルマ
お付きの騎士:マックス・マズレン

喜びの精:チャン・イージン
お付きの騎士:マイルス・ギリヴァー

カラボスのお付き:
ジェイムズ・バートン、ビリー・ブルック、セバスチャン・ロー、
ブローガン・マッケルヴィ、ガス・ペイン、ヘイミッシュ・スコット

リラの精のお付き:
ルース・ブリル、カーラ・ドアバー、淵上礼奈、
ラケレ・ピッツィッロ、リンジー・サザーランド、ジェイド・ウォレス

-- 第1幕 --

4人の王子:
ファーガス・キャンベル、ローリー・マッカイ、タイロン・シングルトン、ヴァレンティン・オロヴィヤニコフ

オーロラ姫の友人:
ルース・ブリル、ローラ・デイ、ロザンナ・イーリイ、
ジェイド・ヒューセン、ラケレ・ピッツィッロ、リンジー・サザーランド

ガーランド:
淵上礼奈、アンナ・モンリオン、ブルック・レイ、
シャン・ヤオキアン、アリス・シー、カーラ・ドアバー、
ジェイムズ・バートン、ティム・ダットサン、ファン・ハオリャン、
マイルス・ギリヴァー、キット・ホルダー、ハリー・ライト


-- 第2幕 --

伯爵夫人:チャン・イージン
王子の側近:キット・ホルダー


-- 第3幕 --

パ・ド・カトル:イヴェット・ナイト、アリス・シー、ファン・ハオリャン、マイルス・ギリヴァー

長靴をはいた猫と白い猫:ファーガス・キャンベル、アンナ・モンリオン

青い鳥とフロリナ王女:マックス・マズレン、モレヤ・レボヴィッツ

赤ずきんと狼:ローラ・デイ、ティム・ダットサン

グラン・パ・ド・ドゥ:佐久間奈緒、厚地康雄
------------------------------------------------------------------------------------------------------

当初鑑賞予定ではありませんでしたが、主演が今シーズンで退団の佐久間奈緒さん
そして5年前まで新国立劇場バレエ団で活躍されたのち
古巣に復帰された厚地康雄さんに変更となり足を運んだ次第です。

佐久間さんは可愛らしくも威厳ある瑞々しい姫君。安定した技術はさることながら、
ローズアダージオで時折見せる頬が赤く染まるような恥じらいの表情からは
前夜にカラボスを務めていたとは思えず、驚くばかりでした。

厚地さんを鑑賞するのは5年ぶり。何処を切り取っても見るからに王子の輝き全開で
登場した瞬間から観客の目をすぐさま引き寄せるオーラを放っていました。
お帰りなさい、との思いが込もった拍手が大きく沸き東京会場の観客が待ちに待った凱旋公演です。
心身が一層鍛えられたのかノーブルな魅力はそのままに、新国立時代よりも更に力強さが増した印象。
多国籍なバーミンガムロイヤルにおいても、最も王子貴公子が似合うダンサーであろうと感じさせる容姿です。

佐久間さんと厚地さんの共演舞台はこれまでオールニッポンバレエ・ガラ『二羽の鳩』、
2012年新国立でのビントレー版『シルヴィア』、バレエ・アステラスの
チャイコフスキー・パ・ド・ドゥを鑑賞しておりますが全幕での主役共演は格別。
中でも幻影の場面はお2人の織り成す柔らかで繊細な美しさに魅せられ
このときは幻と人間の関係でありながら温もりも伝わり、
1幕との間に休憩が無いにも関わらず眠気なんぞ無縁で目が冴え渡ったほどでした。

そしてライト版の特徴でもある目覚めのパ・ド・ドゥ。セルゲイエフ版などに見られる
目覚まし時計1000個超分であろう賑やかな音楽での目覚めがいたく好きである私にとっては
やや苦痛な状態に至ると想像しておりましたが、心配無用。
夢うつつながらも段々と心を開きつつある姫に王子があたたかく寄り添って包み込み、
しかし変に官能的にならず永久に続きそうなまさにおとぎ話の世界。
このパ・ド・ドゥが心底良かったと思えたのは初めてでした。
(イーグリング版の目覚めがライト版ほど響かなかった理由の1つは
オーロラ姫がいつの間にかネグリジェ姿になっている点も影響していると言えよう。いつ着替えたのか疑問が沸く)

3幕においても、英国の演出では姫と王子は最後のグラン・パ・ド・ドゥでようやく登場。
(ひょっとしたら例外はあるかもしれないがライト版、ウエストモーランド版、イーグリング版は当て嵌まる)
ロシアの演出にあるような最初から登場して青い鳥や赤ずきんちゃんたちを
微笑みながら迎え入れる演出が気に入っており、終盤のみの登場に寂しさを募らせておりました。
しかし今回、佐久間さんと厚地さんの周囲とは一線を画する寸分の隙もない威厳と格調高い姿から
最後の最後に登場するのも納得。お2人が描くポーズは1つ1つが鮮やかで正確、徹底した様式美を貫き
しかし堅苦しさは無し。厳粛でありながらも幸福感に溢れる結婚式が繰り広げられ胸が熱くなった次第です。

リラの精のバセルガは一見あどけない顔立ちですが、実はベテランだそうで
マイムの大らかさ豊かさに惹きつけられました。
純朴で優しげな妖精かと思いきや王子には厳しいのか、オーロラの幻影を見て気持ちがはやる王子に対して
物事には順序があると言わんばかりにビシッと制止。
しかし刺々しさはなく、ユーモアと愛情が含まれていて思わずくすっと笑ってしまいました。
カラボスのスタンチウリスクはスタイル抜群で冷たさを帯びた美女。黒いドレスが映え
スカート捌きも見事で踊りはかなりパワフル、目を奪われました。
リラとカラボスの衣装の形が似ている(スカートの長さがほぼ同じに見えた)ため
対峙したときの姿が絵になって2人が持つ正反対の魅力、物語の面白さを伝える効果も大きいと言えます。

特筆すべきは舞台美術。渋めのゴールドで統一された美術は古い絵本を捲って眺めているうちに
おとぎ話の世界に迷い込んだ気持ちにさせ、重厚な色彩に囲まれながら貴族たちがそぞろ歩く格式あるl幕開けに
近くにいた小学生ぐらいのお子さんたちも思わず感嘆の声を漏らしていました。(子どもの反応は正直だ)
この作品、究極のおとぎ話であり異世界へと誘う決め手になるのですから
幕開け最初に登場する貴族たちの衣装は非常に重要。どこぞの版のように
位高き人々のはずが召使いの行進になってはいけないのです。(来月連日通いますが)

衣装は全体を通してくすみを効かせた色調で、代々大切に守られ愛着を持って着こなしていると見受けられます。
色の合わせ方、重ね方も絶妙で重く地味にもなり過ぎず、上品なデザインばかりで1着1着見入ってしまいました。

衣装で唯一気にかかったのは4人の王子たち。色が淡くデザインが全員類似、鬘装着で帽子もないデザインのせいか
お城に長年勤務している年配の役人に見えてしまったのでした。
時代設定を考えれば鬘装着は十分にあり得たかもしれませんが
16歳の姫に求婚する王子たちですから、もう少し若々しく見える装いであると尚良かったかと思います。
プロローグにおける赤ちゃんオーロラ人形のお口が半開きであるのはご愛嬌。

厚地さんについては特別ファンではなかったものの(失礼)、新国立入団当時は高身長のスラリとした体躯且つ
きらきらオーラを放つ男性ダンサーは新国立ではまだまだ珍しく、
『ジゼル』アルベルトや『シンデレラ』王子といったクラシックの貴公子系から
ボリス・エイフマン『アンナ・カレーニナ』ヴロンスキーや勿論ビントレー作品においても
公演を華やかに盛り上げてくださった貢献者であるのは間違いありません。

思えば福岡雄大さん(入団2009年)や厚地さん(入団2010年)が加入された頃から
新国立劇場バレエ団における主役を務める男性ダンサーをゲストや登録ダンサーに頼らず
確実に複数キャスト回せるようになったと記憶。(繰り返しになりますが、
長きに渡ってお1人でほぼ全公演主役を張ってこられた山本隆之さんは偉大です)
そんな最中2013年にチャコット新宿店で開催されたのが
福岡さん、厚地さん、八幡顕光さん、奥村康祐さんの新国立男性ダンサー4名によるトークイベント。
一般客を前に外部で話す機会が当時は少なかったと思われ、珍しいもの見たさに聞きに行ったものです。
プロフィール写真からは到底想像が付かぬ、お腹が捩れるほどの笑いを何度も誘ったお話の連続で
厚地さんはテニス部に入っていたと判明。似合い過ぎると司会者に突っ込まれ
テニスの王子様が実在したと話題になったものです。
また4人とも私服であったのはデートを想定して服を選んでくるようお達しがあったためで
テーマは水族館です、と恥ずかしそうに答えていた厚地さんの姿が懐かしく思い起こされます。

あれから5年。フィナーレに降り注ぐ金色の紙吹雪が
バーミンガム・ロイヤルのダンサーとしては最後の日本公演を迎えた佐久間さん
そして凱旋公演を成功させた厚地さんを讃える光景を見届ける観客の拍手はなかなか鳴り止まず。
開演前に舞台上で日本語を交えながら出演者変更の挨拶をしたビントレーさんも
カーテンコールでは目に潤うものが溜まっていたのではと想像できます。
怪我で降板したデリア・マシューズ、公演のために準備を進めてきたブランドン・ローレンスを思うと
手放しで喜んではならないかもしれません。しかし結果として思わぬ形で実現した厚地さんの東京での凱旋公演は
新国立ファンとしてはまことに嬉しく、2010年秋から2014年夏まで
新国立劇場の舞踊監督を務めていたビントレーさんからの贈り物にも思えたのでした。



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変更のお知らせ

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帰りはエールで乾杯。日本時間のこの日の夜はウィンザー城でメーガンさんとヘンリー王子の結婚式が執り行われ
帰宅後はテレビ中継を視聴した英国日和な1日でした。




【雑感】【身内の感想中心ですが】NHKバレエの饗宴のテレビ放送を視聴して

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先日の日曜日に放送されたNHKバレエの饗宴2018をご覧になった方は大勢いらっしゃることと存じます。
私は当日、アップ映像や出演者名の字幕が出るなどテレビならではの魅力にも触れつつ楽しく視聴いたしました。
以下、身内間の話が続きます。(来月か再来月にも1回ぐらいあるかもしれません)
月末の多忙な時期にそんなものを読む暇はないと訴える方は恐れ入ります、次回の更新を今暫くお待ちください。

絞って新国立劇場バレエ団について。イーグリング版『くるみ割り人形』2幕における最たる悩みであった
魔法の国のモデルルーム状態なる舞台スカスカ感は伝わらず、まず安堵。
ただ舞台の物寂しさは拭えず、各国の踊りが終わるたびに
誰か腰掛けて隙間を埋め、中央を見つめる座り役がいた方が見栄えもして良かったであろうと思っております。

全体で心残りであったのは、リハーサル映像やバレエ団、作品紹介がなくなってしまった点。
平山素子さんのチームだけはあったと記憶しておりますが
普段バレエをご覧にならない方にアピールする絶好の機会ですから次回以降復活を望みます。

さて昨夜は放送当日くるみの終盤頃に帰宅した母も一緒に改めて、新国立の出番のみですが録画を再度鑑賞。
花のワルツがオレンジである点など噂にはちらりと聞いていた程度でテレビ放送が初イーグリング版くるみである母と
昨年東京公演は貸切と11月3日夜以外の5回、更に上田公演とびわ湖公演そして
今回放送のバレエの饗宴2018も生で観た私とでは抱く印象、注目ポイントは全く異なり気づかされる点も多いはず。
娘が山本隆之さん以外男女とも誰の虜になっているかも知らず、
忖度も無しであれこれ口走るであろう母がどんな反応を示すか興味津々でした。

早速驚いたのは、魔法の国に到着した時点で井澤さんと奥村さんお2人の踊りが魅力的に映ったらしく
しかも井澤さんはお面、奥村さんはネズミの頭を被っていて顔は見えぬ状態。
踊りそのものがいたく心に残ったようでした。
とりわけ奥村さん扮するネズミの王様を大絶賛し、チュウチュウだ!ともはや狂喜。
筋書き通り倒されてしまうと、もう登場しないのかと意気消沈していたほどです。
恐らくは年始にチャイコフスキー・パ・ド・ドゥを踊ったダンサーと同一人物であるとは気づいていないでしょう。
木村さんは可愛らしいお顔の人であると好印象だったようです。

続いて各国の踊りへ突入。スペインの曲が『白鳥の湖』ナポリに似ていると繰り返し、
言われてみれば金管楽器のソロで高らかに演奏される点は共通していると気づいた次第。
アラビアでは本島さんの美しさに感動を覚えた様子。好きなダンサーの1人のようで、
きっかけが風変わり過ぎますが、チラシの鹿のイラストに惹かれた母が
4年前こどもバレエ『しらゆき姫』を1人で鑑賞した際に最も印象深いキャラクターとして本島さんのお妃を挙げており
テレビに映ると敬意を表しているのか「姉さん!」と連呼。サザエさんを呼ぶカツオか笑。
同時に『不思議の国のアリス』でハートの女王を演じる本島さんを妄想し、首切り命令を出す姿が嵌りそうであると
ニンマリしておりました。いったいどなたが演じるのか、発表が待たれます。

お次は中国。メイクを見るなりこりゃ西遊記だ、と突っ込みの嵐。
奥田さんが手にする如意棒らしき小道具が先端に何か装飾物が付いている点も含め
上野動物園のパンダ、シャンシャン見学客の通行整理にスタッフが使用していた棒に
そっくりであったとのこと。中国は共通していますが、上野でシャンシャンを見た人でないと分かりません笑。
棒だけでなく、奥田さんの綺麗な回転も目に留まったようで一安心。もっと踊っている姿も見たいと思ったそうです。

ロシアでは福田さんの爆発力に唸り、男性1人に女性4人の構成は珍しく思えたもよう。
関さんと中家さん扮する上背のあるお人形?のついては疑問がちらついたそうで
クララの両親が変身らしいと話すと、1幕から観ていれば分かるのかと聞かれ、いや分からぬと管理人即答。

そして蝶々の池田さんがとても気に入ったようで、蝶々の理由は謎だが軽やかで上手いと見入っており
ダンサーの名前も尋ねてきました。
なぜ蝶々か、1幕から観ていれば分かるのかと再度聞かれ、いや分からぬと管理人またもや即答。
良く言えば斬新なくるみを作ってしまったのか。前版では東京都庁が出現していましたから
新国立では真っ当な(失礼)クラシカルなくるみは上演しない方向性なのかと思ったようです。

花のワルツの衣装は頭に入っていたせいか、出た、みかんのワルツ!と一言。
ポピーが可愛らしい花であるの確かだが、オレンジであってももう少し柔らかな色であれば
もっと上品な雰囲気になったのではなかろうかとしきりに話しておりました。その通りです。
グラン・パ・ド・ドゥは妙に変わった振付と感じたとのこと。
井澤さんのお顔がアップになると、「よくよく見ると整った顔立ちだ」とポツリ。やはり踊りが好みらしい。
カーテンコールでは待ちに待ったネズミの王様再登場。頭を取った奥村さんが映ると「愛想の良い人だ」とポツリ。
やはり踊りが好みらしい。
思い起こせば、母はスポーツ選手から芸能人まで好きな男性著名人多数で
私も把握できないほどの数にのぼるわけですが顔について触れたことは一切ない。
例えば芸能人であれば司会進行の上手さ、スポーツ選手であればあくまでプレーする姿に惹かれるのであって
顔は二の次は言い過ぎだが、そこまで気にかからないらしい。その代わり多数に及び、
加えて素敵であると感じたらすぐさま家族に教えたくなってしまう性格でございます。
(数と言いその場で身内に話すところと言い私とは正反対だ…)

取り留めがなくなってきましたのでこの辺りでお開き。
昨秋の初演から観て来た者でも気づかぬ作品、ダンサーの魅力に触れることができた母との録画鑑賞でした。
普段そこまでバレエ公演に足を運ばないからこそテレビの影響は大きく受けるようで
ドキュメンタリー放送された英国ロイヤルの高田茜さん、平野亮一さんを目当てに
バレエ・アステラスも鑑賞予定だそうです。当然ながらネズミの被り物はありませんが、
チャイコフスキー・パ・ド・ドゥを踊られる奥村さんにも注目してくれますように。

そして来週開幕の新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』はDVD収録されます。
もし購入したならば、くるみと同様初演から観ている私とはまた違う見方をするはず。
3幕のみ上演したバレエの饗宴2015録画を鑑賞した際には小野さんにうっとり見惚れたようで
小野さんライモンダ観たさに翌年のニューイヤーバレエへ行くきっかけにも繋がりました。
2018年の全幕映像を目にした反応を見守ってみようと思っております。





清泉女子大学で開講中ラファエラ・アカデミア2018年春期講座「バレエへの招待」バレエ再発見ーパ・ド・ドゥとパートナーシップ

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清泉女子大学で開講中のラファエラ・アカデミア2018年春期講座「バレエへの招待」を受講して参りました。
http://www.seisen-u.ac.jp/rafaela/lecture/index.php

今期のテーマはバレエ再発見ーパ・ド・ドゥとパートナーシップ。
守山実花先生による、バレエ作品における大きな見せ場であるパ・ド・ドゥの成り立ちから意味合いの説明、
同じ作品で違うバレエ団の映像を見比べながらの分かりやすい講義で
いつもとは違った角度からバレエに触れ、非常に面白く学んでおります。

一昨日は冒頭でロシアで制作されたパ・ド・ドゥのレッスン映像を鑑賞いたしました。
実技鍛錬ではなく鑑賞眼を広めるための講座ながら
先生は随分と珍しいものを用意してくださったと思いながら見始めたところ驚くばかり。
サポートの際、男性は女性の身体つきや骨格に配慮しながら支える部分、
手の指の置き方開き方を微調整するなどそれはそれは細かい作業の積み重ねの賜物であると知りました。
これまでパ・ド・ドゥは舞台で何度も観ており、徳島で鑑賞した
清水洋子バレエスクールさんの発表会ではデモンストレーションを観る機会に恵まれましたが
パ・ド・ドゥクラスを受講した経験はなく(見学はあり)、夢の中を除いては踊った経験もなく
サポート1つ1つについて分解しながらの説明によって仕組みを知っていき、目から鱗の連続。
これを見た上でバレエを鑑賞すると男性ダンサーの心の砕きっぷりに一段と頭が下がる思いです。

続いて公演映像は『眠れる森の美女』3本。英国ロイヤル・バレエとパリ・オペラ座の映像では
1幕のローズ・アダージオも見せてくださいました。
パ・ド・ドゥではない振付ですが、オーロラ姫は次々と違う求婚者を相手に踊るまことに難しい見せ場であり
また規模のあるバレエ団であれば大概主役は複数組まれ、日によって違うオーロラ姫を相手にするため
求婚者たちからしてもこれまた難度の高い振付であります。
誰一人として同じ体型、骨格のオーロラ姫はいませんから相手に合わせながら
差し出す手の高さや持つ位置を変え、尚且つオーロラ姫16歳の幸福に満ちた誕生祝いの雰囲気も出さねばならず
出演者も観客も緊張せずにはいられない場面でしょう。デジレ王子だけでなく
求婚者の王子たちももっと讃えられるべきであろうと昨年の5月公演を思い出しつつ、いよいよ来週開幕する
新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』を想像しながら感じた次第です。

思えば4人の求婚者の中でも最初に姫に近づき、また終盤の盛り上がりの箇所で主にサポートを行う
ファースト求婚者なる役割があり、恐らくは最もサポート上手なダンサーが務めると思われます。
最後にセルゲイエフ版を上演した2007年は相性の面からかオーロラ姫役のダンサーによって異なり
イーグリング版初演は記憶が曖昧ですが(失礼)昨年5月の再演では全日同じダンサーで
ロシアの求婚者が担当なさっていました。果たして今年はどうなるか、開幕が楽しみであります。

映像の簡単な感想を。英国ロイヤルはアリーナ・コジョカル主演。快活そうなお姫様で
脚をスパっと上げてポーズを決める踊りを見ているともう気持ち優雅さがあるほうが好みではございますが
2月のハンブルク、5月の英国バーミンガム、そして7月から8月中旬にかけて世界バレエフェスティバルと
今年の日本での益々目覚ましい活躍ぶりに、不動な人気を誇っていると窺わせます。
3幕の頭飾りが名古屋のシャチホコを思わせるのは気のせいか。
パリ・オペラ座はオレリ・デュポン。鷹揚とした存在感、ややクールでお澄ましした表情が愛らしい姫君です。
3本目はキーロフバレエのアーラ・シーゾワ主演。アニメと同化したような映像で、王子が白馬に乗って現れたり
映像にぼかしが効いていたりとソ連の香りが濃い作りです。
マラソンでアベベが優勝した東京オリンピックと同じ1964年の収録で、フロリナ王女が誰かに似ていると思ったら
亡命前のナタリア・マカロワとのこと。当時の世界情勢を考えずにはいられません。

ところで、皆様は最初に衝撃を受けたパ・ド・ドゥ、ペアはどんな作品、ダンサーでしょうか。
私の場合酒井はなさんと山本隆之さんは言うまでもなく我が鑑賞人生の頂点に君臨し続けるであろう黄金ペアですが
もっと遡り、パ・ド・ドゥ含めて最初に衝撃を受け釘付けになったのは今から21年前、
モスクワの赤の広場に特設された野外舞台で行われたガラ公演エッセンシャル・バレエの映像で見た
エカテリーナ・マクシモワとウラジーミル・ワシリエフの『アニュータ』でございます。
全幕ではまだ鑑賞しておりませんが、チェーホフの原作で家族のために裕福な家へと嫁ぐヒロインの生き様を描いた
『頸にかけたアンナ』にワシリエフがマクシモワに振り付けた作品です。
音楽はヴァレリー・ガヴリーリンが手がけ、数々の郷愁感漂う曲で構成されています。
(以前知人に話したところ宇宙飛行士のガガーリンと間違えられてしまった)
ボリショイのレパートリーとして近年も上演されていますが
1998年、現在東京バレエ団芸術監督を務める斎藤友佳理さんがマクシモワの手ほどきを受け
チェラービンスク国立オペラ・バレエ劇場に客演しタイトルロールを踊られました。
2000年には世界バレエフェスティバルでセルゲイ・フィーリンとパ・ド・ドゥを披露。
例え抜粋であっても日本でこの作品を直で観るまたとない機会でありながら見逃してしまい後悔しております。

『グラン・パ・クラシック』や『タランテラ』といった独立した作品を除いては
ガラではなく極力全幕の中で鑑賞したいと思うものの、『アニュータ』のパ・ド・ドゥに限っては
勿論全幕もそれはそれは心に突き刺さる舞台であると想像できますがエッセンシャル・バレエの映像が格別。
刻々と日が落ちて薄暗くなっていく赤の広場の情景と光が灯された聖ワシリー寺院が映し出され、
荘厳な鐘が鳴り響く余韻に溶け込むようにしてマクシモワが登場。旅愁に一層誘われるのです。
また収録当時はソ連崩壊から5年も経っていない頃でまだまだロシアのバレエ熱が今以上に凄まじかったのでしょう。
観客の熱狂ぶりも見所、加えてこれぞロシアと唸らせる
爆音祭りで盛り立てるモスクワ放送交響楽団の演奏も聴きどころです。

当ブログ、公式配信ではない動画は基本載せない方針ではございますが
これ以上の文字での説明は難しく、この映像は是非ご覧いただきたいため紹介いたします。
2つのパ・ド・ドゥを繋げて踊られていますが、特に前半のワルツが
何とも哀切且つ劇的な曲調でマクシモワとワシリエフが互いに寄り添いながら醸す
情感の豊かさに心を揺さぶられるパ・ド・ドゥです。
好きなパ・ド・ドゥを聞かれ、私と同様この作品を即答なさる方が都内に5人でもいらしたら
管理人は幸せでございます。




エッセンシャル・バレエは21年前の誕生日にレーザーディスク版を贈ってくれましたが機材も故障し修理も出せず。
しかし2本のガラを収録した豪華な内容で今年の節目にDVDを買い直そうかと検討しております。
もしまた全編を鑑賞いたしましたらこちらに綴っていくかもしれません。



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講座前には地下の清泉カフェへ。当ブログには余り似合わぬ、甘味写真です。
ケーキもスコーンも丁寧に作られて美味しく、清泉に来た際の楽しみの1つです。1セット300円程度。
スコーンのセットは当ブログお馴染み、ムンタ先輩がお選びになったメニューです。
校門前で来校者を出迎えるアジサイの如く主に新国立とバーミンガム話に花が咲きました。

ラファエラの話を中心に書いていく予定がアニュータに逸れてしまい、失礼いたしました。



【速報でもないが】新国立劇場バレエ団2017/2018シーズン『眠れる森の美女』初日と2日目

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新国立劇場バレエ団眠れる森の美女初日と2日目を観て参りました。
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/sleeping/

ホームページに、初日カーテンコールの様子が掲載されています。(もう少し言葉があると良いのだが)
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/news/detail/26_012577.html



リハーサル動画もアップされています。



衣装の突っ込みどころは多々あれど、米沢さんの麗らかなオーロラや小野さんの可憐な姫っぷり、
凄みある本島さんカラボスをはじめ、バレエ団の底力を感じさせる総じて良い公演でした。
本日青い鳥の渡邊さんが柔らかく滞空時間の長い跳躍や跳び上がった際のポーズの鮮やかさも出色で
原作のイメージにも嵌り、踊る喜びに溢れる米沢さんのフロリナ王女とも波長が合っていて
お2人が組むジャポンダンスプロジェクトや『不思議の国のアリス』が一層楽しみです。
両日通して交代出演ではあってもオーロラの友人たち8人が揃いも揃って
美貌な面々にも感激し容姿技量とも申し分なく美の結晶。
森の妖精たちによるコール・ド・バレエのオーロラを優しく導くふわりとした美しさも必見です。
(濃緑の衣装だけが惜しい…)
まだ公演は続きますのでお時間のある方はどうぞご来場ください。詳しい感想は千秋楽終了後に書いて参ります。

昨日はきものSalon × 京都きもの市場特別企画読者イベントで
雑誌きものSalon で今年着物モデルを務められた木村優里さん、渡邊峻郁さんをゲストに迎えた
トークショーにも行って参りました。
https://www.kateigaho.com/kimono/15655/

参加者は約70人と思われ、新国立筋金入りファンは三人くらいでしたが
着物を愛する愛読者の方々の着こなしに品があり、同じテーブルの日本舞踊好きな方々とも仲良くなるなど
和気藹々とした雰囲気でした。客席においても本日の公演はとても素敵であった、
新国立の名は初めて聞いていたが遠方からでも来てよかったとお話しなってい方もいらっしゃり喜ばしいことです。

食事が一段落すると木村さん、渡邊さんが盛大な拍手の中ご登場。
舞台の後であるためお着物ではありませんでしたが、
ドレッシーな装いの木村さんと爽やかな渡邊さんは間違いなく絵になる美女と美男です。
木村さんはときには時間をかけ過ぎてしまうシューズのお手入れ逸話や陰陽における特別な日である6月9日に
本島さんのカラボスに対峙するリラを踊れる幸せを、
渡邊さんはこの日務められたロシアの王子(馬に乗って弓矢を手に韃靼の草原を駆けて求婚に来たであろうと
想像を掻き立てる王子です。衣装がまた似合う!)に関連して4人の王子の見所や
最終日にデジレ王子として履く革のブーツを踊りやすくしておく方法などそれぞれ分かりやすく説明。
お2人とも落ち着いた語り口且つ話の内容の組み立てや言葉の選び方がお上手で
あまりバレエをご覧になったことがない参加者にも伝わりやすいよう心がけていらっしゃり
リラックスした空気を作ってくださって度々笑いも起こったほど、バレエの魅力を存分に伝えてくださいました。
お2人が挑戦してみたい作品の1つが『ラ・バヤデール』。未定キャストに入ることを祈ります。
そういえば、この日放送の朝のNHK連続テレビ小説『半分、青い』では
鈴愛と清(さや)が律は我が物と互いに主張する大修羅場が繰り広げられ
バヤデールの構図とそっくりな展開であろうかとバレエ好きな方はお感じになったかもしれません。

話を戻します。最も歓声が上がったのはお2人による身体を張ったリラと王子のマイム再現。
台詞を用いた後にマイムで表現され、場内もまことに盛り上がりました。
因みに食事会は自由席でしたため、大変近い距離から拝見。昨秋の東京タワー事件の再来ともいえる
手に届きそうどころか触れそうな至近距離での鑑賞に陶酔でございました。

着物関連の企画ですので、お2人が劇場で目にした素敵なお着物についてもお話があり
着物に対する考え方、劇場に来る観客に寄り添うお気持ちが表れた一幕でした。

トークショー以外には抽選会や御大のような元編集長(確か)が目に留まった着物姿の方を紹介。
リラを意識して紫色の着物姿の方や、森を想起させる濃い目の緑色模様の方など
テーマに沿っての装いに目を見張りました。一応私も作品及びイーグリング版の衣装の色も意識はしたものの
(失笑を買いそうですが…)成人式以来の2桁の年月を経ての久々過ぎる着用は慣れていない感は参加者で一番でしょう。
きものsalon愛読者の方々に比較すれば到底敵わぬ姿でございます。

着物からバレエに触れた方も、私のようにバレエを入口に今回の観劇企画に参加の方も(ごく少数でしたが)
皆が鑑賞もその後の時間も楽しめる企画をしてくださったきものSalon及び京都きもの市場の方々に
心より感謝申し上げます。この度はありがとうございました。
京都の着物店と聞くと伝統に則った印象を持ちがちですが、京都きもの市場の社長はお若く
各店舗の店長の方々も集結しアプリの登録やその他宣伝活動にも熱を入れていらして覇気があり
若さと活気に満ちている企業と見受けました。

ところでこの日一番の驚きは、渡邊さんはきものSalon でのモデルが初めての着物体験でいらしたこと。
写真を見る限り着こなしがいたく自然で何度も着ていらっしゃると思い込んでおりました。
ページを開くと朝ドラに登場しそうな「昭和の若旦那」そのもの、
お顔立ちは和風でやや切れ長の一重が端正さを際立たせているのは確かではありますが
体型は平成のお生まれらしいすらりとした長身、頭身バランスでありながら醸す香りは古風な趣きがあるのは
なぜであろうかと不思議です。しかしそこが魅力であります。

この『きものSalon 』、4年前には滅多にグラビアのような媒体には登場なさらない山本隆之さんが
明治の文豪の如き色気漂う美しいモデルを務められ、ただでさえ高級感がある光沢や美しい写真、
思わず声に出して読みたくなる上品な文体に加えて更に大変な箔の付いた雑誌です。
山本さんが登場なさった以上は、男性バレエダンサーは余程の人でないと務めるのは困難ではないか
むしろ登場できる人は存在しないのではないかと思って参りました。
歳月が過ぎて私の心境も変化し、若者系舞踊雑誌に2度載った渡邊さんを拝見するたびに
着物のモデルの方がより魅力が引き出されるに違いないと勝手な願望を抱いていたところ
かの格式高い『きものSalon 』に載ったとの告知を新国立フェイスブックで読み驚愕。
まず本屋でページを開き、色気にくらりとして声にならぬ叫びを上げていた山本さんの4年前とはまた異なる
先述の通り着こなしがいたく自然な古式ゆかしき「昭和の若旦那」に笑い泣き状態で歓喜した管理人でした。
勿論、即時購入したのは言うまでもありません。バレエを観始めて29年の中で現れた男性ダンサーお2人が
着物のモデルをなさったことに対し、友人の数名は我が渋好みが再度証明されたと納得した様子でございました。


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終演後はバスで移動。まるで団体旅行です。この場所からのバス乗車も初体験。

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トークショーのスペース。周囲を見渡したところ年齢層は人生の先輩方ばかりで私が恐らく最年少。
眠りのテーマに因んで、普段決して身につけない色彩の着物を選んでしまいましたが
飲食物ではなく衣服を鑑賞する作品のテーマに合わせたのは初めてでした。
いつもの5分の1の歩幅での移動は最初は慣れませんでしたが、着物主流の時代における時間の流れは
現代よりもずっとゆったりとしていたことを歩き方から考えるきっかけにもなりました。



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食事会にて、ビールを独り占めしたわけではありません笑。
後半は白ワインもいただきつつお2人のお話に耳を傾け、マイム再現では眼前にデジレ王子。
興奮おさまらず余韻に浸りながら帰途につきました。
久々の着物で身体も悲鳴を上げたのか、翌日になってから節々が痛んだのは
前回の着物を着用した成人式当時より体重が7キロ少ないために(今も痩せ型ではないが当時はまさにアザラシ体型)
着物の重量に耐えられなくなったのか或いは約10年前の時点で年配者としか思えぬと言われ続ける
文章の影響が及んで身体も老齢化しているためか原因は不明であります。

着物観劇会の話中心になってしまいすみません。バレエの詳細な感想は
千秋楽終了後必ず書いて参りますので今しばらくお待ちくださいませ。




【おすすめ】【迷っている方は是非】NBAバレエ団ショート・ストーリーズ・9

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昨夜NBAバレエ団ショート・ストーリーズ・9を観て参りました。
http://www.nbaballet.org/performance/2018/shortstories/

本日と明日も公演が続くため詳しい感想は後日書いて参りますが、大勢の方々にご覧いただきたいおすすめ公演です。
古典からコンテンポラリーまで、バレエ団がこれまでに上演してきた作品をガラ形式で魅力を凝縮。
ガラとはいえ、『海賊』や『ロミオとジュリエット』では立派な装置美術を用いていて
全幕の一コマとしての演出効果大。プログラムの順序もよく考えられ、特に昨夜は客の大半であろう
帰宅ラッシュも最強級の埼京線で新宿から約40分揺られて会場入りした方々の目を
一気に覚ませるような賑やかな作品で始まり、その後は大人数でステップを踏みながら展開していく
新作『ケルツ』の躍動感、そして笑いがありながらもダンサーの踊り込みと身体能力の高さに驚かされた
宝満直也さん作『11匹わんちゃん』、とダレる箇所が一切ない楽しい構成でした。

関東各所でバレエ公演が重なっている状況ですが、是非足をお運びください。
尚、会場はさいたま芸術劇場。ホームページによれば最寄りの与野本町からは徒歩7分と記されていますが
駅到着から会場に入るまで10分はかかりました。どうぞお時間に余裕を持ってお出かけください。





ケルツとわんちゃん筆頭に平日夜でも眠気と無縁 NBAバレエ団ショート・ストーリーズ・9~バレエ・インクレディブル 6月15日(金)夜

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◆大阪北部地震で被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
東京以外でのバレエ鑑賞で多いのは圧倒的に大阪で、大阪の方には大変お世話になっております。
また府内で最も足を運んでいるホールは震源地に近い北部の吹田市に位置するメイシアターで
豊中、高槻周辺は高速バスで何度も通っている地域。
当ブログは関西での鑑賞記事も多く、馴染みある地名が報道されるたびに不安が今も募ります。
まだガスやエレベーターが復旧せず大変な生活を余儀なくされている方も多くいらっしゃると存じます。
1日も早く平穏な生活にお戻りになれますよう祈っております。


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6月15日(金)、NBAバレエ団ショート・ストーリーズ・9~バレエ・インクレディブル夜の部を観て参りました。
http://www.nbaballet.org/performance/2018/shortstories/

スターズ アンド ストライプス
竹田仁美 高橋真之

一発目は2016年冬に全編上演した賑やかな演目のパ・ド・ドゥから。
軽やかで太陽のようなオーラを放つ竹田さん、盤石の技術でこれでもかとたっぷり魅せる高橋さんペアが
夜公演では帰宅ラッシュで満員の埼京線に揺られ、更には季節外れな涼しさの中を与野本町から10分以上歩いて
劇場入りした観客多数であろう会場を瞬時に温めてくださいました。

ガチョーク賛歌よりトリオ
伊東由希子 鈴木恵里奈 野久保奈央
土橋冬夢

NBAで観るのは2014年の初演以来ですが、より弾けた印象。
何と言ってもガチョーク賛歌といえば関西では発表会公演問わず頻繁に上演され、
南国を彷彿とさせる陽気で大らかな雰囲気、音楽が地域性にも嵌って
初鑑賞者多数の発表会の会場でも間違いなく吉本新喜劇と化したかと錯覚させるほど爆笑の連続。
前回のNBA初演ではなかなか客席も沸かずやはり関東では困難かと思っていたところ
今回は打って変わり、笑い声があちこちの客席からも自然に起こりました。
両腕を胸の前で回す糸巻きくるくるや、袖に待機する男性に向かって飛び込みジャンプをする
ダイナミックな振付もお手の物。赤系のシフォンのハーレムパンツとスカートの組み合わせの衣装も可愛らしい。


La Vita(佐藤圭新作) 峰岸千晶
白い全身タイツ風の衣装をまとった峰岸さんが緻密でしっとり情感のある踊りで引き込み
静かながらも生命力の強さを感じさせました。もう少し観たい、と思いかけたところで終える振付で長さも絶妙。

ケルツ(全幕)
グリーン 新井悠汰
レッド 猪嶋沙織 清水勇志レイ
ブラウン 浅井杏里 古道貴大
メンズダンス 河野崇仁 多田遥 玉村総一郎 土橋冬夢 飛永嘉尉
コールド
青島未侑 岩田雅女 大島沙彩 島田夏波 北原佑季子 金雪華
阪本絵利奈 佐藤愛香 武井由香理 野久保奈央 武藤桜子 柳澤綾乃 米津美千花
小林治晃 佐藤史哉 高橋開 竹内俊貴 中村瑛人 長谷怜旺 平井健太 前沢零 安中勝勇 山田悠貴

アイリッシュダンスとバレエが融合した、力強さが前面に出た躍動感溢れる作品。
狂いなく揃いつつも1人1人が魂で踊っている印象を抱かせた、大人数で一斉に踊り出す序盤から
目を奪われます。斬り込むように変化を見せて行くフォーメーションにも釘付け。
ケルトの人々の逞しさが胸にぐっと押し迫りました。
中盤には静かなパ・ド・ドゥもあれば恐らくは戦乱に見舞われた歴史を表現しているのであろう
緊迫感の中では男性が倒れ込んでいく場面も含まれて、緩急のついた飽きさせぬ展開です。
そして中心を踊られた新井さんの軸の強さ、身体を自在に操る能力と切れぬスタミナに脱帽。
女性コール・ドの薄茶に黒い模様が描かれたノースリーブのワンピースもセンス良し。
NBAバレエ及びバレエ初鑑賞者でも楽しめ、舞台でもテレビ放送でも映える作品。
再演は勿論、是非NHKバレエの饗宴での披露を願います。


ロミオとジュリエットよりパ・ド・ドゥ
竹内碧 宮内浩之

昨年2月に全幕公演で鑑賞したお2人。命懸けで再会を果たした幸福の絶頂場面で
ガラでの抜粋上演が難しいパ・ド・ドゥと思いますが、1幕から眺めている気持ちにさせるほど役に入り込む熱演。
幕が開き、美術装置の助けもあってすぐさま物語の世界へ没頭できました。
竹内さん、宮内さんとも叫び声が聞こえてきそうな熱情の迸りに拍手。


ザ・リバーよりボーテックス
勅使河原綾乃

要所要所でぴたりと鋭くポーズを決める勅使河原さんの強靭なバランスに脱帽。
縦横無尽に舞台をスピーディーに駆け抜けつつも滑らかな身体の動き1つ1つが
清々しい気分に満たしてくださいました。もう少し観たいと感じたところで終了、ガラにおいては丁度良い長さです。


海賊よりパ・ド・トロワ
佐藤圭 三船元維 前沢零

今年3月に初演した全幕作品も早速抜粋でお目見え。佐藤さんは儚く妖艶な雰囲気、
三船さんは貫禄と華のあるリーダー、前沢さんはガラらしく超絶技巧を次々と繰り出し会場を沸かせました。
船と海の背景付きで、全幕公演を思い起こさせます。


11匹わんちゃん(宝満直也 新作)
竹田仁美 新井悠汰 大森康正 河野崇仁 小林治晃 清水勇志レイ 高橋開 
高橋真之 土橋冬夢 飛永嘉尉 宝満直也 安中勝勇

この日一番の注目作品でしょう。新国立劇場時代に数々の鮮烈な作品を発表され
その度に観客を驚かせていた宝満さんのオリジナル作品がNBAにも登場です。
(新国立のDance to the Futureで披露されたボーリング作品と3匹の子ぶたは今も忘れられません)
幕が開くと、スポットが当たる場所に乾電池?で動く犬のぬいぐるみ。場内既に笑いを堪えきれずな状態です。
するとルロイ・アンダーソンの『猫のワルツ』が流れる中、猫に扮した竹田さんが
それはそれは伸びやかに軽やかに身体を目一杯使って踊りながら可愛らしく登場。
この曲、バレエの発表会の子供用作品で上位5本に入るであろう、全国各地の発表会の舞台で聴き慣れた曲。
(私も踊ったことがございます。可愛らしさのかけらは微塵もありませんでしたが…)
プロが踊ると当然ですが、何倍も良い曲に聴こえるのであります。

一段落すると、いよいよ11匹のわんちゃんたちが登場。わんちゃんとは言っても
襟付きシャツとズボンを身につけた、お洒落な装いです。
そして耳は各自異なっていて柴、レトリバー、シベリアンハスキー、ジャックラッセルテリアか
犬に詳しくないため正確性欠如な予想ですがとにかく様々な犬種たちです。
ロック系の音楽に乗せて、さっきまでは可愛らしさが優っていた竹田さんの猫は小悪魔な面をさらけ出し始め
わんちゃんたちを手のひらで転がすようにからかい、楽しそう。
そしてわんちゃんたちの運動量といい身体能力は並でなく、激しくパワフルに踊りエンジン全開です。
隊列の素早い組み替えも工夫が凝らされ、突如猫が割って入ってきたりと驚きの連続。
相当な技量と体力、そしてお茶目な要素がなければ上演不可能な作品で
NBAの男性ダンサーたちだからこそ実現に至ったのも頷けます。再演切望です。
 
 
ブルッフ ヴァイオリン協奏曲 第1番
アクア 大島淑江 安西健塁
レッド 阪本絵利奈 森田維央
ブルー 佐藤圭 三船元維
ピンク 竹田仁美 山田悠貴

コールド
伊東由希子 猪島沙織 岩田雅女 浦野梓 金雪華 児玉彩香 三原未来 米津美千花
河野崇仁 多田遥 玉村総一郎 土橋冬夢 飛永嘉尉 長谷怜旺 古道貴大 前沢零

ガチョークと同じく2014年のトリプル・ビル公演以来の鑑賞となる純クラシック作品。
当時よりも遥かに精度が上がり、1組1組が醸すカラーがはっきりとしていて見事です。
特に女性陣の個性が光り、アクアは大島さんの神秘的な爽快感を思わせ
レッドは阪本さんのルビーの如き強いオーラを放つ艶やかさが目を惹きました。
佐藤さんのブルーにおけるしっとりとした優雅さも美しく、大トリであるピンクの竹田さんは
明朗快活な踊りでフィナーレをびしっと引き締める存在感。
物語がある流れでコール・ド・バレエは整然としたフォーメーションを溌剌と描き出し、観ていて面白い作品です。
そして衣装が非常にお洒落で煌びやか。4組のカップルは色だけでなく胸元はそれぞれ違うデザインで思わず観察。
女性のチュチュが色見本のように同じ系統の色を重ねた凝り様で、
チュチュが翻るたびにちらりと見えるグラデーションのような連なりに息を呑みました。

上演時間は約2時間半でしたが、プログラムの順序もよく考えられていた点も好印象。
特に金曜日夜は客の大半であろう帰宅ラッシュ最強級の埼京線で新宿から約40分揺られて会場入りした方々の目を
一気に覚ませるような賑やかなスターズアンドストライプスで始まり、躍動感溢れる『ケルツ』そして
度肝を抜かれ声をあげて笑わずにはいられない宝満さんの新作に続いて締めは煌びやかなクラシック作品、と
睡魔に襲われる暇もない構成で冗長な作品もなし。クラシックからコンテンポラリーまで
ダンサーの対応能力も高く、構成も内容も観客の心を掴む公演でした。
次回新国立劇場中劇場で上演される新制作『リトルマーメイド』も楽しみです。




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埼玉ですので狭山茶もあります。

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次回公演は9月、『リトルマーメイド』。

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翌日も鑑賞のため帰りは軽くビールで乾杯。会場入口でいただいたシーズンガイドブック(立派な装丁ですが無料!)を
読みつつ来春3月の宝満さん版『白鳥の湖』にも期待が膨らみます。
翌日は初台で昼夜2回『眠れる森の美女』、昼から計約9時間新国立劇場滞在。濃い週末でございました。




昨年を教訓に鑑賞エネルギー配分に用心も連日薔薇満開 新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』6月9日(土)〜17日(日)

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6月9日(土)から17日(日)まで、新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』を計5回観て参りました。皆勤です。
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/sleeping/

※キャストは後日掲載いたします。
※今回こそは短くなるよう努めて参りますが、配役が多く難しいのは目に見えております。
現実には仙女も王子も現れませんので、罰として次回公演こどもバレエ『シンデレラ』で
お義姉さんたちからいじめられぬよう気をつけて過ごします。

米沢さんのオーロラは麗しく煌々とした輝きを纏い、16歳の誕生日を迎えた登場で既に立派な王女様。
安定且つ1つ1つのジャンプも高さがあって活発そうな面も持ち合わせていた点も愉しく映り
色っぽさもあるようで闊達さも備えるなど様々な魅力を放っていました。
グラン・パ・ド・ドゥでは女王然とした威厳に圧倒され、国王亡き後は君主として活躍し国は安泰でしょう。

成長過程を細やかに表現していたのは前回と同様小野さん。1幕では無邪気にはにかむ表情が何とも可愛らしく
本当に16歳の少女に見えたほど。純粋に真っ直ぐ育ったお姫様そのものでした。
幻影での伏し目がちで消え入りそうな儚さにも魅せられ、王子の救出決意にも説得力を与えます。
3幕では風格ある姫君で未来の妃お披露目会とも呼べそうな厳粛たる宴。
ポーズの1つ1つが厳格でちょっとした繋ぎ目においても徹底した優雅さを貫く姿に天晴れでした。

前回とは打って変わり好印象を残したのは池田さん。せっかく親しみ易い可愛らしさを持ちながら
2幕での表情がガチガチに強張り、もはや違う物語を上演していると思えてならなかった昨年とは一変。
踊りも表情の作り方も柔らかく丹念になり、微睡む雰囲気がしっかりと出ていました。

木村さんはおっとり淑やかな姫君。リラの兼任も影響したのか前回は最初から貫禄が
出過ぎてしまっていた感がありましたが、今回の1幕は可憐で愛らしい16歳のお姫様。
幻影での段階を経て結婚式では100年の眠りの中で芽生えた王子を慕う感情と
一国を担う者としての使命感が凝縮したような確固たる強さを思わせました。
2幕では溜まった疲労もあってか所々腕がくねっとしてしまい、抑制にやや苦戦していた様子でしたがごく一部。
恵まれた肢体を生かした、華麗な姿を終始届けてくださいました。

井澤さんの王子はオーロラの幻影を見た瞬間から恋する昂ぶりが前回よりも伝わり好演。
少し内気で物静かそうな佇まいがまさにおとぎの国の王子様風きらきら系華やか容姿と溶け合い
ロマンチックな雰囲気も増した印象です。『不思議の国のアリス』での配役が気になるところであります。

福岡さんはここ最近の演目が三大バレエ始めクラシック系が続いているせいか
一層ノーブルな要素が濃くなり、表現も更に豊か。
オーロラの幻影を目にした際には細田さんリラの精と会話が聞こえてきそうな興奮ぶり。
いかにして近づいたら良いか、教えを乞う姿も印象に刻まれました。
3幕グラン・パ・ド・ドゥでの勢いと優雅さ双方が合致したフィッシュダイブもお手の物で
小野さんとの強固なペアを再確認。

奥村さんは私の中での勝手な「永遠の少年」(失礼)イメージからは脱皮しつつあり
上階席からでも貫禄オーラ放出の王子。前回はやや厳しいかと思った2幕の胸開きワイルド衣装もさまになり
(衣装については後ほどあれこれ綴ります)鉄砲も違和感なく運搬。
当初は首を傾げていた池田さんとのペアも、昨年の妙な振付てんこ盛りな『くるみ割り人形』を
難なくこなしていた姿から実は息が合う2人ではないかと考えを改め、
凍り付いた姫の心を溶かそうと奮闘している『トゥーランドット』な2幕となってしまった前回とは違って
救いを求める姫の幻影と追いかける王子がぴたりと嵌り今回は目を見張りました。

※これより長くなります。休憩を挟みお茶でも飲みながらどうぞ。
今回主役陣では唯一初役であったのが渡邊さん。(昨年はムンタさんのアンダーは務めていらした)
眠りは白鳥ほどドラマもなく、ひたすら夢見るおとぎ話であるためビジュアルが舞台を左右すると想像し
先月バーミンガム・ロイヤルの来日舞台での新国立きらきら系先駆けであった厚地さんの好演も記憶に新しく
少女漫画系容姿の井澤さん奥村さんが優位かと脳裏を掠めたときもあったのは事実。
後にも述べますが初日と16日の昼に務められた昨年に続いての韃靼ロシア王子における余りの絵になる姿や
着物を着れば昭和の若旦那、テレビドラマに例えれば刑事警察物に嵌るであろう渋い容姿を考えると
実のところ全幕のデジレ王子に関しては少々心配もありました。

ところが、2幕の登場における鷹揚とした歩き方や一目で周囲より高身分と分かる誇り高さ
気品と強そうな芯両方を持ち合わせた、猟銃を担いでいても違和感皆無な王族なるお姿が
昨夏の『ジゼル』と同様作品に調和していて目も心も一気に持っていかれ骨抜きにされて恐れ入った次第です。
昨年の教訓も踏まえて今回は全日程目を開けて鑑賞に臨んだ幻影の場においては千秋楽が傑出。
観客からしたら既にお腹一杯なプロローグと1幕を終えた後、しかも1幕からは休憩無しで突入する幕でありながら
もやは瞬き不可能なほどに魅せられ(心を満たした潤いが身体中を循環したのか目も乾かず。
熟睡中のオーロラに対し快い目覚めでございます)
憂愁のソロからリラとのやり取りやオーロラの幻影に恋に落ちた瞬間に至るまで
身体全体から感情が伝わり1つ1つ細かく練り上げられた厚みのある且つ
空間を大きく使う表現に度肝を抜かれてなりませんでした。
全ての表現が心に訴えかけ、しっとり静寂さが漂う場面において
こうも夢見心地になって引き込まれ目が冴え渡ったのは滅多になく
新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』では約11年半ぶり。2007年2月の山本隆之さん以来です。

これまで時折変に可愛らしくなってしまい気にかかっていたメイクも
今回は生来の端正な容貌を生かすラインの描き方で安堵。
3幕での将来の国を担う人物であるに相応しい骨太さのある姿や姫を優しく包むサポート、
柔らかで強い跳躍にも目を奪われ3時間半が瞬く間に過ぎて行きました。

さてお待たせいたしました。当ブログ名物、とは言ってはいけないかもしれないお馴染みの髪型考察ですが
今回は即座に丸印カードを掲げた次第であります。
やや斜め分けではあるものの強力接着剤で固めたような分け方ではないため
向田邦子ドラマの純喫茶に腰掛けていそうな昭和のサラリーマン状態にもならず、
昨年のゴールドのような前髪だけ波打った不思議な形状にもならず、ほどほど自然な宝塚男役風スタイル。
そして助けに繋がったのがリボン。どんな髪型でも貴公子らしく見せる装飾なのです。
そう思わせたのは遡ること7年前、バーミンガム・ロイヤル来日公演『眠れる森の美女』で
デジレ王子を務めたツァオ・チーさん。髪型はぴっちり七三分けにも関わらずリボン1つで西洋の王子にきちんと見え驚きを覚えたと記憶。チーさんは端正なお顔立ちでありながらこのときの髪型だけ見ると
芸人のスギちゃんやオードリーの春日さん或いは一昔前のサラリーマンを彷彿とさせるのですが
リボンを装着するだけでがらりと一変。リボンマジック恐るべしと唸った管理人でございました。
今回渡邊さんは先述の通り嘗て時々ご披露の不自然な髪型ではなく、加えて思い起こせば
トゥールーズ時代には『危険な関係』のヴァルモン子爵や(こちらも良し)『三銃士』のポルトスといった
長髪の役柄を何役か務めていらっしゃり、写真や映像を見る限り非常にお似合いだったのです。
そのため韃靼帽子付きのロシアの王子やサッカーJリーグガンバ大阪のマスコット
或いはイワトビペンギン風の頭飾りに覆われた青い鳥、と
4回の頭を覆う被り物の役柄を経てのデジレ王子で当初募っていた髪型心配も千秋楽前には消え失せたのでした。
そして迎えた千秋楽でのご登場。案の定胸を撫で下ろし、無事鑑賞体勢が整ったのであります。

『白鳥の湖』に続き、木村さんとのペアも頗る好相性で
魅せるのが難しい、静寂に包まれたロマンティックな2幕において
幻影と人間の関係を崩さずとも感情を丁寧に重ね合わせながら共に世界を作り上げて
観客を吸い寄せ惹きつける力量を備えたお2人は賞賛に値するでしょう。

賛否両論あるのは目覚めのパ・ド・ドゥ。どのペアもパートナーシップは良好であり
また100年の眠りから目覚めてパンパカパーンとファンファーレに乗せてそのまま婚約、結婚式へと向かうのは
確かに辻褄が合わず、愛を深めるパ・ド・ドゥを挿入したい気持ちはよく分かります。
ただ先月鑑賞したバーミンガムロイヤルでのピーター・ライト版はすっと感情移入できたはずが
やはりイーグリング版では困難でありました。
まず振付が中途半端に官能的で、会って早速『ロミオとジュリエット』までとは言わないが
身体を絡め合う路線も如何かと、幕切れの口づけも必要だろうか思わずにいられず。
そして一番はオーロラ姫が何時の間にかネグリジェに変わっている点に首を傾げてしまいます。
チュチュのまま運ばれてそのまま宮廷はリラの精によって魔法がかけられ100年の眠りについたはずなのです。
侍女が着替えを持って見舞いに来るのも不可能。ではいったい誰が着替えさせたのか。
そうだ、「家政婦はリラ」、でありましょう。
それから目覚める場面で今回初めて気づいたのは、王子がオーロラの寝室を訪れると
姫は頭の上にまで布を掛けているのです。しかも呼吸と乾燥予防のためなのかに誰かさんが布に所々穴を開けて
目や口元の部分は見えていて上階上手側から鑑賞すると顔パック、角度によってはパンダに見えてしまうのです。
公演期間中にシャンシャンが1歳を迎えたばかり、と言いたいところだがそういう問題ではない。
では誰が都合良く穴を開けたのか。「家政婦はリラ」、頻繁に見舞いに来ていたに違いありません。

妄想はほどほどにしてリラの3人もそれぞれ個性ある好演。木村さんはよりエレガントな魅力が備わって
妖精リーダーとしての存在感も強まった印象。
慈愛が全面に出ていたのは細田さん。邪念も何もかもを優しさで包み込み、
マイムも雄弁で指先から花びらが零れ舞い落ちるかのような愛情の深さに陥落です。
寺田さんは姿形で魅せ、少し澄ました表情であっても立ち振る舞いに自然と惹きつけられるリラでした。

カラボスはもはや鉄板級、十八番ともいえる造形で臨む本島さんは圧巻の凄みと異次元の美しさ。
黒い色で染め上げ客席を沸かせました。
初役の渡辺与布さんの表現も光り、身体の底から突き出される冷ややかさに身震い。
元は優しさのある妖精であったが悲しい経験から悪の精に変身してしまったのであろうと想像を掻き立てられます。
どうしても本島さんと比較されてしまい大変なプレッシャーもあったに違いありませんが
渡辺さんのカラボスも讃えられるべき見せ方であったと思います。
お面装着で顔と名前が一致しなかったのは悔やまれますがカラボスの手下たちの男性陣は昨年より動きが機敏になり
お頭登場前から飛び出して宮廷を混乱させ、音楽にぴたりと合わせて
王妃にお尻を出して振りながらからかう姿には思わず笑ってしまったほどです。

フロリナは米沢さんの歌声が聴こえてきそうな喜びに溢れるエネルギーに場内喝采。
柴山さんのきちっとしながらも踊りに表情が益々出てきた点も拍手で池田さんの愛らしい軽やかさもなかなか宜しい。
青い鳥は渡邊さんが出色で昨年と今年原作で読んだ、気高く麗しい王が変えられた姿との記述が見事に嵌って
待ち焦がれた配役に感激。ふわっと滞空時間の長い跳躍と繰り出すポーズも雄々しく美しく
DVD映像として残るのが喜ばしい。原作によれば『白鳥の湖』、『シンデレラ』、『白雪姫』、
『ロミオとジュリエット』を足して割ったような互いに恋に落ちてからは試練続き。
密会、策略、裏切り、誤解を乗り越え出会ってから10年以上の時を経て結ばれる壮大な物語であり
(1962年出版のペロー童話集にはフロリーヌ姫とシャルマン王と翻訳)
円広志さんによる1978年の名曲『夢想花』の歌詞の如く単に跳んで跳んで回って回っているだけの
テクニック披露ではなく相当な表現を込めなければ務まらない役柄。
跳躍の多い振付のみならず原作の背景を考えるとこれは渡邊さんにぴったりであると
昨年の上演時には当然抜擢されると想像しておりましたがまさかの落選でびっくり。(所詮勝手な思い込みですが)
主要キャスト発表当日にカレー店青い鳥へ直行してしみじみビールをいただき、
小さな青い鳥の置物を眺めつつカレーに癒してもらい帰宅後は布団に突っ伏して繰り返し青い鳥の曲を聴きながら
来年こそはと信じて参り今回に至ったのであります。
井澤さんは華麗なる鳥、奥村さんは瞬発力と晴れやかさがあり
メイクも皆さんお顔立ちに沿った描き方であった点も良かったでしょう。(衣装については後ほど)

そうは言っても若手からの抜擢もあって良いのではとも思うのが正直な心境。
きっと大原監督は原作を読み込んでいらして主役級に任せるべき役柄と判断なさったと思いたいところです。

プロローグの妖精たちでは凛とした潔さに思わず背筋を伸ばしてしまう柴山さんの勇敢、
コール・ドから抜擢された優美の朝枝さんのにこやかな表情と大らかな存在が目に留まりました。
強さやゴージャスで色っぽい雰囲気も湛えている朝枝さんの妖精からは数年後にはリラも観たい気持ちにさせます。

宝石は特に女性ダンサーは皆煌びやかで中でも細田さん、五月女さん、飯野さんが何処を切り取っても盤石万全。
細田さんの全身から放つ繊細な輝きは手を合わせたくなる高貴さがあり何度でも観たくなります。

猫は益田さん、宇賀さんペアが大胆で面白みのある踊りで客席を盛り上げ
お子さんの観客たちもすっかり虜になっていた様子。
赤ずきんは広瀬さんは軽快、奥田さんはどこか薄幸で守ってあげたくなる女の子、
五月女さんは持ち前のテクニック炸裂で個性様々。以前は狼から襲われそうになるばかりでしたが
今回からなのか赤ずきんも狼を真似て脅かしてしまう頼もしい表現も誕生。時代の流れかもしれません。
親指トムは福田さんがベテランの誇りを見せ、切れ味鋭くもほわっとした愛嬌や純朴さもあって
これが観たかったと心からの拍手を送りました。

リラの精たち、オーロラの友人たちは世界レベルの美の宝庫。
ややヘンテコな衣装に溢れていても最終的には作品を格ある舞台へと導いた立役者と呼んでも過言ではありません。

そして「日によっては」私の中で主役級として捉えていたのは4人の王子。
お国柄が表れた衣装が新国立ダンサーによく合うデザインで、恋に燃える若々しさも引き出され
初演の頃から注目しておりましたが今回も表現、衣装ともに観察が楽しい役柄。
火花を散らし合いつつも団結して姫をサポートし、
前へ出たがる王子もいれば静かに悔しさを噛み締める王子もいて目が離せませんでした。
昨年の再演で全幕の中で最たる衝撃であった渡邊さんのロシアの王子は今回も健在で
東方韃靼系王族の帽子と装いに目元が鋭く力強い瞳の品ある醤油顔がまあ似合う。
弓矢を手に馬に跨り草原を駆けてきたであろうと容易に想像できます。
よくぞアジア寄りのロシアにデザインしてくださったとこの衣装に関しては褒めちぎったもので
今年書店で見つけた、似通った韃靼系王子が姫を抱いて森の中を馬で駆けている絵が載っていた
ロシア民話の挿絵画集をきものsalonと同様にすぐさま購入してしまったのでした。
今回は他日井澤さんがロシアに入っていたのは意外でしたが、ヨーロッパの血が流れていそうな洗練系。
よくよく観るとロシア王子も帽子の縁には真珠が連なり中央には『風の谷のナウシカ』の人物の頭巾のように
大きめの宝石が装着していてベルトにも小さな宝石が埋め込まれた豪華なもの。
昨年も注目していたはずがなぜ気づかなかったか、そうだ、全日程顔ばかり眺めていたのだ。
井澤さんといえば昨年の通称リボンの騎士ことイタリアの王子の白い衣装が絵になる容姿で
きらきらイタリア井澤さんと渋みあるロシア渡邊さんが並んだときの存在感たるや
金閣寺VS銀閣寺の同時隣接建立な対決が忘れられず、今回叶わなかったのは残念でした。
(映像に残して欲しかった)

振付で一部不自然と思えたのは姫が針に刺されて倒れカラボスが再度登場したとき剣を手に王子たちが現れた場面。
求婚した姫を襲った妖精ですから1秒でも早く倒したいのが本音でしょうに
剥き出しの剣をあたかも鞘に入っていると見立てて低い姿勢で走り込みながら登場し、
一斉に抜いてカラボスに攻撃を試みるのです。リオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得し
今年のセイコーゴールデングランプリ大阪の男子400mリレーにも出場した
飯塚選手、山縣選手、桐生選手、ケンブリッジ選手が入場時に行った刀を抜くポーズに似ており
型を重視しているようにしか見えずまるで新国時代劇。
王子たちの所作は凛々しく颯爽としていましたし、日によっては実際着物が似合う王子もいましたが
イーグリングさんは新渡戸稲造の書籍を愛読なさっているのか時代劇をご覧になっているのか
真相は定かでないものの不自然さが残る場面でした。
時節柄サッカーW杯開催中ですし、「サムライ」出現でも良いかと無理矢理納得。

倒れた姫を打ち合わせたかのように難なくしかも階段上り付きであっても
運び方がスムーズであったのも不思議といえば不思議ですが担架では味気ない幕切れとなってしまいますし
ひょっとしたら近年の救命救急講習の先駆けとして王子たちは日頃から運搬訓練をも受講していたのかもしれません。

衣装に関しては目が慣れてはきたとはいえ何度観ても突っ込みどころ多数。
プロローグの女性貴族は茶色いメイド服にエプロンを着けた召使いにしか見えず、
頭上は三角形に小花が散らされているものの花の数が多いせいかイタリアンジェラートな形状です。
男性貴族はかなり濃いめの赤や青の装いで、復刻版で目にしたプティパ版初演の頃の色彩感。
今年はプティパ生誕200年にあたる記念年でオマージュと言いたいのかそういう問題ではない。
対する妖精たちは薄めの色合いで渦巻きな模様始め現代感覚が混ざっており
衣装同士も時代がバラバラに感じてなりませんでした。

リラの昭和水泳帽は知人が紫陽花と表現。そうか、薔薇の花咲く季節は日本は梅雨時。
考慮したデザインなのでしょうと言いたいところだがそうではない。
花の数をもう少し減らしティアラに沿って線を描く程度にした方が見栄えは良さそうです。
重厚絢爛な装置に対しカラボスと森の精たち、宝石たちを除いては衣装全般が淡いのも謎であります。
ご意見で多々聞かれたのはプロローグの妖精ソリストたちの同色衣装でしょう。
お願いだから染め直してくれと何度観ても思います。結局未だに妖精名が覚えられない状態で
ティアラと胸元の石の色が違うと言われましても余程の前方席でないと分かりません。

1幕のオーロラもピンクであって欲しかったと、白いエプロンを
チュチュ化したようなデザインを目にするたびに感じます。
もはやイーグリング版衣装の突っ込み代名詞となったのは青い鳥の透け透け鯉のぼり。
予算が足りず生地が買えなかったのかと哀れにすら思えますが
ただ原作で青い鳥は策略によって羽を毟り取られる場面があり、忠実に再現したのかと思いたいところだが
きっとそうではない。「日によって」はダンサーの腕の筋がくっきり見えて眼福となるわけでもなく
予算が下りずに布買えず、結果は透け透け鯉のぼりな印象がまさってしまいました。
先にも述べた通り、イワトビペンギン或いはガンバボーイ風の羽飾りも風変わりではあるが
サッカーW杯日本代表にガンバ大阪の選手も含まれていますから良しとしましょう。

一部男性の衣装の胸が開き過ぎる点も気がかり。デジレ王子も他の貴族と異なり胸元が大きく開いたデザインです。
きっと貴族たちの集団を離れ、猟銃を担いで1人獅子奮迅の如く森を駆け回っていたために暑くなり
ボタンを外してしまったのでしょう。そんな野性味にも伯爵夫人は惹かれて
怪しい関係へと結び付いたと想像いたします。パンドラの箱と同じで開けてしまったのは仕方なく
時折王子の胸筋観察に勤しみました。(但し千秋楽限定)

貴族や森の精たちのコール・ドはどの日も上出来。中でも森の精たちが
終盤で次々と立ち上がって道を作っていくように導く流れは息を呑む幻想性があり
衣装は残念ではあってもいよいよオーロラ姫と王子が出会う瞬間が刻一刻迫っていると胸を高鳴らせました。
ワルツでペアになった男女がリフトしながら舞台に登場する序盤は
祝福感を盛り上げ、いつ観てもわくわくとする場面の1つです。

船舶免許取得済みであろうリラの舟が無駄に大きい点や、赤ちゃんオーロラが目をぎゅっと瞑り過ぎていて
可愛らしさがない点など挙げればキリがありませんが、この作品を全幕上演できるのは
人数が揃っているのは勿論、バレエ団の層が男女ともいたく厚い証でしょう。
2年連続での再演がありましたからしばらくは上演がないと思われますが、数年後の再演も楽しみになってきました。

プロローグのカヴァリエから目が離せず、ローズアダージオで興奮と集中度が極致に達し
初日と2日目を除いては2、3幕はぐったり気味であった昨年を教訓に鑑賞エネルギー配分に用心。
初日の着物企画に始まり、最終日は4年ぶりにシーズンエンディングパーティー参加と新鮮なイベントにも恵まれ
しばらくは薔薇が咲き誇っていそうな状態です。
昨シーズン最後を飾った、それまでの28年間約650回から700回に及ぶバレエ鑑賞歴で
5年ぶり3回目に涙した『ジゼル』に続き忘れられない2017/2018年シーズン締め括りとなりました。

そして今シーズンもお目にかかれた皆様、本当にありがとうございました。
初日と千秋楽以外は服装がカジュアル過ぎ、落差のある格好で失礼いたしました笑。
こどもシンデレラもありますが、来シーズンもどうぞ宜しくお願い申し上げます。

※時期は未定ですが、小野さん、福岡さん主演日を収録したDVDが発売されます。どうぞご覧ください。
今回は私も購入いたします。

※ご参考までに。昨年の新国立『眠れる森の美女』感想です。
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/5513-7b31.html




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透け透け鯉のぼり衣装はいただけませんが、鯉のぼりは中国に由来すると知り
こうなったらこじ付けも兼ねて余韻に浸ろうと青い鳥鑑賞後のカクテルにブルーチャイナ。何度も来ているお店ながら
いつもビールやウイスキーを選びがちであるためカクテルを飲むのは初。甘く爽やかな味でございました。

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公演限定カクテル。オーロラ姫、お布団は頭まで被っていません。

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千秋楽、主演キャストを眺めながらのカクテル。

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薔薇の花付きヨーグルトムース。爽やかな甘さです。

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16日は昼夜2公演、観客も体力気力勝負です。夜公演までは極力動かず体力温存が一番。
劇場内のマエストロで昼公演や初日、2日目の感想を語り合いつつ開演を待ちます。
海老と枝豆もトマトクリームパスタと白ワイン。最後はデザート代わりにキールもいただきました。

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千秋楽終演後はシーズンエンディングパーティーへ。4年ぶりに参加です。
ウエルカムドリンクとして選んだ白ワインを飲みつつ語りつつ、開会を待ちます。
前々回初めて参加した2013年も同じ会場でしたが、パーティーに慣れておらず
またペンギン・カフェを上演したシーズンであったため
トレーに飲み物を乗せて運ぶレストランスタッフの姿が視界に入った瞬間『ペンギン・カフェ』の世界が実在と
言わんばかりに何杯も飲み、開会の頃にはほろ酔いに。
当時を教訓に、そして自身はもう若くはないと言い聞かせ今回は摂取を控えめにしたのは言うまでもありません。
監督やダンサー始め、スピーチ者は黒い台の上に乗って話していたためまるで朝礼状態。
ただどのダンサーも今シーズンを振り返って来シーズンを見据えたスピーチを上手になさっていて
特に本島さんの「役に生かされてきた」との言葉が印象に残りました。

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昨年は着席形式だったそうですが、今年は再び立食形式に。好物が揃ってお皿に載っています。
この日まことに嬉しかったのは、歓談タイムで順番を待っている際
偶然前に並んでいた中高生ぐらいの女性とお母様との会話からして
ひょっとしたら共演された方であろうかと思い話し掛けてみたところ
足を運んだ発表会に出演していた生徒さんだったこと。
驚いていらっしゃいましたが、間近で見たゲストのリハーサルの話をしてくださりしばし会話が弾んだのでした。

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エンディングパーティーのあと、3人で打ち上げ。
カウンセラー友人2名はソフトドリンクを選びオレンジとクランベリー。
私は王道ハイボールで乾杯。今年に入ってから店長さんに顔を覚えられてしまった。
余韻に浸ったままいつもニンマリした顔で注文に行っているためかもしれません。(怪しい客だ)

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公演期間中に今回は嬉々として利用したカレー店青い鳥へ。
ビールを飲んでいると青い鳥がカウンターまで会いに来てくれました、
ではなくここに座った客を迎えてくれる鳥さんです。

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鯖のココナッツカレーと大根の和風カレーの2種盛り。渋めの組み合わせでございます。
複雑に絡むスパイスが心も身体も癒してくれました。


※余談ですが。期間中最もツボに嵌って可笑し?かったこと。
母が着物イベントについて気にかかったようで、共催の京都きもの市場の社長は若い男性で驚いたとの話をした後に
会場やトークショーの写真を見せたときのこと。木村さんは見るからにお姫様が似合う華やかさがあり
すぐにダンサーと分かった様子。そして並んで座っていた渡邊さんを見て一言。

「この人が社長さん?」

どうやら、渡邊さんの素顔私服姿の第一印象はダンサーではなく着物会社の社長だったようです。
まあ実際着物の着こなしは自然でお似合いですし、経済雑誌の経営者インタビュー記事写真に載っていそうな
渋い貫禄もあり聡明そうですから分からなくもないか。




新国立劇場舞踊部門次期芸術監督予定者に吉田都さん/ダンサー昇格・移行・退団についてもようやく発表

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新国立劇場舞踊部門次期芸術監督予定者に吉田都さんが就任と発表されました。
http://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_012652.html

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180629/ddm/012/040/088000c

朝日新聞デジタル
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180628-00000064-asahi-soci



ここ最近の新国立関連では一番の驚きのニュースかと思います。
まだ予定ではありますが吉田さんが新国立の舞踊部門の芸術監督に就任される日が訪れるとは思いもせず、
きっと新国立バレエを良い方向に導いてくださると信じております。

芸術監督就任後バレエ団ファンとして気になるのはレパートリーの選び方でしょう。
吉田さんは長きに渡って英国で舞踊生活を送っていらっしゃいましたから
つい予想してしまうは英国ロイヤル系の演目重視。勿論豊富な知識と広い視野、人脈をお持ちなはずですから
一辺倒にはならぬようダンサー、観客双方に寄り添った上演計画を立てていかれることと想像いたします。

厚みのある演劇性の濃い演目は私も好きですし大歓迎ですが
ただ牧阿佐美さんが任期時代拡充に奔走なさって取り入れながらも
眠った状態にある数々の幅広い演目の再演も望んでおります。
バレエ団オリジナル作品制作としてエメラルド・プロジェクトで誕生した
石井潤さん振付『カルメン』は再演1回で2008年以来、
ドミニク・ウォルシュ振付『オルフェオとエウリディーチェ』は2007年の初演以来上演がされておらず寂しい限り。
そしてボリス・エイフマン振付『アンナ・カレーニナ』も2012年の再演以来上演から遠ざかっています。
ローラン・プティ作品は昨年『コッペリア』を久々に再演し完売日も出ましたが
『こうもり』も踊り継いでいって欲しい作品です。
バレエ団としての海外公演も9年前以降途絶えており、実現を願います。
島田廣さんに始まり、牧さんがレパートリーの種類を格段に増やして2度の海外公演をも成功させ
ビントレーさんがダンサーの個性をより引き出し、古典に回帰しつつも『ホフマン物語』や
『不思議の国のアリス』といった大型演目を入れた大原さん、と
新国立バレエの歴史を辿ると瞬く間の20年。これからの道のりも応援して参りたいと思っております。

それから追記。ダンサーの待遇改善や医療体制の充実、ケアの機関など
詳しい現況は分かりかねますが日本のバレエ団にはまだまだ不足な要素は多々あると思われ
吉田さんの手腕がどう発揮されるか注目していきたいところです。
あとはお役所体質であろう上層部といかにして関わっていくのか。諸々身勝手な呟きを失礼いたしました。

そして、バレエ団の2018/2019シーズンにおけるダンサー昇格、移行、退団についても発表されています。
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/news/detail/26_012643.html

11年前にコール・ドとして入団しファースト・アーティストと着実に昇格してこられた原健太さんの
ソリスト昇格は順当でしょう。おめでとうございます。近年はプリンシパルに交じって『シンデレラ』王子の友人や
『白鳥の湖』ナポリなど、気づけば何処かしらソロに近い役に原さんが入っている公演が増えました。

男性も宇賀さんを始め、ここ数年でソロの役を当てられ注目度が高くなっている男性ダンサー陣が
ファースト・アーティストに。こちらも順当でしょう。
対して女性の昇格は無しでしょうか。近年では『眠れる森の美女』のリラの精や
『シンデレラ』仙女など準主役級の役で大活躍を続け益々目が離せない
入団14年目の遅咲きの星(と言ったら失礼かもしれないがコール・ド時代が長く、コツコツ積み重ねて着実に昇格)
細田千晶さんがファースト・ソリストに昇格せずいたく残念。
決めるのは芸術監督ですから素人がぼやいても仕方ないものの、来期に期待いたします。

ここ1週間で英国ロイヤルシネマ『マノン』、ボリショイシネマ『コッペリア』とバレエ映画2本鑑賞しており
これらについては後日。どちらも大変面白く、平日夜の鑑賞でもみるみると引き込まれました。

それにしても新国立、重要決定事項を人々の目が特定の話題に向きがちな日を狙って発表しているのは気のせいか?
以前にも登録移行と退団ニュースをサッカー日本代表がW杯2014年ブラジル大会進出を決めた日に報じていたのは
今もよく覚えております。今回はサッカーW杯ロシア大会の日本対ポーランド戦、単なる偶然と思いたい。




ボリショイ・バレエ in シネマ 2017-2018Season『コッペリア』

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順番が前後いたしますが、先月末ボリショイシネマ『コッペリア』を観て参りました。

マルガリータ・シュライナー(スワニルダ)
アルチョム・オフチャレンコ(フランツ)
アレクセイ・ロパレーヴィチ(コッペリウス)
ダリア・ボチコワ、アントニーナ・チャプキナ、
アナスタシア・デニソワ、エリザヴェータ・クルテクレヴァ、
ダリア・ロブツォワ、スヴェトラーナ・パブロワ、
エレオノーラ・スヴェナード、ユーリア・スクヴォルツォワ
(スワニルダの友人たち)
ボリショイ・コール・ド・バレエ

当日のキャスト
https://www.bolshoi.ru/en/performances/3333/roles/#20180610180000




長い記事が続きましたので今回こそは短めに。
シュライナーのスワニルダはポーランドの片田舎の娘にしては都会風な美貌でやや異質ではあったものの
街一番の華々しい美人娘であるのは明らか。テクニックも万全で表現も雄弁、
頼もしく舞台を引っ張り作品を盛り立てていました。
上背もありそうで大胆ダイナミックであっても品の良さも備え、いつかは姫の役も観たいダンサーです。
人形っぷりもお手の物で目をパチクリさせたり、コッペリウスの思惑通りカクカク動いているかと思いきや
隙を見てはフランツを叩き起こす行動に何度も笑ってしまいました。
スコットランドのダンスの披露では持ち前のキビキビとした技術を存分に発揮。
結婚式ではすっかり愛らしい花嫁さんで、赤いベルベットなチュチュ衣装もお似合いでした。
1幕の衣装がはっきりとした黄色と紺の組み合わせで腰のリボンは赤。ディズニーの白雪姫を思い起こす色調でした。

オフチャレンコは体躯はなかなか大柄でありながらもフランツの純朴な性格が合い、
(他の演出で描かれるようなモテ男ではない)
すっとぼけた表情やコッペリウスの追い回されたあげくに居眠りしてしまうまでの一連の流れも
単なる追いかけっこではなく、コッペリウスとの軽妙なやりとりを全身で行いながら
見せ場を盛り上げたかと思った頃に突如バタンとおやすみなさい。
居眠り体勢は授業中の生徒ではなく椅子の腰掛け斜め上を向いた状態で
既に記憶が曖昧ですが寝顔がよく見える眠り方です。

ボリショイの『コッペリア』は映像含めて鑑賞は初。来日公演でもガラでも上演されていない思われ
バレエ団のイメージにはさほどない作品かもしれません。
記憶が確かであれば、1989年か1990年頃のボリショイバレエ学校来日公演では『パキータ』グラン・パと共に
3幕を上演していたはず。学校公演とはいえ衣装装置とも色鮮やかなデザインが目を引き
特にスワニルダの白地に赤薔薇模様のチュチュがお洒落なセンスでありました。

果たしてポーランドの片田舎を舞台にした牧歌的趣きの強い作品がバレエ団に合うのか不安もありましたが
そんな心配は無用であると序盤から唸らせました。
まず、マズルカの迫力。ダンサーの層が厚い且つキャラクターダンスが得意なバレエ団らしく
14組以上はいるであろう男女のペアがぞろぞろと登場し、大地から沸き立つようなエネルギーは圧巻でした。
そして3幕のコール・ド。時の踊りでは30人以上から成るであろう大所帯な振付でチュチュのサイズも大きく、
昨年冬にシネマで観た『海賊』花園の場に引き続いてのチュチュの雲海と化していました。
しかも紫、黄色、ピンクもあったか衣装もダンサー投入も贅を尽くしていた印象です。
大概は村娘風の衣装で踊られる仕事の踊りも、クラシック・チュチュに黄金色の布で覆われたデザイン。
黄金の美稲光あり、の歌詞が目に浮かびます。
(ご存じの方はいらっしゃらないと思いますが、出身高校の校歌でございます。
何学年か上にローザンヌ国際バレエコンクールの入賞者がいたため
決してバレエとは無関係ではない普通科であると先日の放映情報を見て思い出したのであります)

そして今期は最後、カテリーナ・ノヴィコワさんの解説。バレエ開演前に映し出されると
ポーランド伝統料理店の店員と思わせるレースの付いた民族衣装風ワンピースに
映画館の客席も笑いに包まれました。作品の世界をイメージしたといえば良いのでしょうが
世界に発信されていると思うと勇気あるセンスです。(一応褒め言葉)

幕間には舞台上でオフチャレンコへインタビュー。2幕でフランツは殆ど寝ていると思われがちだが
3幕にはハードなヴァリエーションが待っている、衣装は着心地抜群なため居眠り場面も安心と
笑いも交えながら語っていました。ボリショイの場合は幕間インタビューが毎回舞台上で行われるため
大道具のセッティング作業風景を同時に観察でき、舞台の裏話と舞台が出来上がるまでの様子
両方に触れる時間はシネマの楽しみの1つです。2幕前にはコッペリウスの家に住む
国際色豊かな人形たちのウォーミングアップ場面も映っていて、ひたすら足踏みする中国人形さんや
重たそうな甲冑を纏い、ゆっくりと登場場所に移動したと思えばインタビュー模様が気になるのか
騎士人形は見た!と題名を添えたくなるようなドアからひっそりと覗く姿がおかしく微笑ましく印象に残りました。

ところで、私が最も心に刻まれている衝撃の強かった『コッペリア』といえば2007年の武蔵野シティバレエ。
ゲストの酒井はなさん、山本隆之さんが可愛らしい衣装姿で登場され、
見るからに14、5歳のそれはそれはあどけない少女少年。
1幕の前半に棒先に付いた蝶々を手に無邪気に走るスワニルダを虫取り網を両手に持って懸命に追いかけ

つかまえた蝶々を標本ブローチにして胸に付け得意げになるフランツと大泣きするスワニルダの微笑ましさに
椅子からずり落ちそうになったわけですが、虫取り網以外はどうやら初演版にもある演出であったと今回知りました。
バレエ団で主役を務めるレベルにあるプロならば、子どもじみた振付ではなく
極上の芸術として魅せてくださる力量に再度手を合わせたいと11年前の公演が脳裏を過ったのでした。




英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2017/18 『マノン』

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先月下旬、調布シアタスにて英国ロイヤル・バレエ団『マノン』を観て参りました。
http://tohotowa.co.jp/roh/movie/manon.html

スパイスイープラスに写真付きで詳しく紹介されています。
https://spice.eplus.jp/articles/194091




【振付】ケネス・マクミラン
【音楽】ジュール・マスネ
【指揮】マーティン・イエーツ
【出演】
サラ・ラム(マノン)
ワディム・ムンタギロフ(デ・グリュー)
平野亮一(レスコー)
イツァール・メンディザバル(レスコーの愛人)
ギャリー・エイヴィス(G.M.)

ラムのマノンは見るからに小悪魔な可愛らしさを含んだ妖しさがあり、
危うい人生を想起させる少女。自身の欲のままにどこへでもふわふわとついて行ってしまい
やがては壮絶な死を遂げる展開がおおよそ予測できるヒロインでした。
ムンタさんデ・グリューから見ると綺麗ではあってもどこか放っておけない年上のお姉さんといったところ。
表現で目を引いたのは看守との絡みで、無駄な泣き方をしていなかった点。
余りに残酷さのある行為をされた後では何もかもが体内から抜け落ちた状態となり
もはや泣く気力もないと思うのです。大泣きすることもなく
どうすれば良いのか分からず目が虚ろになっていた表情が自然な流れに映ったのでした。

ムンタさんは世間知らずな純朴学生。本を片手に二宮金次郎風歩き読書に耽り
人通りの多い広場であたふたする様子にリアリティを持たせていました。
なぜ今や「世界のムンタくん」として特に人生経験豊富な女性の方々から人気を博しているのか
昨年の新国立劇場『眠れる森の美女』客演時の公演で当ブログお馴染みムンタ先輩より
非常に説得力ある話を聞き腑に落ちたのでありますが、今回再確認。
2幕でムッシューGMと豪奢な服、装飾を纏って登場したマノンに対し
跪いて愛を訴える箇所でアップされた横顔が、子犬のような表情であるのです。
ときめきはしないのだが(失礼)この天使の如き清らかなお顔に陥落する女性が続出するのは頷けます。

思えば生での鑑賞時双眼鏡は各々好みのタイミングで使用しますが
テレビやシネマは思がけずアップになるためこれはこれで面白い。
因みに新国立ファン失格と言われると思うのだが、2015年の『白鳥の湖』テレビ放送録画は1度も観ておりません…。
昨年の新国立眠りではムンタさんが登場時には既に鑑賞エネルギー消耗状態でしたので
今回映画でじっくり観察できたのは幸運といえましょう。
ひょっとしたら私も20年後ぐらいにはムンタさん系に属する
きらきら天使な男性ダンサーの虜になっているのかもしれません。
1人現れるには12年の周期が必要であるこれまでの法則からいくと次の約10年は好みが変わらず続くなら2041年か。
いや、法則を再度考えると着物のモデルを務めるダンサーが現れるはずなのだが人生どうなるか未来は分からぬ。

話を戻します。平野さんのレスコーは暑苦しいむさ苦しい(褒め言葉)雰囲気で金銭の欲望を剥き出しにした表情や
豪快な酔っ払いダンスも笑いを誘い、存在感を示していました。
2幕最後、ムッシューGMらから罰せられる場面での血糊の量に驚きましたが
瀕死状態でもがきながら心情を吐き出す表現が凄まじく、恐怖感を滲ませながらの幕切れで3幕に繋がって行きます。

とことん嫌らしいムッシューGMを熱演していたのはエイヴィス。
マノンの脚を摩る視線や宝飾品を手にマノンを誘い込む手法が画面越しでも寒気がしたほど。
メンディザバルのレスコーの愛人も強烈な味を出し、主役を喰ってしまいそうな勢い。
とことん濃厚なキャラクターたち、退廃した世界の中では
身勝手であっても脆さのある美少女マノンと純朴な学生デ・グリューは異質な存在で
育った環境は全く違ったとしても、出会うべくして出会った2人と思える物語です。

もはやこのバレエのために作曲されたとした思えぬマスネの音楽も秀逸で、
オペラ『マノン・レスコー』の曲を一切使用せずにメインテーマも備え、
キャラクターたちの感情を情緒豊かに表す旋律に再度聴き惚れました。
基本、ドッカンとした迫力や大地の匂い及び哀愁漂う曲調が多いロシア音楽好きではありますが
バレエ『マノン』における例え幸福な場面であっても悲しみを湛え悲劇の展開を予想させる
マスネの甘美な曲の数々はどれを聴いても胸が締め付けられずにはいられません。
中でも2幕での娼館におけるデ・グリューのソロ前に流れるワルツはスケール感があり
人々の欲望が塗れ渦巻き高笑いの声もが聞こえてきそうな旋律を含みながらも物哀しく響き
私の中ではバレエ音楽の中で3本指に入るワルツです。

1人佇むレスコーの思惑、そして貴族が呑気に歩く横で物乞いたちが金銭を求める
非情なまでの身分制度が残る退廃した時代設定が一見して伝わる幕開けの演出から
すぐさま物語の世界へと引き込まれ、マクミランの工夫が凝らされていると思えます。
アップ映像も多めのため、ニコラス・ジョージアディスが手がけた衣装も1点1点細かな模様や装飾がくっきりと見え
いかにも英国ロイヤルらしい重厚豪華なデザインに惚れ惚れです。
英国ロイヤルの誇るべき財産であると出演者全員が身を持って示していた公演でした。

幕間には娼婦のリハーサル真っ最中の崔由姫さんとベアトリス・スティックス=ブルネルにバッセルがインタビュー。
娼婦にも身分がある、振付が感情を細やかに物語っているから表現は控えめで良いなど
先輩と後輩互いに作品をよく理解している様子が窺えた一幕でした。

実のところバレエ『マノン』の存在を知ったのは遅く、バレエを観始めてから7年が経過した頃。
アメリカンバレエシアター来日公演記事が掲載されたダンスマガジンを読んでいたときで1996年の夏でした。
スーザン・ジャフィ、アマンダ・マッケロー、ニーナ・アナニアシヴィリが
それぞれタイトルロールを務めた旨が記されていたと記憶しております。
当時気になったバレエ作品の調べ物は決まって図書館に置いてあった『バレエ101物語』頼みであり
原作者名が目に留まった瞬間、1人ぽつり。
「フランスにもアベさんという苗字の人がいるのか。日本人のような名前だ」。
読書とは疎遠の教養なき者であった管理人をお許しください。

ところで新国立劇場バレエ団でも上演されていますが最後に上演された2012年以降しばらく遠ざかっております。
新国立に約14年通っている中でも強烈な印象を残した作品、公演であり何度か書いておりますが
感性の豊かさ(優しさもか)が欠乏し滅多に目から雫が滴らない私が28年間約650回から700回に及ぶバレエ鑑賞歴で
感涙に咽んだたった3本の公演のうちの1本でございます。
デ・グリューが刷りに刷り込まれている名演ダンサーもいればこれから観たいと願うダンサーもいます。
(抜擢されたなかったら管理人、暴動起こしそうであります。平和主義ですのでそんな無茶はいたしませんが)
いずれにしても、新国立での再演を切望いたします。ロイヤルシネマ鑑賞中から妄想は膨らんでおります。


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シアタス外観。上映劇場では都心部の日本橋や日比谷が人が集まりやすいとは思いますが
調布もおすすめでございます。空席が目立ち(平日は2割も入っていない)やや寂しいものの
その分寛いで鑑賞できますし周囲には飲食店も充実。困ったときには調布駅前のオアシス、パルコへどうぞ。

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終映後、隣で工事中の調布市民ホール。22年前に吉田都さんとケヴィン・オヘアさんがゲストとして
『コッペリア』全幕を踊りにいらっしゃいました。
当時を思い出しながら撮影した数日後、吉田さんが新国立舞踊部門次期芸術監督予定者として発表。
どう舵取りしてくださるのか、バレエ団を良い方向へ導いてくださいますように。




東京オペラシティの20周年と書籍

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身内絡みの長い話ですが悪しからず。そんな話、酷暑の最中に読んでいられぬとお考えの方は恐れ入ります
東京バレエ団ブルメイステル版『白鳥の湖』や東京シティ・バレエ団『ウヴェ・ショルツ・セレクション』感想まで
今しばらくお待ちください。

新国立劇場は20周年の記念シーズンを終えたところですが、
同じ最寄り駅である初台駅に直結の東京オペラシティコンサートホールも昨年20周年を迎えました。
https://www.operacity.jp/concert/20th/

皆様の中にもオペラシティコンサートホールへお出掛けになったことがある方もいらっしゃるかと思います。
また新国立劇場での観劇後、オペラシティビル内の飲食店施設を利用される方も多いことと存じます。
まさに私もそうで度々利用しております。

ところで、皆様の中にはこの写真の書籍をご覧になったことがある方はいらっしゃいますか?

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実は、製作に父が関わっていたそうで以前から気になってはおりました。
しかし7年前に亡くなっており、詳細を聞こうにも聞けず設計者にも取材したと耳にした覚えはありますが真相は謎。
しかも父は自身が携わっている仕事について母には殆んど伝えていなかったようでしたが
(夫婦として如何なものか。だから妹も私も結婚が幸せの始まりでは決してない、
夫婦とは所詮他人同士であるとの考えが幼い頃から刷り込まれているのであります)
本作りにあたっての取材話は私には時々してくれておりました。
時々というのは私が中学生高校生以降は父に会うのは年に2、3回程度でしたので
機会を得たときには私も耳をじっくり傾けていたものです。
なぜ妻ではなく義務教育かそのすぐ後の教育過程真っ只中の子供には話してくれたのか
理由は定かではありませんが、恐らくは私が幼い頃から根っからのバレエ好きであることや
勉強は苦手ではあったものの中学生の頃から社会科の授業は好きで時事問題に関心を持ち
新聞を隅々まで目を通していたためか、例え子供であっても
芸術や社会問題に興味がありそうな人間のほうが理解を示すであろうと思ったのかもしれません。

本の題名は『東京オペラシティ物語』でその名の通り東京オペラシティ完成までの道のりが事細かに綴られています。
歴史を辿れば日本の文化人がオペラについて記した最初の書物と言われているのが
森鴎外がドイツ留学中に西洋歌舞伎を観たとしたためた手紙。
そして最初の劇場建設計画は、宮廷が元になっているヨーロッパの劇場文化を大久保利通が帰国後に伝え
伊藤博文の元で建築計画が着手されたかと思いきや挫折の繰り返し、
日中戦争で再び計画は暗礁に乗り上げましたが昭和41年(1966年)に日本初の国立劇場が実現。
開場を前にした4月に衆議院で「国立劇場法」(現日本芸術文化振興会法)が可決し
伝統芸能以外の芸能の振興も図るべきと付帯決議がなされ、いよいよ新国立劇場建設に向けて動き始めたそうです。
しかし当時は東京オペラシティ建設までは話題にもなりませんでしたが
国の施設である新国立劇場エリアと民間側エリアの東京オペラシティ相互の協力があってこそ実を結び
時期はやや異なれど誕生し開場開業に漕ぎ着けたと記されています。
芸術文化が薫る環境である点はビル内に入る外資系企業にも好印象を与え、無機質さや威圧感を出さぬよう
天井の高い明るいロビーで来館者を出迎える配慮など工夫点も多数。
オペラシティビル探検ができるよう詳細に場所や順路、また建設にあたっての地元住民の反応も紹介しています。

普段から通い詰めている場所についてこうも詳しく書かれている書籍は他になく、
身内が関わっておりますし厚かましさがあるのは重々承知しておりますが
是非とも新国立常連の皆様、劇場文化に興味をお持ちの皆様にも一度お手に取っていただけたらと願います。
とはいえ図書館にも取り扱いがなさそうで、どこかで見かけた際にでもページを捲ってくだされば十分でございます。

父は突然死でしたので、悲しむ間もなく葬儀の準備や遺品整理に家族3人で走り回り
葬儀の取り決めは業者任せであったのですが偶然にも会場は幡ヶ谷。
初台の隣駅であり、葬儀場に向かう途中の道から聳え立つオペラシティビルを見渡せる場所があります。
会食も業者任せでしたがもう必然であったのか、オペラシティビルのレストランでした。
喪服を着て、遺影持って初台に来たのはこのときのみです。
ちょうど7年前の今日、高校生向けのオペラ鑑賞教室開催期間中で
よく見る新国立のスタッフさんが通り過ぎていく姿が目に留まり、本来は楽しみに来る場所であると痛感。
次は晴れやかな顔で来ようと思いを新たにしたものです。

驚きはまだ続き、オペラシティの本への関わりは知っておりましたが遺品からは取材メモが大量に発見。
オペラシティへの取材は新国立劇場の研究にも少なからず繋がっていたようで
当時のバレエやオペラ公演の概要を印刷した資料も残っていました。
名前には注目はしていなかったでしょうが、私よりも先に山本隆之さんの名前が記載されたページを
手元に置いていたのです。遺品はほぼ全て処分するよう母からは言われましたが
山本さん始め新国立劇場やオペラシティ関連の資料は処分できるはずがありません。
新国立劇場について調べていくと自ずと故佐々木忠次さんの書籍にも目を通していたそうで
佐々木さん著『オペラ・チケットの値段』は勧められて読んだものです。
歯に衣着せぬ表現は賛否両論ありましたが、国語が出来ぬ子供にも分かりやすい明快な文章で
するすると読み進めたのは覚えております。

さて話は変わりまして。父からはクラシックのコンサートも面白いからと勧めてくれていましたが
この約15年はバレエ一辺倒で「余程の内容」でない限り足を運べず。
しかしオペラシティ20周年期間中にコンサートホールへ一度は行こうと思い立った昨年10月、
吉本バレエスタジオ生も出演のバレエ音楽チャリティーコンサートは瞬く間に完売。
そして翌年1月、親しみのある曲が多そうであると中丸三千繪さんのコンサートへ。

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これがまたもや偶然であるのか、20年前に話題になった曲が目白押しだったのです。
『もののけ姫』と『タイタニック』の主題歌、更には熊川哲也さんが「違いのわかる男」で一斉を風靡し
バレエと男子の関わりに転換期をもたらしたといえる『ダバダ』まで
バレエと20年が詰まった構成に驚いた一夜でした。アンコールでは人生初、ペンライト振りも体験。
隣近所の方々と付け方を確認し合うのも楽しい作業で、大雪の翌日でまだまだ雪が残る日でありながら
心に明かりが灯された一夜となりました。

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バレエが無い音楽鑑賞も楽しいと感じ、そう時間が経たぬうちに今年3月中旬「余程」のときがやって参りました。
トゥールーズキャピトル国立管弦楽団が来日して『火の鳥』を演奏すると知り、
今の私が行かないわけがありません。知ったのは前日で当日無事にチケットも確保、
季節外れの大雪の中サントリーホールへ向かいました。


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客席の出入口の場所に迷い、初めてオーケストラの後ろ側の席に座り
小中高校の音楽室ではくすんだ色しか目にしてこなかったシンバルが
金閣寺並みに輝いている色彩に驚くなど、クラシックのコンサートに慣れていない感丸出しでしたが
幸い隣席の方がバレエもお好きな方で、コンサートには行く習慣がまるでない私が
今回大雪の日にわざわざ来た理由をあれこれ説明すると納得いただけたご様子。
(理由が珍し過ぎて、希少動物に出くわしたかのような表情をなさっていましたが当然か)
そしてクラシックコンサート初心者でも楽しめるポイントを伝授してくださいました。
コンサートといえばまずは音色に耳を傾けてしっかり堪能するべき催しかと思いきや
諏訪内さんの衣装のラメの多さを観察するなどまず見かけから入るのも良いそうであります。
アンコールは玄人好みの曲であったらどうしようか、1人楽しめず浮いたままであろうとの心配も無用で
『カルメン』間奏曲(プティ版のパ・ド・ドゥを抜粋でガラでもしばしば上演される部分)と
ジャンジャカジャカジャカと豪快に始まるお馴染みの前奏曲でしたので一安心。
この日の会場内では最たるコンサートのド素人で演奏の良し悪しはよく分からずでしたが
聴き慣れた曲とテンポが同じであったため妄想も十二分に楽しみ、満足度高く会場を後にしたのでした。

会う回数が少なかったとはいえ新国立劇場に通い詰めている話も、父と所縁ある吹田や西宮など度々の西日本遠征話も
一切していなかったのは今となっては後悔しておりますが、
嘗て取材し関わっていた初台を中心に芸術に触れている生活についてはきっと喜んでいるであろうと思っております。
いつも以上にまとまりに欠く内容で失礼いたしました。




本家に迫る民族舞踊団 東京バレエ団ブルメイステル版『白鳥の湖』7月1日(日)

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2週間前の話に遡りますが、7月1日(日)東京バレエ団ブルメイステル版『白鳥の湖』を観て参りました。
https://www.nbs.or.jp/stages/2018/swan/intro.html


オデット/オディール: 沖香菜子

ジークフリート王子 : 宮川新大

ロットバルト : 柄本 弾


【第1幕】

道 化:池本祥真

王 妃:山岸ゆかり

侍従長:永田雄大

パ・ド・カトル:吉川留衣、金子仁美、樋口祐輝、鳥海 創

アダージオ:三雲友里加


【第2幕/第4幕】

四羽の白鳥:金子仁美、秋山 瑛、安西くるみ、足立真里亜

三羽の白鳥:二瓶加奈子、三雲友里加、波多野渚砂


【第3幕】

花嫁候補:三雲友里加、加藤くるみ、榊優美枝、柿崎佑奈

四人の道化:海田一成、後藤健太朗、昂師吏功、山下湧吾

スペイン(ソリスト):奈良春夏

スペイン:安楽 葵、鳥海 創、芹澤 創、南江祐生

ナポリ(ソリスト):秋山 瑛

チャルダッシュ(ソリスト):岸本夏未、中川美雪、岡崎隼也、樋口祐輝

マズルカ(ソリスト):伝田陽美、森川茉央


沖さんはラインが細く長い手脚が美しくコントロールも効いた踊りで
ポーズ1つ1つから守ってあげたいと思わずにいられないオデットの悲しみをくっきり描出。
実はこの日うっかり双眼鏡を忘れてしまい4階席からでもきちんと鑑賞できるか心配を募らせておりましたが
上階にまで伝わる表現に驚き、沖さんに限らず他のダンサー特に3幕の民族舞踊にも通じましたが
顔ではなく踊りそのものに表情が備わっていると実感です。

オディールはほんのり可愛らしい魅力と騙すのが楽しくて仕方ない様子な悪女らしさを混ぜ合わせて王子を翻弄。
非常に華奢な体型ながらポーズの繰り出し方が力強くそして大きな瞳がギラギラと光り
弱々しさを感じさせない迫力がありました。

宮川さんはフレッシュ感がありつつもバネが強く盤石。絵に描いたような王子様とはまた異なる素朴な印象でしたが
オデットに出会い徐々に惹かれていく様子やオディールそして
ロットバルト軍団に操られると自身を見失って戸惑ってしまう過程が分かりやすく伝わりました。
にこやか盛り上げ番長な道化の池本さんも生き生き。一昨年鹿児島の白鳥バレエ団『ジゼル』で観た際に
Kバレエ退団が勿体無く感じる技術の高さに驚きを覚えておりましたが
東京バレエ団での活躍が一層楽しみで、大きな役が付いていくことでしょう。

新調した衣装姿もさまになっていたのは柄本さん。
中でも3幕の重厚な模様作りのデザインは着こなしが難しそうでありますが
濃いお顔と背丈、ややがっちりとした体型にも合い不自然さがありませんでした。
(タイツの王子より似合うのではと思う)
不気味な黒い魅力もあり、若くして魔の帝王になったのであろうかと想像させたキャラクターです。

ブルメイステル版白鳥の見どころといえば3幕における民族舞踊団が
全員ロットバルトの手下たちとして描かれている点。
オディール登場のファンファーレが鳴り響くと、展開を把握していても
いよいよ一味がやってくると胸が高鳴るものです。
例えば1幕は大勢の村人たちが一斉に躍動する新国立劇場の牧さん版に比べると
熱気は抑えめで優雅さが前面に出た鷹揚とした雰囲気、
3幕も花嫁候補たちの場面までは候補者には母親らしき人が付き添っている演出以外はさほど特異な点はありません。
しかし一味の登場によって空気が一変、そしてオディールやロットバルトと一丸となって王子を誘惑し
隙を与えず悪の色で染め上げてしまうこの切り替わりと単なる民族舞踊ぶつ切りお披露目会にならぬ一貫性が
ブルメイステル版の支持に繋がっているといえるのでしょう。
パ・ド・ドゥの間も終始王子を囲んでときには前屈みになりながら圧力をかけ、
民族舞踊の披露の最中にもオディールが時折見え隠れしながら王子の前に姿を現し
仮に王子が賢いとしても騙されても致し方ないと説得力を与えます。
オディールのソロが終わったときにはコーダの先陣を切るナポリ軍団が既に舞台上に立ち
まだまだ騙す気満々な様子も面白く映る演出です。

民族舞踊は前回2016年のバレエ団初演時よりも本家モスクワ音楽劇場に迫る張りがあり
どのパートも見応え十分でしたが特出していたのはナポリの秋山さん。
とにかくおどろおどろしく身動きする度に恐怖感を滲ませ背筋が凍り付いたほどです。
からっとした太陽を思わせる音楽とは全く逆向きの役柄ながら磨かれた表現といい魅せ方の上手さといい秀逸でした。
最初に斬り込んで存在感を示した奈良さんのスペインも邪悪なオーラが濃く爽快。

鍛錬の賜物であろうコール・ドも舞台を盛り上げ、ただ揃っているだけでなく
4幕の白鳥たちは容易には王子を許さず背を向けて歩き過ぎ去り
裏切られた悲しみを引き摺っている印象を与えてこの先オデットと王子運命はいかにと展開を一層気にさせました。

数ある白鳥の湖の演出の中でもドラマ性に富んだ描き方で
本家モスクワ音楽劇場の虜になるきっかけになったブルメイステル版ですが
今回の再演での良い仕上がりに、更に上演重ねていけば東京バレエ団のクラシック作品における
得意レパートリーとして定着していくと思っております。
既に再演が待ち遠しく感じており、次回の上演が今から楽しみです。

ところで、先日たまたま2004年5月号のダンスマガジン(表紙はエフゲーニャ・オブラスツォーワ)を読んでいた際に
面白い記事を発見。上野水香さんが東京バレエ団への移籍会見記事の見開きで、隣のページには
ユースアメリカグランプリの日本予選で入賞した宮川さんの写真が掲載されていました。
上野さんは東京バレエ団移籍直後から主役級ダンサーとして既に活躍され現在と全く変わらぬ容姿。
対する宮川さんは当時小学生。それはそれはあどけない宮川少年の写真に驚き
今や同じバレエ団で互いに主役を任されている現状が感慨深いと思えた次第です。

NBSのホームページを眺めていたところ、バレエの祭典のお知らせが発表。
https://www.nbs.or.jp/saiten/
会員ではないが、先々の公演予定が判明するため参考にはなります。
英国ロイヤル、全幕が『ドン・キホーテ』のみであるのは確かか?
私のようにさほどロイヤルを観ないが興味はあるロイヤル素人からすれば
マクミラン作品を持ってきて欲しいと願うのだがひょっとしてもはや時代遅れ?
いや、つい最近もシネマで『マノン』を観たときには
若手からベテランまでが誇りに思いながら踊っていると画面越しにも伝わってきたのだが。
知人のロイヤル博士に尋ねようと思います。

そして朗報と思って良いであろう、パリ・オペラ座が2020年の来日公演の1本が『ライモンダ』全幕。
ヌレエフ版の衣装装置は売り払ったと耳にしたがヌレエフ版を再構築するのか、気になるところですが
我が鑑賞史上初、パリオペラ座に連日通いたいと思わせる演目です。


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ここ数日ほどの猛暑ではないが帰りは暑気払いで白鳥ならぬ白ビール。

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モスクワ音楽劇場からもボリショイ劇場からも地下鉄で向かえるモスクワのルジニキスタジアム。
15日まで開催されていたサッカーW杯ロシア大会で開幕戦や決勝戦他数試合が行われた、
約60年前に建設された歴史あるスタジアムです。(2013年に閉場し、改築工事後2017年に再開場)
https://www.soccer-king.jp/news/world/wc/20171124/661709.html

写真は露天が並ぶ観光名所の雀が丘から眺めた際にユニークな形状が目に留まり、何も分からず管理人が撮影。
開幕戦をテレビで視聴していたときに見覚えのある建造物と脳裏を過ぎり
ブログを遡ったところ撮影した写真を発見、思い出したのでした。
サッカー音痴な管理人、W杯は試合結果よりも国旗のチュチュのような衣装姿の女性用たちによって
出場国を紹介した開幕セレモニーやオペラの序曲を想起させる仰々しく華やかなウルグアイ国歌の鑑賞、
そして各スタジアムの場所紹介で映る街並みや玉ねぎ型屋根の聖堂の美しさ、
はためくマトリョーシカの幟を楽しんでおりました。加えて大会マスコットの狼の名前がいつになっても覚えられず
狼太郎と呼んでいるともう少しセンスの良い名付けはできないのかと周囲に笑われた。
名付けのセンスはリラの精を見習わねば。




宇宙戦隊ベト7 東京シティ・バレエ団 ウヴェ・ショルツ・セレクション『オクテット』『ベートーヴェン交響曲第7番』7月8日(日)

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7月8日(日)、東京シティ・バレエ団ウヴェ・ショルツ・セレクション
『オクテット』『ベートーヴェン交響曲第7番』を観て参りました。
http://tokyocityballet.com/uwescholz/


『オクテット』は初見。メンデルスゾーンの「弦楽八十奏曲」変ホ長調に乗せて踊られ、
オレンジのドレスを着た女性たちが四肢の隅々までがエレガントで
上は黒のシャツ、下は白で整えた男性陣もすっきり。一斉にサポートする場面も多数ありましたが
破綻がなく、ただ上手いだけでなく全員で揃える技量も備えている点にも驚かされます。
明朗な箇所もあればしっとり静けさに包まれた場面もあり、
2楽章の岡さんと石黒さんのパ・ド・ドゥからは秘めたる関係性を覗かせ、
ストーリーのない作品であっても不思議な緊張感が漂いました。
女神のように孤高な存在感を示していた4楽章の清水さんにも惚れ惚れ。
背景の光沢ある襞のついたオレンジ系のベルベットの幕もまた、品ある舞台を演出していました。

『ベートーヴェン交響曲第7番』の鑑賞は2014年のNHKバレエの饗宴以来。
壮大な交響曲の中で1人1人が力強く音楽を表現する力量にきびきびと変化を遂げていくフォーメーションに
再度観てみたいと思わせたと記憶。女性ダンサーが皆スレンダーで美しく、且つ身体能力も高し。
どんな曲調であれ乗りに乗って踊っている印象を受けました。
中でも志賀さんの暗闇に登場しただけで魂のこもりようが伝わる凄みや
佐合さんの長身から繰り出される軽やかなしなやかさ、中森さんの明るく溌剌とした踊りに見入った次第。
『オクテット』以上に男性陣の一斉サポートも多用。男性ダンサーの秀でたサポート力にも目を見張りました。
2か3楽章であったか、半円形状に手を繋ぎ中央に光が当たる演出はどう見てもウルトラマン或いは
たまには世代相応の例えを出してみるとしてアニメ『セーラームーン』での
タイムワープする技であるセーラーテレポートを彷彿。
男女ともに白地に線がシンプルに入った丸襟のレオタード衣装は宇宙戦隊を想像させたためかもしれません。
(脳裏には時折ささきいさおさんが歌う『宇宙戦艦ヤマト』テーマ曲が流れた管理人ではあったが)

2楽章は最も好きなベートーヴェンの曲で、暗闇に光が射し込むような希望の見出しを感じさせる重々しい曲調は
昨年3月に中村恩恵さんと新国立劇場バレエ団が組んで上演した『ベートーヴェン・ソナタ』で耳にした録音でも
胸に響くものがありましたが、生演奏で鑑賞できたのは大きな喜びでした。

東京シティのダンサーはまだまだ存じ上げぬ方も多いものの
3月の『白鳥の湖』でよく訓練された技術の高さに驚愕し、バレエ団の誇りをかけて上演を重ねているであろう
ショルツ作品を再度観たいと願っておりましたが音楽と振付が同時に目と耳に入ってくると
それはそれは気持ち良く、再演時にはまた足を運びたいと思っております。




【呟きな内容ですが】節目2018

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振り返りをしようと思っていながら数ヶ月。今更且つ呟きに近い内容で
舞台の感想以上にまとまりが欠如しておりますが悪しからず。
この暑い盛り、何年も前の話を読んでいる暇はないとお思いの方は恐れ入ります
次回更新予定、山本隆之さんが王子役でゲスト出演された
バレエスタジオリアン発表会『シンデレラ』全幕(7月15日鑑賞)まで今暫くお待ちください。

当ブログ、今年の3月末で開設から5年を迎えました。
ひとえに立ち寄ってくださる方々のおかげであり心よりお礼申し上げます。
何処の馬の骨状態な、文章の書き方も習っていない素人が管理人であるブログをお読みいただき
時にはご感想も寄せてくださり、文面口頭問わず大変励みになっております。本当にありがとうございます。
開設は2013年で新国立劇場ではDance to the Future2013の上演時期。
中村恩恵さんと金森穣さんの作品が新国立ダンサーによって披露されていた頃ですので時の流れを感じます。

遡る話が続きますが。開設は2013年ではあるもののそれ以前にも他の方のブログに載せていただいた分や
細々書き溜めていた分もあり、新国立劇場バレエ団の感想については2009年のモスクワボリショイ劇場公演以降
その他の舞台については2012年夏以降分から掲載しております。分かりづらい構成で恐縮でございます。

この5年間を振り返ってみますとブログにおいては変更点もいくつかあり。
混在していた文体を文体を2015年以降は「ですます」に統一。
それ以前は現在以上に読み辛いものであったかと思います。

そして一番は毒素の増加。昔の感想を読み返すと随分とさらりとしていた内容ばかり。
人間年齢を重ねると神経が図太くなるのか、批判主張が強過ぎないよう配慮していかねばと考える今日この頃です。

また強まったのはアルコール度数と旅日記も同様。アルコールに関しては
昨年分を大雑把に数えたところ鑑賞の幕間や終了後に摂取した回数は計約70回。
総括の写真を見る限りですので他にもあると思われ、肝臓の労りを重視すると同時に
未成年の読者様の存在を忘れぬよう青少年の健全な人格形成に相応しいブログにしていかねばと
いつにも増して感じておりますが時既に遅し。
かなり偏った見方をしている点や「好みでないからはい次へ」も好ましい表現ではありません。
世界バレエフェスティバルでは全キャスト全演目、真面目に綴れるよう努める所存です。
現時点ではマリーヤ・アレクサンドロワ目当てにBプログラムとガラを鑑賞予定でおります。

旅においては、年齢に伴って体力は低下しているはずがバレエ鑑賞を兼ねた旅での行動範囲や立ち寄る観光地は
明らかに10年前、5年前より増加。遠征を始めた頃は飛行機利用しての往復であった北海道や
修学旅行以来の大阪訪問を除けば現地に向かうだけで手一杯であったはずが
昨年は全てではないもののしまなみ海道を自転車で走行。
もう若いとは言い難い年齢に達しておりますが我ながら行動力や好奇心の旺盛さには驚きを覚えます。

年齢と言えば、開設以来ブログを通して知り合った方もいらっしゃりご縁には感謝しかありませんが
ただ挨拶も兼ねて初の対面に伺いますと、8割ぐらいの方に言われるのが「想像より若い」。
お子さんと同世代であると驚かれたことも何度かございました。
日本バレエ創成期について語ってしまったりソビエト時代のバレエに興味津々、
そしてバレエ以外にも何かと昭和、特に生前の要素がふんだんに詰まったブログであるため
致し方ないのは重々承知しております。

最後に、感想の長さ。年々文字数は増加しております。公演によってはキャスト一覧や
写真の説明を除いて8000字超えの記事もあり文字制限の目標は何処へやら状態です中でも忘れられないご指摘は昨年の新国立劇場バレエ団『ジゼル』でペザント・パ・ド・ドゥのダンサーたちが気になって読み始めたら
いつまで経っても辿り着かず、お盆や年末年始大型連休の高速道路渋滞に嵌ったも同然とのご意見でした。
加えて長い記事が他にも多々あるため、更には黒文字だらけで絵文字もないためビールでも飲みながら気楽に読めず
かなりの集中力を要するとのご感想もいただいており、ああ猛省。
可愛らしい色彩絵柄による表現は我が身には合わず、桃色の心臓印なんぞ恥ずかしくて使用できぬ点
また以前一度だけ絵文字選択する画面を試しに開いた際に
どの絵がどの感情に当てはまるか考え始めると迷ってしまって時間は刻一刻と過ぎて行き
黒文字による表現が手っ取り早いとの結論に至った旨、ご了承ください。

結局何が言いたいのか訳分からぬ振り返りでございますが
これからも1週間に1、2度の更新を目標に継続いたしますので今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

話は変わりまして昨日は管理人、人生の節目を迎えました。誕生日当日に新国立劇場バレエ団公演の鑑賞は初めてで
嬉しき1日。主役キャストの日程を考えるとあと1日違いだったら良かったのに惜しいと
言ってくださった方もいらっしゃいましたが、当日も格別なキャストでした。細田千晶さんが主役だったためです。
細田さんが通っていらしたバレエ教室と私が通っていた教室は
同じ地区の洋舞協会に属し、年1回秋に開催される合同洋舞祭に毎年出演しておりました。
細田さんの教室を始め何処の教室も優秀な人が抜擢されての出演が通常の流れでしたが
私が通っていた教室は人数が非常に少なく、レベル問わず全員自動出演。そんなわけで他の教室のリハーサル見学が
大変勉強になり、自身が舞台で踊ることよりも遥かに面白いと感じていた次第です。

レベルはさておき何年も出演し続けプログラムを読み続けていると常連の出演者を徐々に覚えていき
その中のお1人が細田さんでした。新国立に興味を持ち始めた2005年頃にその少し前の研修所関連の記事に触れ
細田さんの名前が目に留まって見覚えのある文字であるとよくよくプロフィールを読むと、
あの洋舞祭の常連出演者でいらした方と思い出し嬉しくなったものです。
勿論面識はありませんが、舞台袖や裏ですれ違っている可能性は十分にあり得ると思うと
新国立への入団、そして同期が昇格や主演を果たして行く中で長い長いコール・ド時代を過ごしながらも
着実に昇格していき遂には主役を張るまでになった経緯は感慨深いと勝手ではありますが感じております。
今年は節目当日に主役、しかも煌めくおとぎ話『シンデレラ』で鑑賞できたのは喜ばしく
前回にも主演されてはいますが(残念ながら未見)本公演主役デビューでのシルフィードや
リラ、お妃などあらゆる役付きを経た今回の方が恐らくは色艶や主役オーラは強まっていると想像いたします。
明日11時半の回に再び主演されますので平日でお忙しいと存じますがもしお時間の合う方は是非ご覧ください。
子供騙しではない、端折った印象もない演出で見応えがある作品で
美人揃いの義理の姉妹やアナログ過ぎて疾走感がまるでない、微笑ましさも満載なかぼちゃの馬車も要注目です。

ところで節目当日の朝、再放送でNHKの雑学番組『チコちゃんに叱られる』を視聴していたときのこと。
大人になると年月の流れが短く感じる理由は何であるか、との問題が出され、
(一概には言えないが)正解はときめきが少なくなるから、とのこと。
この番組、設定は5歳児のキャラクターであるチコちゃんの渋いぼやきも含めてなかなか好きでよく見ておりますが
ただこの問題の正解に対しては少々異議あり。幼稚園児、小学生の頃より現在のほうがときめく回数、
わくわく胸を躍らせる回数、興奮する回数、ずっと多いのであります。
それでも年月の流れは早く感じており、バレエを鑑賞する機会が絶えず巡ってくるからこそに違いありません。
健康に気をつけ、仕事や家族、友人、ご縁を一層大切にして行きたいと思っております。

いつも以上にまとまり欠如な記事で申し訳ございません。皆様今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。


※上の写真:昨年に引き続き年齢にちなんだお店にて祝杯。
グラスが夏模様で置き方によってはコースターに今年の数字が現れた。四捨五入して三十路と言えるのもあと◯年。
普段甘い物はあまり口にしないが、久々に今年は北の大地に上陸予定でおり
大人の北海道パフェという名称に惹かれて注文。(もう1種、沖縄パフェもあります)


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当日夜、家族が祝ってくれたロシア料理店にて。ロシアスパークリングワインでまずは乾杯。
黄金色で香ばしさもある味です。午前と午後2回プロコフィエフを聴いたあと
一層余韻に浸れる嬉しいお店でございます。毛皮のコートを着たニシン(ユニークな料理名)とニシンのマリネ。

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脂身がなく揚げていながらもさっぱりいただけるチキンキエフとジョージアの赤ワインムクザニ。
ムクザニは樽の匂いもしっかり漂うかなり渋みある熟成の味。
冗談抜きにここまで渋いのが好みなのかと家族に言われ続けた。(ワインだけでない、ダンサーもだ!)

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今年の節目を挟むようにして、幸運にも2本の素敵な『シンデレラ』の舞台に鑑賞に恵まれました。
振付演出や出演者は異なれど7月15日(日)、22日(日)と2週間連続して同じ役を「ふたりの王子」で鑑賞でき感激。
記念すべき2018年の節目となりました。お花入りのガラスの靴は記念に新宿にて自身で購入、
万が一紛失の際には自力で探すしかありません。これが現実だ。




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